先日、6月11日の22時から、NHKのドラマ10枠にて放送された、石橋静河さん主演のドラマでも燕は戻ってこない」の第7話のネタバレ&個人的感想を。



毎日文学賞と、吉川英治文学賞をW受賞した、桐野夏生さんの同名小説が原作の、このドラマは

『命は誰のものか?』という重要なテーマを扱った鮮烈なエンター・テイメント作品です。



稲垣吾郎さん演じる、草桶基の自宅では、内田有紀さん演じる、妻の悠子が家を出ていってしまい一方で、石橋静河さん演じるリキは、お腹の子供の父親が誰だか分からなくなり、不安な日々を過ごしていました。


そんな、リキを気に入ってしまった、中村優子さん演じる、悠子の親友の春画作家である、りり子に「私のアシスタントにならない?」と誘われます。


りり子は「あなたの精神が気に入った!」と、リキに言い、生まれて初めて、自分以外の誰かに肯定された事で、リキの中で、何かが変わったのでした。


リキは、アートに興味を持ち、意欲的に学び始めます。



一方、草桶家では、基と悠子の間がギクシャクし始めました。


基は、悠子の事を愛していたからこそ、2人の子供を望んだのでした。


悠子に子供が出来ない事が分かってから、基は、体外受精を考えるようになりました。


しかし、その時、既に、基は「悠子と自分の子供を持ちたい」という気持ちよりも、「自分の遺伝子を残したい」という気持ちの方が強かったのでした。


その事に気づいた悠子は、遂に家を出ていってしまいました。


「これから生まれてくる子供は、私の子供では無い、既に、私は戸籍を抜いて、貴女とは他人なの!」と言い残して。


体外受精の事も、戸籍を抜いた事も、全て、自分が納得して行った事、それを分かっている、悠子でしたが、基のあまりにも自分本位の考えと性格に、悠子が耐えられなくなっての家出だったのでした。


悠子が出ていき、1人になった基は不安でした。


「悠子は、もう戻ってこないのだろうか? 悠子を愛していたからこそ、代理出産を選択したのに」と携帯を眺めながら、悶々と過ごす日々を送る、基なのでした。


ある日、書店に入ったリキは、りり子から頼まれた仕事の事を思い出し、「アート・マネージメント」という本を手に取りました。


たまたま、鈴木蘭々さん演じる、その本の著者である、桜井奈帆のサイン会をしていて、リキは、奈帆から「人生の中で、今が一番若い時、あなたも出来るわよ」と励まされます。


この事がキッカケになり、リキの中で、何かが変わった瞬間でした。


リキは悠子とリリコの事務所を訪ねます。


リリコは、とにかく「代理母ビジネス」が今後どうなるのかに興味があり過ぎて仕方のない様子。


リリコ「ねえ、なんだかエイリアンみたいじゃない? 自分のお腹の中に、自分の子じゃないのがいるんだよ、しかも2匹!気持ち悪くない?」とリキに尋ねますが、こういう事を平気で言うリリコでしたが、意外とリキとは相性が良いのでした。


2人でピザを食べながら、何故か、大いに話が弾みました。


悠子がイラストの仕事が手に付かず、イライラを募らせている時、モグライダーの芝大輔さん演じるクライアントのおちゃらけた男が、悠子の事務所を訪ねて来ました。


クライアントから悠子が依頼を受けた、イラストの締切日が早くなった事を伝えに来たのでした。


一方、リキは、自分の部屋でご飯の匂いを嗅いだ瞬間、吐き気に襲われます。


「つわり」の始まりでした。


双子を妊娠している為、症状が重く、水も、まともに飲めませんでした。


「つわり」がキツい、リキは「スポーツドリンクなどを買ってきて欲しい」と基に連絡します。



リキが助けを求めた時、基は、生徒と、その親と三者面談中でした。


バレエ留学のスカラシップを狙う息子の母親は、サラブレッドでも無い、自分の息子がバレエの世界で生き残っていけるとは思えず、不安に感じていました。


そんな彼女に基は「親の職業や才能で子供の人生が決まるのか? 子供が努力を放棄する理由になるのか?」と反論する中で、自分の矛盾に気づいてしまいます。


リキからの電話を受け、直ぐに動く事が出来ない基は、悠子に連絡するも、悠子は電話を取らない為、黒木瞳さん演じる、母の千美子に連絡し、基から連絡を受けた千味子は買い物を引き受け、リキの家を訪問しました。


2人の初対面でした。


千味子はリキに「大丈夫? 少し寝てなさいね、クッションはある? お腹に当てると、少し楽になるわよ!」と優しくアドバイスして、リキをベッドに寝かせました。


それから千味子は、リキの為に食材を買いに行き保存食を色々と作り始めました。


散らかった部屋、何も無い冷蔵庫を見て、千味子は唖然とします。


テーブルの上に無造作に置いてあった、リキの預金通帳を見てしまった千味子は、自分達がお金を振り込む前は、預金残高がほとんどなかった事にさらに呆然とします。



リキの為に保存食を作り、サプリや、ビタミン剤などを色々与えた千味子は、まるで本当の母親のようでした。


そんな千味子に、リキは自分の身の上を少しずつ話し始めました。


北海道での事、東京に出てきた事、東京でも貧困から抜け出せなかった事、実家住まいの同僚達は使えるお金が多くて羨ましかった事、等々、千味子はその話を熱心に聞いて、しばらくすると帰って行きました。



リキからの電話に気付かなかった悠子は、リキから千味子が自宅に来てくれた事を知らされます。


驚いた悠子は、千味子の元を訪れて「すみませんでした、私がやるべき事なのに」と謝罪します。


すると千味子は「私、わかったわ、彼女(リキ)は、私とは違った人種よ、甘ったれで、何の努力もしない、努力して来なかった事を、周りのせいにして、挙げ句の果てに、自分の身体を売って、大金を背占めようとしている」と言いました。


千味子は、さらに続けて「工場みたいだったわ、原料だけ仕込んで、殺風景な部屋に寝かせて、こっちが忙しくしている間に、子供だけ産んどいてもらえる工場、最低な気分! 何なの、この後味の悪さ?」と言います。


その言葉を聞いた悠子は千味子に「じゃあ、なんだと思ったんですか? 基さんが申し込んで、お母さんが、お金を払ったんですよ! お金にモノを言わせて、貧しい女性を蹂躙しているだけなんですよ!」と言いました。


それを聞いた千味子は「あなただって、縋ったじゃない! 彼女に払う1000万、高くないって事は分かったわ、あのお金は、産んだ後に消えてもらう為のお金よ!」と言います。


更に千味子は「私ね、貴女の事が気に入っている訳じゃないのよ、でもね、この罪悪感、この先、貴女とずっと背負っていくのだと思うと…」と言い言葉を終えました。



悠子は、ようやく家に戻る事にしました。


悠子が戻って、基は大喜びです。


「良かったよ! 帰って来てくれて」と悠子に言いました。


悠子は思わず基に「1人で秘密持ってるの、耐え切れそうにないのよ!」と言ってしまいました。


「なに?秘密って?」と尋ねる基。


第7話は、ここまで。


今回の第7話は、ドラマ・オリジナルのシーンがほとんどでした。


原作では、リキは、りり子の仕事を手伝う為に、りり子の実家の病院の寮に住み、そこに住む人々との共同生活を始める事になります。


なので、つわりがキツくなって、千味子がリキに会いに来る事も無く、リキと千味子は会う事の無いまま、リキは双子を出産します。


もちろん、書店に行くシーンも原作には無く、


鈴木蘭々さん演じる、桜井奈帆も原作には登場しないドラマ・オリジナルです。


ただ、終盤の基と悠子のシーンは、ほぼ原作通りに描かれてました。


次回は、遂に悠子がリキと共有した秘密を、基に暴露してしまうようです。


果たして、基は、リキに対して、どういう対応を取るのでしょうか?


誰もが上手く行くと信じようとしていた、代理出産プロジェクトは「ガラガラ」と音を立てて、足元から崩れて行くのでしょうか?


次回も楽しみです。