5章
掛ける言葉が見つからないって事態は、まさにこの事かと考えられる冷静な思考もあったが、
想像を遥かに越える綾子の苦悩に、問い返す事も、励ます事も出来ず、
ただブランコに乗ってるだけの自分に苛立ちを覚えた。
綾子の告白は、今までの綾子の笑顔さえも僕の記憶から奪い去って行く気がした。
数分間の沈黙の後、綾子はブランコから立ち上がり、公園の出口に向かいながら
「冬の夜の空気って、静かで寂しいけど、優しく包んでくれるから好きなんだ。」
と、小声で呟き、そしてブランコから立ち上がり綾子を追いかけようとしていた僕の方を振り向き
さっきとは違う強い口調で
「もう…もう…会う事はないけど…私は絶対忘れないから!…たくさんの幸せをありがとう。
花火大会の夜がなかったら私はこんなに我慢出来なかったよ。
ホントに幸せだった!」
今日初めて綾子が見せた感情。
僕は動けなくなった。
月明かりに照らされた綾子の顔に、流れ星のような涙が一筋。
「ありがとう…心から大好きだから。
忘れないでとは言わない。あなたの思い出の中、小さくてもいいから私の場所があるなら、そこで生きさせて。」
綾子を抱き締めたいのに、足が動かない。
思考がストップしてしまい、何も出来なかった。
月明かりを小さな背中に浴びながら、綾子は公園を出ていった。
追いかける事も、引き止める事も、抱き締める事も何も出来ずに僕は膝から崩れ落ちた。
自分の知らない間に涙が出ていた。
どんだけの間そうしていたかも分からないけど、僕も覚悟を決めた。
こうなってしまった責任が僕にもあるから。
綾子だけに背負わすわけにいかない。
綾子がやるなら僕も…
またいつか笑い合える日を信じて…
次の日の朝、綾子の自殺が確認された。
騒然とする住宅街の人々を横目に見ながら僕は学校へと向かった。
綾子の決意はムダにしない。
不思議と涙は出なかった。
想像を遥かに越える綾子の苦悩に、問い返す事も、励ます事も出来ず、
ただブランコに乗ってるだけの自分に苛立ちを覚えた。
綾子の告白は、今までの綾子の笑顔さえも僕の記憶から奪い去って行く気がした。
数分間の沈黙の後、綾子はブランコから立ち上がり、公園の出口に向かいながら
「冬の夜の空気って、静かで寂しいけど、優しく包んでくれるから好きなんだ。」
と、小声で呟き、そしてブランコから立ち上がり綾子を追いかけようとしていた僕の方を振り向き
さっきとは違う強い口調で
「もう…もう…会う事はないけど…私は絶対忘れないから!…たくさんの幸せをありがとう。
花火大会の夜がなかったら私はこんなに我慢出来なかったよ。
ホントに幸せだった!」
今日初めて綾子が見せた感情。
僕は動けなくなった。
月明かりに照らされた綾子の顔に、流れ星のような涙が一筋。
「ありがとう…心から大好きだから。
忘れないでとは言わない。あなたの思い出の中、小さくてもいいから私の場所があるなら、そこで生きさせて。」
綾子を抱き締めたいのに、足が動かない。
思考がストップしてしまい、何も出来なかった。
月明かりを小さな背中に浴びながら、綾子は公園を出ていった。
追いかける事も、引き止める事も、抱き締める事も何も出来ずに僕は膝から崩れ落ちた。
自分の知らない間に涙が出ていた。
どんだけの間そうしていたかも分からないけど、僕も覚悟を決めた。
こうなってしまった責任が僕にもあるから。
綾子だけに背負わすわけにいかない。
綾子がやるなら僕も…
またいつか笑い合える日を信じて…
次の日の朝、綾子の自殺が確認された。
騒然とする住宅街の人々を横目に見ながら僕は学校へと向かった。
綾子の決意はムダにしない。
不思議と涙は出なかった。
4章
もちろんだと言い、時間と場所だけ決めて電話を切った。
本来なら喜ばしいはずの綾子との再会だが、今日これから聞く話は決して楽しいわけがない事位はわかっている。
それでもどこかに綾子と会える喜びを感じてる自分が情けなくなった。
手早く支度をして、待ち合わせ場所となっている近所にある滑り台とブランコしか置いてない小さい公園へとむかった。
いつもなら綾子と笑い合いながら乗るはずのブランコが、寂しげに揺れているのが遠くに見えた。
待ち合わせ時間より早く着いてしまったが、ブランコに腰をかけている綾子がいた。
月を見上げながら 軽く揺れている綾子のシルエットは夏に見た綾子とは別人に思えた。
夏よりも厚着をしてるのに、小さく見える綾子に近付き声をかけたが、何か考えてたのか鈍い反応でこちらを振り向いた。
綾子の顔には久しぶりに会ったという感情はなかったうえに、綾子らしさが全くなくなっていた。
僕は隣のブランコに座り、改めて変わり果てた綾子の横顔を見た。
月明かりに照らされて青白く見えるからか、
綾子の顔は生気をなくした、まるで能面のような印象を与えた。
これが綾子なのか?
僕が知ってる綾子らしさという部分が見事に無くなって、見知らぬ女性と言った方が早い位に変わり果てていた。
呆然としている僕に、綾子は話しだした。
本来なら喜ばしいはずの綾子との再会だが、今日これから聞く話は決して楽しいわけがない事位はわかっている。
それでもどこかに綾子と会える喜びを感じてる自分が情けなくなった。
手早く支度をして、待ち合わせ場所となっている近所にある滑り台とブランコしか置いてない小さい公園へとむかった。
いつもなら綾子と笑い合いながら乗るはずのブランコが、寂しげに揺れているのが遠くに見えた。
待ち合わせ時間より早く着いてしまったが、ブランコに腰をかけている綾子がいた。
月を見上げながら 軽く揺れている綾子のシルエットは夏に見た綾子とは別人に思えた。
夏よりも厚着をしてるのに、小さく見える綾子に近付き声をかけたが、何か考えてたのか鈍い反応でこちらを振り向いた。
綾子の顔には久しぶりに会ったという感情はなかったうえに、綾子らしさが全くなくなっていた。
僕は隣のブランコに座り、改めて変わり果てた綾子の横顔を見た。
月明かりに照らされて青白く見えるからか、
綾子の顔は生気をなくした、まるで能面のような印象を与えた。
これが綾子なのか?
僕が知ってる綾子らしさという部分が見事に無くなって、見知らぬ女性と言った方が早い位に変わり果てていた。
呆然としている僕に、綾子は話しだした。
