先日、6月18日の22時から、NHKのドラマ10枠にて放送された、石橋静河さん主演のドラマでも燕は戻ってこない」の第8話のネタバレ&個人的感想を。


毎日文学賞と、吉川英治文学賞をW受賞した、桐野夏生さんの同名小説が原作の、このドラマは

『命は誰のものか?』という重要なテーマを扱った鮮烈なエンター・テイメント作品です。



つわりに苦しむ、石橋静河さん演じるリキは、腹立ちまぎれに、戸次重幸さん演じる日高と、森崎ウィンさん演じるダイキに妊娠を伝え、それぞれに父親の可能性があると告げます。


一方、内田有紀さん演じる悠子は、リキから打ち明けられた秘密を抱え続けている事に耐え切れずに稲垣吾郎さん演じる、基に、全てを話してしまいます。


リキに宿った双子の父親かもしれない3人は、三者三様の反応を示しました。


基は「契約違反だ!」と憤慨し、日高は、相変わらず無責任で「自分が、リキに性の喜びを教えた所為で、リキが淫乱になってしまった!」と電話越しに喜んでいました。


リキから「DNA鑑定をして、もし、自分の子だったら認知してくれる?」と聞かれた日高は「妻が許せば引き受ける」と答えます。


一方、ダイキは「妊娠出来て良かった」と純粋に喜び、お腹の子が「双子」だと聞いて狂喜し、結局、教師になれず、ヒモになろうかと考えていたにも関わらず「沖縄においでよ! こっちで一緒に育てよう!」などと相変わらずお気楽でした。


悠子から、リキの秘密を聞かされた基は、激しく混乱し、リキに会いに行きますが、リキから意見を求められた基は「自分の子供じゃないかもしれない子供を育てる事は出来ないから、最初から、やり直してくれ!」と語ります。


すると、リキは基に、自分は中絶したいのだが、悠子から「誰の子であろうと必ず産んでくれ!」と頼まれた事を教えました。


「でも、今更、500万返せと言われても無理だから、基が堕ろせというなら堕す!」と言い渡しました。


そして「中絶出来る内に結論を出して欲しい!」と基に告げました。


帰宅し、基は、リキに会った事を告げ「自分の子供じゃないかもしれない子供を育てる事は出来ない!」と言った事を悠子に告げると、悠子は「一体どう言う事?」と驚き、基が思いもよらなかった事を言い出します。


「悠子は、これまで3度流産したけれど、それでも3つの命を授かった事は事実だと主張し、犬のマチューは、その命の中の1つだと考えていた、そして、今度の双子は、残る2つの生命の生まれ変わりに違いない! リキのお腹の子は、この世に生まれるべくして授かった子供なのだ!」と言います。


基は大いに混乱し「今、リキのお腹にいる双子はそもそもは『基と悠子の子供』として、生まれてくる筈の命だったから、悠子の気が済むようにすれば良いのか? 悠子に子どもをあげる為に、金を払ったと思えばいいのか?」と言います。


しかし、悠子は「子どもの為には、いっそ、私が消えて、本当の両親が育てるべきだと言い、私は生まれてくる子を、幸せにしたいだけなの!」と言います。


続けて「リキは、基の妻にさえなれば、お金の心配をしなくていいから、母親になれる筈」だと。


その後、基は、黒木瞳さん演じる母の千味子に、「父親の秘密」の事は伏せて、悠子が別れたいと言い出した事だけ伝えました。


千味子は「逃げたのか?」と苦笑します。


そして「根性だけはあると思っていたのに、でもちょうど良いじゃない? 邪魔な女達が消えて、ほしかった「基の遺伝子を引き継いだ子供」だけ手に入るのだから!」と開き直ります。


その後、基は、バレエスクールの教え子で、スカラシップを狙っている、利田太一さん演じる貴大を通して大切な事を学びます。


貴大は、ごく普通の家庭に生まれ育った子供で、たまたま、バレエを習っていた姉に付き添い、スクールに来て、姉は、とっくに辞めたのに、いつの間にか、バレエが大好きになり、そのまま続けて来たのだそうでした。


基は、そんな貴大の熱心さを大いに評価し「何とかして、一流にしてやりたい!」と考えていました。


貴大の母親は才能が無いなら、早めに諦めさせて欲しいと申し出ましたが、基はキッパリ「問題は生まれ持った才能ではない!」と豪語し「彼のバレエへの愛情と情熱こそが『才能』だと言いました。


基は、リキのお腹の子が「自分の子」で無いかもしれないと言う事に拘っていましたが、貴大が、懸命に稽古する姿を見て、ようやく、その矛盾に気づきました。


バレエという芸術は、1人のダンサーや、その子供もだけが作り上げたものでは無く、長い長い時間をかけて、多くのダンサーによって培われた

「歴史」なのだという事を、基は、今回ようやく実感したのでした。


一方、悠子は、リキが産婦人科から貰って来た、胎児のDVDを基に送りました。


リキは「まだ見ていない」と言いましたが、悠子は、これを見て大いに感動します。


それは、基も同じで、何度も繰り返し見ながら涙を流しました。


その後、基はリキに電話を掛け、リキから「双子は、男の子と女の子です!」と聞くと、優しい顔で微笑み「産んでください!」と言いました。


リキは、千味子に渡されたサプリが効いたのか、つわりは、すっかり収まりました。


ある日、そんなリキに、中村優子さん演じる、りりこが電話を掛けて来て「早く仕事を手伝って欲しい!」と依頼します。


りりこは、実家の病院の看護寮だった建物を改造した、シェアハウスを営んでいて、そこには、いとうせいこうさん演じる叔父のタカシと、竹内郁子さん演じる、家政婦の杉本が住んでおり、他にも住人がいるとの事。


りりこは、リキも一緒に住むように勧め、リキは喜んで引っ越してきました。


タカシは、リキの妊娠を「悪い男に騙された」と思い込んでいようで「ここは、安心できる場所だからね」と語りかけ、杉本は「赤ちゃんが生まれるのは嬉しい!」と手放しで、リキを歓迎してくれます。


リキは、ようやくここで「妊娠」という本来なら喜ばしい筈の出来事に対し、何の打算も思惑も無い、真っ当な対応をされました。



リキは、りり子に「つわりが、こんなに酷いものだとは思わなかった」と打ち明けます。


男女が一緒に交わったのに、なぜ女だけが、こんな辛い思いをしなければならないのか?」とリキは春画を眺めながら考えます。


そして「何故、妊娠した時の事や、妊娠後の事は描かないのか?」と、りり子に疑問を呈します。


りり子は「性交の楽しさの後に、女だけが割を食う、そもそも、春画の絵師は、男がほとんどだ」とりり子は言い「春画はあくまでも『束の間の夢の世界』だ」と言い「私(りり子)が実際のセックスに興味が無いのは、突き詰めると妊娠が付き纏うからかもしれない」と言いました。


そんな時、悠子が、りり子を訪ねて来ますが、りりこは、久しぶりに訪ねて来た悠子を容赦なく批判します。


「悠子は、基の事ばかり非難するが、リキに負担を強いたのは悠子も同じ、それを、今更、もっくん(基)にだけ責任を押し付けて逃げるなんて、どういうつもり?」と噛みつきました。


そんな2人の話を聞いていた、リキのお腹の子がリキのお腹を蹴りました。


悠子自身が望んでいた「生命」が確実に育っている事を目の当たりにし、悠子は、自分が、どれほど、罪深い事をしたのかを痛感し、恐ろしくなります。


全ては「自分では無い女を母にしてでも、子供を欲しがった、基への当てつけだった、本当に育てて欲しかったら、基に何も言うべきではなかった私は、一体、何を望んでいたのだろう?」と。


第8話はここまで。


今回も、ほぼ原作通りにドラマ化されており、非常に丁寧に作られてました。


黒木瞳さん演じる基の母の千味子が、悠子が基に「別れたい」と告げた事を報告するシーンは原作には無く、リキが胎児のDVDを悠子や基に見せるシーン、基のバレエの教え子の貴大とのシーンも原作には存在しない、ドラマ・オリジナルです。


次回は、臨月が近づいたリキの元を基が訪ねてくるようです。


いよいよ最終回も間近。


果たして、どんな展開になるのでしょうか?


次回も非常に楽しみですね。


果たして、原作に忠実に描かれるのでしょうか?