昨日、4月23日の22時から、NHKの「ドラマ10」枠にて放送されました、小芝風化さん・安田顕さん主演のドラマ「天使の耳」第4話(最終回)のネタバレ&個人的感想を。
トラックの横転死亡事故の原因を作った、山下容莉枝さん演じる、主婦の石井聡子が歩行者だった為、事故の加害者にはならず、小芝風花さん演じる、陣内瞬は、やり切れない思いを抱えます。
安田顕さん演じる、上司の金沢も同じく怒りを顕にします。
金沢が珍しく感情的になった事に驚く、瞬。
偶然、檀れいさん演じる、課長の斎藤と、金沢の会話を聞いてしまい、金沢が、15年前に、星野真里さん演じる、妻の絵美を亡くしていたという事実を知ります。
絵美も、同じ交通課の女性警察官でした。
自宅で心臓病の発作が起きて、季節外れの大雪が降った為、救急車の到着が遅れると聞き、金沢は自分で車を運転して病院に向かいました。
ところが、普段から使っている抜け道に、路上駐車の車があり、金沢が、何度クラクション鳴らしても誰も出て来る事は無く、相手の車にぶつかってでも通り抜けようとしたのですが、それも叶わず、仕方なく引き返し病院に着いたのですが、間に合わなかったのでした。
「後15分、到着が早ければ助かったかも?」と、金沢は医師から言われたのでした。
その後、金沢は路上駐車した車にぶつけた事実を上司に報告し、相手に謝罪して示談に。
その後、瞬が調べた過去の記録には、高島豪志さん演じる、路上駐車した、佐原が、当て逃げの被害者で金沢が加害者と記されていました。
一方、伊藤潤さん演じる、トラック運転手の向井恒夫は死亡し、金沢と瞬は、内藤理沙さん演じる妻の彩子に会いに行きます。
「石井は飛び出しで、道路交通法違反ではあるが法律上は、運転手の前方不注意になる」という説明を受けた彩子は、夫が加害者になるという事実に納得出来ず「人殺しを捕まえられずに、何が警察よ!」と泣き叫びます、
咄嗟に謝ろうとする瞬を、金沢が制しました。
帰路、やりきれない思いで涙する瞬の言葉から、瞬が自分の過去を知ったと気づく金沢。
瞬は傷ついた人を救えず、奇跡の耳を持つ、飯沼愛さん演じる、奈穂の嘘を知りながら、そのままにしている自分に悩んでいました。
「良い警察官って何ですかね?」と、思わず金沢に訊ねますが、金沢からの返事は「俺に分かる筈無いだろう」でした。
後日、石井はストーカー被害を出して来ました。
金沢は石井に電話で注意を促し、彼女が居る現場まで、車で駆け付けます。
瞬も別の車で後を追いました。
到着した瞬は、石井の車の前に飛び出した彩子を助けます。
彩子は石井の車に轢かれて、夫と同じように石井を加害者にしようとしたのでした。
署に戻った瞬は、先に到着した金沢に「なぜ彩子を止めなかったのか?」と訊ね、金沢は「俺に、止められるわけがないだろう!」と声を荒げました。
その後、瞬は、15年前の路上駐車した佐原が、自過失による、自動車転落事故で死亡していた事を知り驚きます。
佐原は別荘地付近の山道を利用し、自宅へ帰ろうとしていた際、誤って禁止区域の山道に侵入し、カーブを曲がるも横滑りし崖下へと転落。
その衝撃で、頭部を激しく損傷し死亡。
調書には「大量のアルコールを摂取していた」と書かれてありました。
金沢の妻が死んだ、2か月後だった事から、瞬は「ある仮説」を立てました。
瞬は、佐原の事故死の事で、金沢から話を訊こうと、彼の家を訪ねましたが、金沢は、妻の墓参りに行く所でした。
一度は帰ろうとした瞬でしたが、妻の墓前に居る金沢に「彩子さんを止められなかった理由が分かりました」と伝えました。
金沢が懐から出した『正義』のお守りを見た瞬は幼い頃に自分を助けてくれた女性警察官が、金沢の妻の絵美だと気付きました。
金沢は15年前の事故の真相を、瞬に話します。
金沢は、佐原に謝罪し、求められるまま修理代を支払いました。
警察官だと信用させて親しくなり、パーティーを口実にして別荘へ誘い、佐原の好きな酒類を沢山用意して、友人の話だと、絵美が死に至った話を佐原に語りました。
酒を飲みながら話を聞いていた佐原は、それが、金沢自身の話で、自分の路上駐車の所為で、彼の妻が死んだという事実に気づき、怖くなって車を運転して帰ろうとしました。
金沢の運転する車が後を追い、細い山道に1台の車が路上駐車しており、佐原の車の行く手を阻みました。
その車を避けて通り過ぎようとした佐原でしたがハンドルを切り損ね、車は崖下に滑落し、死に至ったのでした。
「俺は人殺しだ」と告白した金沢は、『正義』のお守りが「理不尽な事故を未然に防ぐ為に一緒に頑張る」という妻との約束だったと話しました。
「亡き妻の思いを継ぐ為に自首しなかったのだ」と理解を示す瞬に「俺が自首したら、佐原は、また被害者になる、絵美を殺した加害者なのに、許せる訳がないだろう!」と金沢は言いました。
それでも金沢が、「自分のように苦しむ人を失くす為に頑張ってきた」と理解を示そうとする瞬。
金沢は「忘れたくなかっただけかもしれない、絵美は、もう居ないから」と告げ、瞬も「忘れないでください、私も、私を助けてくれた絵美さんの事をこれからもずっと忘れません」と『正義』のお守りを見せながら言いました。
そして「良い警察官が何だか分からないけど、絵美さんに近づけるよう、交通事故に傷ついた人を救えるように、このお守りに、絵美さんに恥じない警察官になります、だから、金沢さんも...」と伝えました。
手錠を嵌められて、署に連行される金沢は、振り返りながら瞬に「お前は人の心に寄り添える、良い警察官になれるよ、ただ、距離感に気をつけろよ!」と言います。
瞬に最後のアドバイスをして、パトカーに乗り込む金沢。
走るパトカーのラジオから松任谷由実さんの「リフレインが叫んでる」が流れて来ました。
第4話(最終回)は、これで完結です。
前回の第3話から続く、トラックの横転事故は、原作では『分離帯』編で収録。
原作の事故担当警察官は、溝口琢矢さん演じる、世良一之で、事故死したトラック運転手の妻と同級生という設定です。
ドラマでは、今回も当初は、瞬と金沢が担当しましたが、金沢が問題を起こした為に、原作と同じ世良が引き継ぐ事になります。
そして、金沢の問題行動に起因して明かされていく、15年前の路上駐車による事故は、原作では
『通りゃんせ』編として収録。
原作では、子供の死亡から、激しい憎悪に膨れ上がり、もう一つの事故が起きるのですが、ドラマでは、金沢の妻の死に変更されています。
そして、この事故に、第1話で、ドラマオリジナルで紹介された「瞬が、交通警察官を目指す、きっかけとなった女性警官と、彼女から貰った『正義』のお守り」が関係して来ます。
最終回では、全編を通して、抑えめの演技で通してきた安田顕さんが、激しい感情を現したり、叫び声を上げる場面がありました。
そして、各話で描かれた、ブラック・テイストな結末を、金沢が深追いしなかった事も、そういう訳があったのか?と、辛く、悲しい、伏線回収になっています。
第1話の始まりで流れた、松任谷由実さんの名曲「リフレインが叫んでる」が最終回のラストにも再び流れるという演出も素敵でした。
余談ですが「リフレインが叫んでる」は、僕の泣き歌の1つでもあるんです。
原作の小説も面白かったのですが、6つのバラバラの交通事故を、瞬と金沢のバディを通して、1つの作品としたドラマの脚本にも感動させられました。
ポイ捨てや、路上駐車など、軽く考えがちな交通違反から、重大な事故を引き起こす事もある、交通事故。
加害者も被害者も、人生が一変してしまうという恐ろしさと、真の加害者と被害者が逆転してしまうという恐ろしさを思い知らされた名作でした。
原作の読書レビューも、後日させて頂きます。
お楽しみに(笑)