遅ればせながら、先日、5月3日の22時から、NHKで放送されました、米倉涼子さん主演の土曜ドラマ「エンジェルフライト」の第1話のネタバレ&個人的感想を。



この物語は、海外で亡くなった方の遺体を祖国に搬送する、専門家集団=『国際霊柩送還士』の活動を描いた作品です。


原作は佐々涼子氏の「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」 (集英社文庫)という、ノンフィクションで、ドラマに登場する「エアハース・インターナショナル」という企業は実在します。



第1話のタイトルは「スラムに散った夢」



マニラのスラム街で、ギャングの抗争が起き、葉山奨之さん演じる、日本人の杉原陽平が巻き込まれて亡くなったという事件が起きました。


大使館から連絡を受けた両親は、急いで現地へ飛びます。


陽平は、4年前に実家を出て行って以来、音信不通でした。


現地では、大朏岳優(おおつき たけひろ)さん、演じる、日本大使館員の村井隆が両親を出迎えました。


「暴行を受けているから、遺体の状況は芳しくないカと説明された為、杉本哲太さん演じる、父の辰彦が遺体を確認します。


勘当したとは言え、息子の変わり果てた姿に胸を痛めた辰彦は、麻生祐未さん演じる、妻の佐千恵には「見るな」と伝えます。


順当に行けば、エンジェルハースが直ぐに遺体を引き取りに行く筈だったのですが「陽平さんの遺体が盗まれた!」との連絡が入ります。


それに続いて辰彦から「それなら、それで、遺体は要らない」との知らせが入りました。


遠藤憲一さん演じる、会長の柏木史郎は、あっさり仕事をキャンセルしようとしますが、米倉涼子さん演じる、伊沢那美は納得出来ません。


早速、マニラに飛んで、遺体を探す事にします。  

また、杉原夫妻の様子も気になったようでした。


柏木は、松本穂香さん演じる、高木凛子を監視役につけました。


案の定、杉原達は食事も取らずに憔悴しきっていました。


那美は「マニラの日本人コミュニティと連絡を取ったから、一緒に話を聞きに行こう」と誘いますが、辰彦は「疲れているから」と那美の誘いを断ります。


杉本哲太さん演じる、陽平の父の辰彦は「勘当した息子の遺体は不要! ギャングになった奴なんか知らない!」と言い、麻生祐未さん演じる、妻の佐千恵を連れて、日本へ戻ってしまいます。


那美と凛子は、陽平の事を、よく知る人々から、話を聞きます。


皆、一様に「何をやっても長続きしないが、可愛げのある奴だった」と教えてくれました。


この話を、後から付いて来た、杉原夫妻も聞いていたようでした。


辰彦は、いかにも呆れ果てた様子でした。


彼は、裸一貫で成功した自分の経験を、陽平に押し付けていたようで、何をやっても、中途半端な息子を恥じていたようでした。


野呂佳代さん演じる、事務担当の松山みのりが、陽平が、7年前に起こした、バイト・テロについての動画を見つけ出します。


そこには、某・有名飲食チェーン店の厨房のシンクで、泡まみれになって入浴している陽平の姿が。


これにより、陽平は「バカッター」と呼ばれ、高名な建築家だった辰彦も、陽平同様、世間から、バッシングにあい、引退同然に。


これがキッカケになり、親子の仲が悪くなったのも仕方がないと思われました。


辰彦は「遺体を搬送する金と、葬式代を省いたのが唯一の親孝行だ!」と吐き捨てました。


那美が、どんなに「最後に一目でも会わないと、必ず後悔します!」と説得しても、全く耳を貸しません。


しかし、佐千恵は、幼い頃の陽平を思い返します。


確かに不器用で、勉強は、あまり出来なかったものの、母親思いで、いつもニコニコ笑っていた可愛い子供だったそうです。


佐千恵の為に「なんでも券」を作り「やって欲しい事があったら、これに書くように」促したという事で、その頃は、辰彦にも、良く懐いていたようでした。


佐千恵は辰彦に「どうして、私の子を置いていかなきゃいけないの!」と怒鳴りました。


2人の争いを目にした那美は、「もし、ご遺体を見つけたら搬送を希望しますか?」と、佐千恵の意思を確認すると、佐千恵は「はい!」と答えました。


現地大使館の領事の村井の制止を振り切り、スラム街に乗り込んだ、那美と凛子は、そこで、彼の死に隠された意外な真実を知る事に。


スラムでは、陽平の事を良く知る仲間達が、彼の葬儀を開く為の金を工面しようとしていました。


彼らは「陽平は、ギャングに絡まれて、金を渡しただけで、ギャングだったわけではない!」と教えてくれます。


ギャングは、陽平の空になった財布を奪ったそうで、陽平は、どうしても、財布を取り戻そうとして、ギャングの後を追った為に、酷い暴行を受けて亡くなったという事でした。


陽平が取り戻そうとした、財布の中に入っていたのは、幼い頃、彼が、母に渡していた「なんでも券」でした。


佐千恵は陽平が「出て行く!」と言った時、そこに「いつか帰ってきて!」と記して、彼のリュックに、こっそり「なんでも券」を入れたのでした。


空港で、それを見つけた陽平は涙し、それからもずっと、お守りのように財布に入れて大切にしていたのでした。


奪われた財布を、ようやく手にした陽平は、最後にその「なんでも券」の切れ端を手に握っていたそうです。


最初、スラムの仲間達は「陽平には、親は居ない!」と豪語して、なかなか遺体を渡してくれませんでしたが、那美が、涙ながらに日本語で「どうか、彼を母の元へ返してください!」と懇願し、土下座をすると、その気持ちが伝わったらしく、最後は快く遺体を引き渡してくれました。


那美と凛子は早速、陽平の遺体を日本に運び、城田優さん演じる、柊秀介の修復処置によって、怪我をした箇所も、全て綺麗に修復して、ありし日の陽平の姿を復元しました。


遺体を修復して復元する為に、写真も送ってもらっていたようでした。


修復処置が終わり、生前の姿さながらに蘇った、陽平は、両親の元へ届けられ、杉原家のリビングで「お会いになりませんか?」と那美は、母の佐千恵に声を掛け、佐千恵は、陽平の遺体を覗いて「きれい、昔の陽平みたい」と言いますが、夫の辰彦が、佐千恵を止めます。



那美は、辰彦に「陽平君は、ギャングになったんではありませんでした、若者達を集めて、貧困地域で農園を作り、希望を育てようと、農園をやる予定でした、荒れた土地を耕し、苗を植えると言い、農園作りに取り掛かっていたようです」と言います。


「そんなんで、上手くいくわけがないだろ、どうせ投げ出したんだ!」と言う辰彦。


「確かに上手く行かなかったかもしれません、でも、頑張っていたと思います、失敗しても、何度も何度も、そんなに頑張れる人はいないし、陽平君は、何度失敗しても頑張っていたと思う、夢が見つからない人、やりたい事が分からない人は、たくさんいるし、ほとんどの人は、そうなんじゃないか?」と、自分の境遇と重ね合わせて、辰彦に思わず言ってしまいます。


そして「陽平君、頑張って、ここまで帰ってきてくれたと思いますよ。」 


「むこうで、陽平くんの事を悪く言う人はいませんでした、愛されてたんですよ、それが、彼の魅力なんだと私は思います」と言い、陽平の遺品を渡します。


遺品は、ビニールパックに入った、財布と紙の切れ端でした。


「これ、握りしめていたんですね」と、那美に聞く、佐千恵。


「二度と帰って来ないから!」と言った、陽平のリュックのポケットに、佐千恵が、そっと入れた紙でした。


それは、陽平が、小さい頃に作った、あの「なんでも券」でした。


「お帰りなさい、陽平」・「陽平、よく頑張った」と、両親が、それぞれ言います。


「息子を送り届けてくださり、ありがとうございました、胸を張って、送り出してやろうと思います」と、辰彦は言いました。


仕事を終えた後、那美は凛子に「遺された人達は、前を向いて生きていかねばならない、その為には、せめて、最後のお別れをさせてあげて、とことん、悲しんでもらわなければ、それが、私達の仕事。大切な人に、お別れも言えないなんて、辛らすぎる」と。



帰宅した、那美には子供が2人居たのでした。


男の子と女の子。


年は、中学生くらい?


「また、ソファで寝ないでよ!」と娘に言われた那美。


その伊沢の前に現れたのは、向井理さん演じる、足立幸人という男性。


彼は、那美に「今日、工場で作ったんだ、今は、これしかあげられないけど」と言って、小さな指輪を差し出するのでした。


翌朝、ソファで1人で目覚めた、那美。



第1話は、ここまで。



米倉涼子さん主演のドラマ「エンジェルフライト」の第1話は、亡き人の想いと、残された家族の心を繋ぐ、感動のヒューマン・ドラマとして、描かれました。



ギャングに命を奪われた陽平が守り続けた「なんでも券」は、彼が最後まで「家族」を信じていた証であり、その姿は「命を超えて届く想い」の象徴だと思いました。


また、遺体搬送の現場で働く、プロフェッショナル達の信念や誇り、そして、彼らが、どんな思いで遺族と向き合っているのかが、丁寧に描かれていて『死』を通して『生きる意味』を問いかけるドラマとなっていました。


今後は、伊沢那美自身の過去、向井理さん、演じる、謎の男・足立幸人の存在などが明らかにされて行きそうで、ヒューマン・ドラマと、サスペンスを融合した内容になりそうな予感が高まります。


次回も楽しみです。