今日は、「Mr. Dandysme」Bryan Ferryのお誕生日なんです。



今回の個人的アルバム・レビューは、1993年に発表された、Bryan Ferryの、Roxy Music解散後、前作から、5年ぶりに発表された、ソロ第3弾のカバー・アルバム「TAXI」を。 




「香り立つダンディズム 世界で一番セクシーなカバー・アルバム」です。


Bryan Ferryと言えば、最早、ダンディーな、ポップ・シンガー、といった、イメージしかないようにも思えますが、アート・ロックとグラム・ロックの香りを湛えた声に、どうしても惹かれてしまう人も、少なくないのではないでしょうか?


1曲のみ、Bryan Ferry自作のインスト曲が含まれますが、The Velvet Underground、Carole King等の作品が、Bob ClearmountainのMixing、元・Procol Harumのギタリストである、Robin Trowerとの共同プロデュースにより、まさに、あの「Avalon」の再現といった幻想的で、穏やかな世界観が繰り広げられています。 



Screamin' Jay Hawkins、Elvis Presleyのナンバー、R&Bのクラシック・ヒッツ、更には「Amazing Grace」等を取り上げるセンスは、やはり流石の一言です。



濃厚なボーカルとバンド・サウンドに身を任せるのも、この季節、なかなか良いものです。



盟友のAndy MackayKing CrimsonMel CollinsMaceo ParkerCarleen Anderson等の、ゲスト陣が華を添えています。 



カバー・アルバムの場合、歌い手の個性に、光る物がないと、つまらないアルバムになってしまうものですが、この「TAXI」は、過去の評価や、固定観念を持つ曲を歌い直すだけで、ここまで、アーチスト” Bryan Ferry”のイメージが浮かび上がるのか?という事に驚きを感じるアルバムです。



 一般的に、Bryan Ferryの最高傑作と言えば、やはり「Boys and Girls」あたりになるのは間違い無いのですが、このアルバムの「音の奇妙さ」こそ、Bryan Ferryの真髄である事も、また間違い無いのです。 



このアルバムは、「全て他人の曲を、Bryan Ferry流にアレンジして聴かせる」という、「Another time another place」等の初期のソロ作の方法論を、1990年代の技術で再現したアルバムになります。 



 この「最新の録音技術」でという所が、このアルバムの最大の聴き所となります。 



Mixingのセンスだけで、真に幻想的な音空間を創造してしまうという、まさに、Bryan Ferryにしか、為し得ないようなマジックが堪能出来ます。



ボーカルは、もちろんの事ですが、メロディー・ラインに絡みつく音が織り成す世界が、彼の独壇場となっています。



Roxy Music結成時から、脈々と続く、彼なりの耽美というか、サイケデリックさが色褪せていないという事が嬉しいです。



Avalon」や「Boys and Girls」のように、時代の追い風を期待する向きには、おとなし過ぎるように見えますが、分かる人ならば、聴けば聴くほど、彼が納得する形でしか演じない、エンターテイナーぶりに、ファンである事の喜びが、じわじわと高まっていく事だと思います。



 彼の歴史にあっては、やや、地味なアルバムですが、彼のスタイルを愛するファンには聴いて損のない1枚だと思います。



 秋の夜長に1人で聴くのには最適な、バラード中心のカバー・アルバムです。












収録曲


 1.I PUT A SPELL ON YOU


 2.WILL YOU LOVE ME TOMORROW


 3.ANSWER ME


 4.JUST ONE LOOK


 5.RESCUE ME


 6.ALL TOMORROW'S PARTY


 7.GIRL OF MY BEST FRIEND


 8.AMAZING GRACE


 9.TAXI


10.BECAUSE YOU'RE MINE


11.ARE YOU LONESOME TONIGHT?