今日は、安部恭弘さんのお誕生日なんです。
今回の個人的アルバム・レビューは、1992年に発表された、安部恭弘さんの「ベスト・コレクション」を。
安部恭弘さんは、1980年代に一世を風靡した
「シティ・ポップ」の重要人物の一人です。
このジャンルの先駆者である、大瀧詠一さんや、山下達郎さんは、本人のキャラクターは、一切、表に現さず、あくまでもサウンドとジャケットのイラストレーションとのイメージの相乗効果で、「シティ・ポップ」というジャンルを確立させていったのですが、その後に続いた、山本達彦さん・角松敏生さん、そして、この安部恭弘さんなどは、自身のイメージが「シティ・ポップ」と、シンクロするような受け止められ方をされました。
山本達彦さんが「ちょっと気障で、貴公子っぽい」イメージとすれば、安部恭弘さんは「紳士でソフトで上品」。
角松敏生さんは(ご本人は、不本意だったでしょうが)今で言う「チャラい・遊び人」という、イメージだった様に思います。
御三方共に、東京都の出身というのも、大事な、ポイントでした。
「シティ・ポップ」のミュージシャンには「都会人っぽさ」が必須の時代でした。
安部恭弘さんは、1982年11月に、YOKOHAMAタイヤのCMソング「We Got It!」で、デビューしたシンガーソングライターで、作曲家として、稲垣潤一さん等に曲を提供しながら、自らも音楽活動を行っていました。
稲垣潤一さんの「ロングバージョン」を作曲したのが、安部恭弘さんです。
他にも、ポール・ニューマンが出演し、話題になった、日産スカイラインのCMソング「Double Imagination」も、安部恭弘さんの楽曲です。
そして、安部恭弘さんと言えば「テネシー・ワルツ」
1986年発表の9枚目のシングルで、当時、フジTV系で放送されていた、2時間ドラマ「木曜ドラマ・ストリート」の主題歌に起用され、自身最大のヒットとなり、オリコン最高46位を記録。
キャッチーなメロディと、コーラスワークで魅了する名曲です。
Aメロの硬いシンセパッドが、井上鑑さんのアレンジだと認識させます。
こうした典型的「シティ・ポップ」は、サビが、命なので、非常に覚えやすいフレーズに仕上げられています。
他には、カセットテープのCMソングだった「SHO-NEN」
夏の終わりの懐かしささえ感じさせる名曲。
マイナー調から、サビのメジャー調への転調部分が、この楽曲の全て。
また、このタイプの曲調に似つかわしくない装飾的なリズム音色が斬新で、後半の更なる転調で、盛り上がり所を作る部分の構成は、センスの賜物だと思います。
またデヴィッド・フォスターの影響を色濃く受けた「アイリーン」も名曲です。
安部恭弘さんは、ソングライティングだけでなく、ギターやコーラスアレンジにも長けた、才能溢れるミュージシャンです。
残念ながら、未だ実力に見合った評価がなされていないように感じるのは、僕だけでしょうか?
是非一度、安部恭弘さんの楽曲を聴いて頂きたいと思います。
収録曲
- We Got It !