東野圭吾さんの著書「天使の耳」読了しました。


今年の4月2日から、4月23日まで、毎週火曜日の22時から、NHKドラマ10として、小芝風花さんら安田顕さん主演でドラマ化され、全4話放送されましたので、ドラマをご覧になられた皆さんも多かったのでは?



もちろん、僕もドラマを観て、ドラマ・レビューも、このブログにUPしております。


お時間がございましたら、是非、覗いてやってくださいませ。


東野圭吾さんの作品群の中で『社会派』と呼べる作品達の中でも、「手紙」・「さまよう刃」・「魂と使命のリミット」は、是非とも読んで頂きたい小説だと思います。


この「天使の耳」は、これらの作品と同じ位、もしかしたら、それ以上に読む価値がある作品だと言えるかもしれません。



先に挙げた作品達は「少年犯罪」・「加害者家族の苦悩」・「医療事故」などが描かれていて、非常に学ぶ事が多いと思います。



しかし「自分の身の回りで、確実に起こり得る事か?」と問われれば、現実的には、少し遠い世界の話と言えなくも無いです。


しかし、本作は「交通事故」・「交通違反」を題材にした短編集です。


文庫本で、全280ページ余りで、6つの物語が掲載されています。


実は、ドラマの放送前に、原作は読み終えていたのですが、ネタバレになると思い、公開を控えておりましたので、ようやく読書レビューを公開する事が出来ました。


この小説は短編集なんですが、なかなか読み応えがあり、思わず背筋が「ゾクッ!」とするような内容の物語もあり、「交通事故、交通違反って、やっぱり怖いな!」と読んだ後に、じわじわと感じました。



この「天使の耳」という小説では「信号無視」・「違反駐車」など、身近に起こりうるものをテーマとしていますので、小説の世界に、非常に入り込みやすいと思います。


収録作のテーマに掲げられている事は、いわゆる「些細な出来事」です。


車の運転に慣れてくると、「常識」になってしまうような事ばかりです。


しかし、その「些細な事」がキッカケになり、人の運命が変わってしまうという事もあります。


この小説を読み、その事を改めて教えられた気がします。



これは、何も運転者だけでは無く、歩行者、自転車など、全ての人に共通して、言える事だと思います。


この小説は、1992年に「交通警察の夜」という作品で発表され、1995年の文庫化の際に「天使の耳」というタイトルに変更されて発表されましたので、現在のようにドライブレコーダーなどの無い時代で、事故の内容自体も、信号の見落としや、横断歩道の無い道路を渡る事案だったり、煽り運転・路上駐車、車窓から捨てた空缶が、後続車に当たるなど普通に起こりそうな事故ばかり。


なのに、東野圭吾さんの筆に掛かると、非常に読み応えのあるミステリーになっているという事が凄いと思います。



目の見えない少女が「奇跡の耳」で、兄の正当性を証明した、本のタイトルにもなっている『天使の耳』。


煽り運転された姉と妹が、犯人に殺人事件も背負わせた『危険な若葉』。


路駐の所為で病院に着くのが遅れて、子どもが亡くなった男の復讐の物語の『通りゃんせ』。


どれも、ゾクっと身震いする怖さでした。



ドラマをご覧になられた方も、ご覧になってない方にも、お薦めです。