遅ればせながら、先日、7月6日にNHKで放送されました、横浜流星さん主演の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」第26話のネタバレ&個人的感想を。



江戸城では、渡辺謙さん演じる、田沼意次と、相島一之さん演じる、松平康福らの老中達が、米の不作についての報告を受けていました。


浅間山の噴火による、火山灰と冷夏による『天明の大飢饉』が発生し「今年の年貢は厳しい」と言う見込みでした。


大坂の堂島の市場では、米が値上がりし、江戸にも、その影響が出ていました。

意次は、直ちに、商人達に向けて「2倍になった米の値段を下げるように」と命じます。


商人達が、幕府の指示に従うかは不透明で、暫定的な対策ではありましたが、それでも早急な指示を出さない訳には行きませんでした。


小松和重さん演じる、水野忠友は「来年、豊作になれば、値段はまた、元に戻る!」と楽観的でしたが「このままでは全てを失う!」と、危機感を露わにする、意次でした。



一方、日本橋の大店の店主となった、横浜流星さん演じる、蔦重も米の高騰に頭を悩ませていました。


今や、耕書堂の奉公人は8人。


蔦重は顔が広く、絵師や作家達も勝手に上がり込んで食べるので、残る米は、たったの一俵になっていました。


その客人の中に、ある女をみつけた蔦重は「ババア! 手前、今更何しに来やがったんだ!」と、怒鳴ります。

すると、女は「お前、おっかさんを捨てんのかい!?」と怒鳴り返しました。


それは、吉原に蔦重を残して去っていった、高岡早紀さん演じる、母親の『つよ』でした。

店から追い払おうとする蔦重を、吉川愛さん演じる、妻のていが「孝行したいときに親はなし」と申します。


「鳩に三枝の礼あり、烏に半哺の孝ありと申します」と、ていが止め、つよは、また店に戻りました。

(* 鳩に三枝の礼あり、烏に半哺の孝ありとは、
子鳩は親鳩の止まっている枝より、三枝下に止まって礼節を守り、烏は親の恩に報いる為、親鳥の口に餌をふくませ孝行する *)


【子供が親に対して、礼儀を尽くし、孝行をしなければならない事を説いたもの】



下野(しもつけ)で髪結いをしていた、つよは、折からの不作で、食べるにも困っていたのでした。

蔦重が帰宅すると、店の座敷で旅人の髷を直している、つよ。


「勝手に商売するな!」と蔦重が咎めますが「髪結い代は貰っていない!」とつよ。


「よろしければ、髪結いの間にこちらを!」と、髪を結っている間に、耕書堂の本を、客に読んで貰っていたのでした。


それが、本の宣伝だと直ぐに理解した蔦重は「なるへそ!」と納得し、自らも、本の作者や由来を話して売り込みを始めました。

夕飯の席で、ていは「絵や本の繋がりを示した

『品の系図』を作ってはどうか?」と提案しました。

「蔦重がセールス・トークに本の作者や、由来を盛り込んでいたのを見て『品の系図』があれば、蔦重以外の店員でも、セールスが出来るのでは?」と、ていは考えたのでした。


蔦重は『品の系図』の製作を、ていに頼みました。


そんな仲の良い蔦重と、ていのやりとりを見て、拗ねる、染谷翔太さん演じる、歌麿。

蔦重と歌麿の仲について、ていは「もし、そういうコなら、どうぞご遠慮なく」と伝えますが、蔦重は、もちろん否定し、それを歌麿は、隣の部屋で聞いていました。

蔦重とていは、店を共同で切り盛りする為の契約結婚だった為、それまでは、別々の部屋で寝起きをしていました。

しかし、つよが一緒に暮らすようになり、ていは蔦重の部屋に移り、衝立を挟んで寝ていました。

偶然、蔦重の手が自分の手に触れ、そのの手を見つめる、ていでした。


一方、駿河屋では、米の高騰に頭を悩ませていた蔦重が、米を金に変える商売をする、林家たいへいさん演じる、札差の大引赤蔵を、もてなしていました。



桐谷健太さん演じる、人気狂歌師の大田南畝も招いて、狂歌の指南をして貰い、感激した、大引赤蔵が、古米や古古米を安く売ってくれるという事になりました。


その快諾ぶりに「米が無いわけでは無い」と確信した、大田南畝は「米を持ってる連中が、売り惜しみして、値を吊り上げてって事なんじゃないか?」と、人為的に値が上げられている事に気づきます。



そして「搗く音に 無限の米を 降らせよや ここに三俵 かしこに五俵」と詠み「米!来〜い!」と天に向かって叫びました。


2人は、正月に向けて、景気良く、狂歌集を作る事に決めました。



蔦重と、大田南畝は「正月だ、はあ、めでてぇ、さあ、めでてえさあって、歌を詠んで、本当に、めでてえ世にしちまおうって寸法よ! 俺達や、米一粒作れねえ、この世の役立たずじゃねえか、

そんな俺達に出来る事ってな、天に向かって、言霊を投げつけることだけだろ!」と言い、挿絵を入れて、黄表紙仕立ての狂歌集にする事に決め、歌麿が絵を担当する事になりました。



高橋英樹さん演じる、徳川御三家の一つ、紀州・徳川家の徳川治貞が江戸城を訪れ、幕府が未だ、米の高騰を抑えられていない事を叱責します。


「足軽上がりが、かような世を作り出した責めをどう負うつもりか! いつまでも紀州が支えると思うなよ!」と辛辣でした。


「必ずや、米の値を下げる策を出します故、どうかしばし!しばし!」と、足軽の出をバカにされ、平伏して謝罪する、父・意次の姿を見た、宮沢氷魚さん演じる、田沼意知は、蔦重の店を訪ねます。


意知は、蔦重に「どうすれば、商人達が米の値を下げに走る?」と問います。


蔦重は、大田南畝と作っている『歳旦狂歌集』を見せ「これも、米の値を下げる企みのだ」と語ります。


感心する意知に「そうでもしなければ、生きてこられなかった」と答える蔦重。


「地本問屋内にも、株仲間のような仲間がありまして、そこに認めてもらえねえと、市中に本を流して貰えねえんですよ、仲間など無ければ、自由に商売が出来るのにと、憤りながら、ここまで、工夫を凝らして商いを続けて来たんです!」と話す、蔦重の言葉を聞き、何かを閃いた、意知でした。



暮れ『歳旦狂歌集』の草稿が、遂に、出来上がりました。


「時間の無い中、歌麿が頑張った!」と労い、2人が喜び合っていると、つよが、やって来ました。


「ていが『品の系図』を置いて出ていった」と言うのでした。


「拙いものですが、お約束の系図、出来上がりました、皆様のご多幸と、蔦屋の繁盛を心より、お祈り申し上げます てい」との置き手紙を残していました。


ていが出ていった事に責任を感じる歌麿。


以前「出家を考えている」と話していた、ていの言葉を思い出し、蔦重は寺へ向かって走りました。


寺の前で、ていの姿を認め、階段を駆け上がり、「同じ部屋が嫌なら、客用の座敷に移る」と話す蔦重。


しかし、「江戸一の利き者の妻は、私では務まらぬと存じます、私は石頭のつまらぬ女です、母上様のような、客あしらいは出来ず、歌さんや、集まる方達のように、才が有る訳でも無く」と言う、ていに、蔦重は「俺は、おていさんの事、つまんねえって、思った事なんか、無えですぜ! 説教めいた話は面白えし、縁の下の力持ちみてえな所も好きでさぁね、けど、んなのは、細けえ事で『出会っちまった!』って思ったんでさ、俺と、同じ考えで、同じ辛さを味わって来た人が居たって、この人なら、この先、山があって、谷があっても、一緒に歩いてくれんじゃねえか?って、いや、一緒に歩きてえって、おていさんは、俺が俺の為だけに目利きした、たった一人の女房でさ!」と言う、蔦重の言葉に、ていは涙を流します。


この夜、2人は初めて本当の夫婦になりました。


隣の部屋では歌麿が「良かったなぁ〜!蔦重、

良かった」と呟き、布団を被りました。


翌朝、歌麿の絵に「千代女画」という、女名を見つけた蔦重が理由を尋ねると「生まれ変わるなら女が良いからさ!」と答えた歌麿でした。



田沼意次達老中は、紀州・徳川治貞に「大坂、京都、駿河、西国の大名に米を送るよう命じたので、年明けには江戸に米が入ってくる、それを米問屋や、仲買いが売り惜しみしないよう、米に関わる株仲間をしばらく廃する、商人達が結託して値を吊り上げる事を阻止する」と、対策を話しました。


これは、意知が思いついた案でした。


江戸城を去る、意知と意次の姿を見て、吉原で会った、花野雲助が、田沼意知だという事に気づき、顔を歪める、ひょうろくさん演じる、松前廣年と、その廣年を見つめる、えなりかずきさん演じる、松前道廣。


そして、2人の様子を一瞥して立ち去る、矢本悠馬さん演じる、佐野政言。


第26話は、ここまで。


今回の第26話は「天明の大飢饉」が描かれ「古古米に、備蓄米放出」という、現在とリンクする場面が描かれました。


今回、時事ネタを取り込んだ、森下佳子さんの脚本は、見事でした。


今回の第26話のサブタイトルは「3人の女」でしたが、1人目は、高岡早紀さん演じる、蔦重の母の、つよ。


そして、2人目は、橋本愛さん演じる、蔦重の妻、てい。


3人目は、個人的な考えになりますが、染谷翔太さん演じる、歌麿だと思いました。


蔦重と、ていが、本当の夫婦になり、複雑な新規ながらも「良かったな、蔦重!」と、布団の中で呟いたり、自らが描いた絵に『千代女画』と記していた事から、そう考えたのですが、皆さんは、どう思われましたか?


次回は、何やら、意知と、松前兄弟&佐野政言との間に、不穏な空気が?


果たして、意知は大丈夫なのでしょうか?


次回も楽しみです。