今日は、Chageさんのお誕生日なんです。


今回の個人的アルバム・レビューは、2008年に発表された、Chageさんの2枚目のオリジナル・アルバム「アイシテル」を。



1998年発表のソロ・デビューアルバム「2nd」から、およそ10年ぶりとなる、Chageさんのセカンド・ソロ・アルバムです。


オリコン最高12位を記録しました。


サウンド・プロデューサーに森俊之さんを、コーラスには、AMAZONSを迎えています。


ジャケットでは、23年ぶりにサングラスを外したChageさんの写真が使用されています。



初回限定盤はDVD付となっており、石田ゆり子さんが出演している「waltz」のミュージック・ビデオとメイキング映像が収録されています。



とにかく全編が温かいアルバムです。


ポケットに、そっと懐炉を忍ばせたような、じんわりとやさしい温もり、この気取らないアルバムの雰囲気は、Chageさんの優れたパーソナリティーがあればこそだと思います。



Chageさんの愛に溢れたおもてなしは、アルバム・タイトル曲の「アイシテル」から始まります。



オープニングに相応しい、ポップなナンバーで、幸せな気分にさせる曲とは、まさに、この楽曲の事を指すのだと思います。



ラジオ・パーソナリティーでも人気を博す、Chageさんならではの、タイトル通りのメッセージを全身で感じます。



更に、粛々と確かなる愛を歌う、普遍性を備えたハートフル・バラードの「waltz」、穏やかな日常を、この上なく、ソフトタッチに描いた「マシュマロ」、横ノリのアレンジが、とにかくオシャレな「Love」と、心地良い時間が静かに流れて行きます。



ここまでの楽曲は、どちらかと言うと上品な薄味ですが、ここらで、1つアクセントをと、濃厚な逸品の「夜のイキモノ」



大人の色気を漂わせた官能的な楽曲ですが、Chageさんは、こういう妖艶さを表現するのが本当に上手いと思います。


その他の楽曲も聴き逃せません。


ズバリAORそのものの、スニーカーで、軽やかに走りたくなる「BOYS LIFE」


物憂げな景色に、爽やかなエッセンスを加えた、カジュアルなバラード「RAINY BLUES」


遊び心満載のChageさん流デュエット・ソングの「クールで行こう!」


そよ風のような肌触りをした、ミディアム・ロックの決定版の「SOME DAY」


そして、しっとりと夕凪のような、名バラードの「永遠の謎」で、そっとアルバムは閉じられて行きます。


それはあたかも「大袈裟に盛り上げるだけが、良きバラードではない」という好例を示してくれているようです。


Chage&ASKAをデビュー当初から追ってきた僕は、この変化に、さほど驚きはしなかったのですが、このアルバムで、Chageさんの楽曲を初体験した方は、是非とも過去のアルバムも聴き比べて頂きたいと思います。


きっと面白い発見があるはずです。









収録曲ならびに楽曲解説。


  1.アイシテル


アルバム・タイトル曲。


アルバム収録曲の中で、8ビートの曲が足りないという話になり、最後に制作した楽曲。


最初にフックのあるメロディーが完成し、そこに気をつけながらも、コードをいっぱい足すのでは無く、普通のコードの中で、一瞬「ハッ!」とする展開を加えてみたりしている内に完成した楽曲です。


歌詞は、エガワヒロシさんとの共作ですが、サビにある「越え、越え、声!」の部分は、普段、ラジオ・パーソナリティも担当しているChageさんの希望により、自分の言葉として入れさせてもらったというエピソードがあります。


  2.waltz 


2008年9月に発表されたシングル曲。


テレビ東京系の「開運!なんでも鑑定団」エンディング・テーマに起用され、オリコン最高20位を記録。


アルバムの中で最初に完成した楽曲で、仮タイトル時から「waltz」でした。


  3.マシュマロ


1998年にレスリー・チャンへ提供した曲のセルフ・カバー。


2008年3月に出演した、大友直人さん主催のイベント「大友直人 PRODUCE POPULAR WEEK」でのライブがきっかけで、今回のアルバムへの収録に至った楽曲です。


  4.LOVE


MULTI MAXとして、1991年に発表したシングル曲のセルフ・カバー。


Chageさんが「この曲あっての、今のChageと言っても過言ではない」と発言しており、そんな話をしながら、森俊之さんが聴いた後に、曲に魅かれてリメイクしたくなったという楽曲。


また、今回の「アイシテル」のテーマにも通じるところがあるという事で収録された楽曲です。


  5.夜のイキモノ


まったりとした、独特の世界観のある楽曲。


エガワヒロシさんと「女性は美しくあるべき」などと言い続けながら歌詞を仕上げたという、エピソードがあります。


  6.BOYS LIFE


2008年9月に発売された、シングル「waltz」のC/W曲。


  7.RAINY BLUES


1970年代後半から、1980年代後半の音色を意識した楽曲。


Chageさんは、「メロディー・ラインは、かなり単純に聴こえるかもしれませんが、とても計算されているので、じっくり聴いてみてください」と述べています。


詞は、Chageさんから、エガワヒロシさんに、幾つかのテーマを投げかけて、制作をお願いしたという楽曲です。


  8.クールで行こう!


男女の掛け合いになっている構成の曲で、男性パートをChageさん、女性パートをAMAZONSが歌っています。


また、歌詞も男性の箇所をChageさんが、女性の箇所を青木せい子さんが作詞されています。


  9.SOME DAY


MULTI MAXが、1989年10月に発表したデビュー・シングルのセルフカバー。


「LOVE」を収録した理由と同じく、Chageさんにとって大切な楽曲であり、また、今回のテーマと通じるものがあるので収録されました。


10.永遠の謎


Chageさんは、今回のアルバムの中で「最もChageらしいバラード曲」と述べています。


また、「永遠の謎」という言葉が気に入っていてアルバムのタイトルにしようかどうか悩んだというエピソードもあります。


原曲は、MULTI MAXが1996年に発表したアルバム「Oki! Doki!」を作った頃には、既に存在していて、2010年に発表した、サード・アルバム「&C」では、原曲のアレンジを活かしたバージョンで収録されています。