先日、垣根涼介さんの著書「極楽征夷大将軍」を読了しました。


NHKの大河ドラマ「太平記」で、真田広之さんが演じられた足利尊氏。


僕は、大河ドラマ「太平記」は観ておらず、小栗旬さんが主演された、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観ましたので、室町時代は、その後の物語なので、すんなりと読めました。


2段書きで、全459Pの大長編大河小説なんですが7日間で読了。


第169回直木三十五賞受賞作。


室町幕府を開いた、足利尊氏が主人公なんですがこの小説での尊氏は、およそ武士の棟梁とは思えない、ダメダメ武士に描かれています。


周りからは「極楽殿」と呼ばれる、能天気振り。


決断力も胆力も無く、政治には全くの無関心。


実弟の直義や、側近の高師直に政務は丸投げ。


しかしながら、人望だけは人一倍。


以下、ネタバレしない程度にあらすじを。


やる気なし。


使命感なし。


執着なし。


何故、こんな人間が天下を獲れてしまったのか?


動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉幕府の信用は地に堕ちていました。


足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。


やがて、後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り一族を挙げて反旗を翻しました。


一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来た事に愕然とします。


後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなど全く無かったのです。


怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして、新生幕府の樹立を画策し始めます。


混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも、権力の頂点へと登り詰められたのは何故?


幕府の祖でありながら、謎に包まれた、室町幕府初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす、歴史群像劇。



「第169回直木賞受賞作」・足利幕府を開いた、足利尊氏が主人公という事なので、読んでみた

1冊でした。


垣根涼介さんの著書は「君たちに明日はない」シリーズは全て読んだんですが、歴史小説は初読みでした。


足利尊氏・直義兄弟による、室町幕府開廟を描いた、長編大河時代小説。 


非常に長い物語ですが、足利兄弟を幼少期から、弟の直義の没年までを現代的な表現を交えて描いているので非常に読み易かったです。


一昨年のNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観ていましたので「あの家の末裔が、この人なのか?」とか、姓で「応仁の乱まで残る、守護大名は、この家か?」などと、想像しながら、最後まで楽しく読み終えました。

 


物語は、足利直義と、足利家の家宰である、高師直の2人が交互に語るスタイルでした。


「鎌倉殿の13人」から下って、北条家が力を失い後醍醐天皇が反旗を翻すタイミングで、足利家を守る為、尊氏、直義、そして、師直が立ち上がります。


「建武の新政」が成ると、後醍醐天皇は足利家を排除し、武家権力の抑制に動き、そして、南北朝時代に突入します。


足利家・後醍醐天皇以外にも、新田義貞、楠木正成、護良親王、赤松円心、佐々木道誉、北畠顕家・親房親子大塔宮、などの魅力的な人物が続々と登場します。


巻末まで、尊氏の優柔不断、面倒を避ける性質とは対照的に、弟・直義の生真面目さ、師直の親分肌が目立ちます。


結局、師直は直義に滅ぼされ、直義は尊氏に敗れます。


その過程で、尊氏は極楽とんぼから脱皮。


天才的な軍事能力を持ちつつ、幕府には全く興味がない尊氏、しかし、権力闘争は主従、兄弟さえ踏み越えます。


師直、直義の死に様が悲しかったです。


歴史好きの方、必読です。