今日は、角松敏生さんのお誕生日なんです。


今回の個人的アルバム・レビューは、1988年に発表された、角松敏生さんの通算7作目のスタジオ・アルバム「BEFORE THE DAYLIGHT
〜IS THE MOST DARKNESS MOMENT IN A DAY〜」を。


自身、1年8ヶ月振りのオリジナル・アルバム。

「第30回日本レコード大賞」優秀アルバム賞受賞作。


オリコンアルバム・ランキングで、同時期に発売された、角松敏生さんプロデュースによる、中山美穂さんのアルバム「CATCH THE NITE」が、1位、本作が2位と、1・2フィニッシュを記録。


本作は、AIR Recordsのレーベルは使用されていない一方で、オーン・レーベル立ち上げ前である事から、品番とレーベル色自体は、オーンと同じだが、オーンの表記がCD・LP・CT共、レーベル面に無い。

但し、LPの盤面内周部に記載された原盤番号が「RAL-8853」と記されており、本作の制作当初は従来のAIR Recordsからリリースが想定されていたことを窺わせています。


「I CAN GIVE YOU MY LOVE」と「CAN'T YOU SEE」は、後にベスト・アルバム「1988-1993」に、「CAN'T YOU SEE」と「LADY IN THE NIGHT」、「I'D LIKE TO BE YOUR FANTASY」は、アルバム「THE PAST & THEN」に、「I CAN GIVE YOU MY LOVE」と「Lost My Heart In The Dark」が「EARPLAY 〜REBIRTH 2〜」に、リテイク・バージョンで収録されました。


全8曲と少ないのですが、1曲1曲が完成度が高い為、全く物足りなさは感じられません。


テレフォン・コールから始まるオープニング・ナンバーの「I CAN GIVE YOU MY LOVE」も「80年代ならでは」です。

無機質な呼び出し音も、角松敏生さんに掛かれば、ちょっとした小道具に変身します。

この曲のイントロを聴いただけで、自然に気持ちが盛り上がって来ます。


個人的なお薦め曲は6曲目の「REMEMBER YOU」。

イントロから情景が浮かび上がってくるような名曲です。

これは、角松敏生さんだけにしか書けない、大人の恋の世界観です。

この曲の直前に、一夜の恋を描いた「CAN'T YOU SEE」という楽曲があり、それが呼び水となって、この曲の世界観と見事にマッチしています。
  

一方「THINKING OF YOU」での変則的なドラム・セクションの起用など、ある意味、実験的なアルバムですが、そう感じさせない角松敏生さんのグルーブは流石です。


現代のダンスとラップに慣れたリスナーさんには、これが30年前の作品という事で、「ん?」と感じるかも?

しかし、当時は洋楽しか聴かない、うるさ型の、リスナーさん方も、「角松敏生だけは聴く!」という程、一目置かれる存在だったんです。


今、改めて聴いてみると、コンセプトが、ブレてない為、中弛みが無く、最後まで、そのまま聴けます。


凍結前の完成品としては、個人的には、トップクラスだと思います。

プロデューサーの音作りが秀逸です。

気がついた方もいらっしゃるでしょうが、角松敏生さんの歌い方が、前作までの作品と変わっているんです。


1人のシンガーとして、歌に力を入れ、その実力を試すにはいい機会だったのかもしれません。


この後、凍結への序章が始まると思うと、ターニング・ポイント的位置にある作品です。


Can't You See/角松敏生長くてにぎやかな ほう・・・リンクyoutu.be




収録曲

  1.I CAN GIVE YOU MY LOVE 

  2.LOST MY HEART IN THE DARK 

  3.THINKING OF YOU  

  4.GET YOUR FEELIN' 

  5.CAN'T YOU SEE  

  6.REMEMBER YOU  

  7.LADY IN THE NIGHT 

  8.I'D LIKE TO BE YOUR FANTASY