先日、遅ればせながら、東野圭吾さんの著書「秘密」を読了しました。


ネタバレしない程度にあらすじを。


運命は、愛する人を2度奪って行く。


自動車部品メーカーで働く、39歳の杉田平介は

妻・直子と、小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていた。


ある日、長野の実家に向かう妻と娘を乗せた、スキーバスが崖から転落。


妻は死亡、娘は意識不明の重体に。


妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだ筈の妻だった。 


その日から、杉田家の切なく、奇妙な『秘密』の生活が始まる。


外見は小学生ながら、今まで通り、家事を熟す妻は、やがて、娘・藻奈美の代わりに 新しい人生を送りたいと決意し、私立中学を受験。


その後は医学部を目指して、共学の高校を受験し入学する。


年頃になった彼女の周囲には、男性の影がちらつき、 平介は妻であって、娘でもある、彼女への関係に苦しむようになります。


1998年度のベスト・ミステリーとして話題になり、1999年に、広末涼子さん、小林薫さん主演にて映画化され、2010年には、TV朝日系で、志田未来さん、佐々木蔵之介さん主演で、連続ドラマ化された、東野圭吾さんの出世作です。


実は、僕は映画もドラマも観ていません(苦笑)


今度、映画、観てみようかな?



読み終えた後の個人的感想は、推理小説と言うよりは、ファンタジー系のSF風のテイストの小説だと感じました。



バス事故で、奇跡的に生き残ったと思われた、娘の肉体に、娘を庇い死んだと思われた妻の精神だけが宿るという奇妙な事態が発生する所から始まります。

 

(悲惨な夜行バスの事故が、度々発生しているという事もあり、現実でも起こりうる話かも?と思わせる不思議な感覚を覚えました)


この小説は、東野圭吾さんの作品の中では、比較的ライトタッチな描写も結構ありました。


根底に流れているのは「夫婦とは何なのか?」・「親子とは何なのか?」・「互いを愛する家族同士の通常の関係性が壊れてしまった場合、人間はどういう選択をして生きて行くべきなのか?」という、ヒューマンで、重いテーマを投げかけているように感じました。


また「男と女の優しさや、思いやりに正解は無いし、それは、嬉しさと辛さと表裏一体でもあるのでは?」とも感じました。


物語のタイトルの「秘密」の謎は、最後の最後で明かされます。


お薦めです。