今日は、STARDUST REVUEのボーカリスト、根本要さんのお誕生日なんです。



今回の個人的アルバム・レビューは1986年に発表された、スタレビの「VOICE」を。



スタレビの代表曲の一つ「今夜だけきっと」を収録した、スタレビの通算5作目のアルバムです。


バンド・サウンドの完成度と同時に、コーラスでも魅力を放つ彼らのスタイルが確立に向かう中での重要作でもあります。



先行シングル「6月のジングル・ベル」を収録。今作の発表後に「今夜だけきっと」が、シングルカットされました。


前作「THANK YOU」から、約1年1ヶ月振りのリリースになりました。



前作の「THANK YOU」辺りから、スターダストレビューの楽曲のサウンドの中核を、三谷泰弘さんが担うようになりました。



三谷さんの音楽的な趣味の影響か、スタレビ初期の「泥臭い」と表現できるような音楽性は鳴りを潜め、都会的な雰囲気を感じさせる曲が多くを占めています。


サウンド面でも、キーボードが前に出ることが増え、今作以降もシティポップ・AORの路線に傾倒していく事になります。



「街まで50マイル〜My Old Friend〜」は今作のオープニング曲。


爽快感のあるシティポップで、聴き流していて、とても心地良いメロディーが展開されています。


演奏に関しては、キレの良いギターのカッティングや、力強いベースが特に聴き応えがあります。


ギタリストとしての根本要さんが、フィーチャーされる事は、あまりないと思うのですが、それが勿体無いと思うほどの演奏です。


旧友との再会をテーマにした歌詞で「時が様々な生き方を 見せてくれるのなら 大人になるのも照れるけど 割といいものだね」という歌詞が響きます。


オープニングらしく、聴き手をワクワクさせてくれるような楽曲です。



「Baby,It’s You」は、爽やかさに満ちた、ポップナンバー。


ポップで美しく、聴き流しているだけでも、何となく良いと思えるようなメロディーは、三谷泰弘さんの真骨頂。


サウンド面では、淡々としたキーボードのリフが終始鳴り響いているのが特徴的でした。


派手に盛り上がるような楽曲でもないですが、聴いているだけでも、ワクワクしてくるから不思議です。



歌詞の内容は、恋人への想いを真っ直ぐに綴ったもので「出逢えることを 信じていたよ 眠っていた たったひとつだけの愛に」という歌詞を始め、ドラマティックな言葉が次々と登場します。


ラブソングというのは「クサい」と思ってしまうくらいの詞の世界観で無ければつまらないと実感させてくれる楽曲です。



「Be-Bop Doo Wop」は、ここまでの流れを落ち着けるミディアムナンバーです。


AメロやBメロでの独特なリズムパターンが特徴的ですが、メロディー自体はお洒落な仕上がり。


サビまでは、かなり地味な印象ですが、サビで一気に明るくなります。


それは根本要さんのボーカルも同じです。


曲調の変化に見事に適応するボーカルは流石です。


歌詞は英語のフレーズが多用され、語感を重視した歌詞です。


どことなくスカした雰囲気があるのが、この曲の歌詞の大きな特色です。


この曲は、独特なリズムや演奏を味わう曲だと思います。



「After-Glow」は、三谷泰弘さんがメインボーカルを担当した楽曲です。


前の曲よりも、さらに落ち着いた雰囲気を感じさせる、ミディアムナンバー。


全体を通して、優しく温かみのあるメロディーが心地良いです。


シンプルなキーボードが主体となったサウンドで、ギターは少し後ろで鳴っている感じがします。



タイトルは「夕焼け」や「楽しい思い出」を意味します。


タイトルを意識してか、歌詞には「夕日の赤」や「美しい想い出」というフレーズが登場します。


歌詞は、恋人と過ごす楽しい時間の終わりをテーマにしたもの。


寂しさを漂わせつつも、結局は幸せそうな感じです。


タイトルと歌詞のイメージが、ピタリと合っています。


三谷泰弘さんの色気のある歌声もこの曲に似合っています。


また、曲の最後の数秒間の無音から、次の曲への繋がりが見事で、味わい深い曲間になっています。



「今夜だけきっと」は、今作発売後にシングルカットされた楽曲で、後に、片平なぎささん、布施博さん主演のTV朝日系のドラマ「別れる2人の事件簿」の主題歌や、江崎グリコ「チーザ」のCMソングに起用されており、現在では、スタレビの代表曲の一つになっています。


繊細なメロディーが冴え渡る、ミディアムナンバーです。


イントロ無しで、いきなりサビから始まる構成は、確かなインパクトを与えます。


歌謡曲のテイストも感じさせるメロディーと、都会的で洗練された演奏の相性はぴったりです。


キーボードの聴かせ所である間奏には、いつも引き込まれます。


歌詞は恋人との別れが決まった状態が描かれていて、2人で過ごす最後の日と言った感じです。


すれ違う感情や、冷めた関係が想像できる詞の世界観となっていて、どことなくスリリングなイメージがあります。


現在でも多くのリスナーに愛される名曲です。



「危険なJealous Night」は、渋い雰囲気を放つ、ロックナンバー。


ポップともロックともファンクともAORとも言い切れない、掴み所のないメロディーやサウンドが印象的です。


ある意味、ニューウェーブと解釈できるかもしれませんが、そうとも言い切れない楽曲でもあります。


重厚なベースやギターサウンド、ひねくれた展開を見せるキーボードは聴きごたえ充分。


サビのメロディーは、かなりキャッチーな仕上がりです。


歌詞は英語のフレーズが多用されているのが特徴的で、一夜限りの愛を想起させる歌詞となってあて、前の曲とはまた違ったスリルのある詞の世界観です。


この曲に関しては、凝った演奏を楽しむべき曲でしょう。


サウンド面では今回のアルバムの中でも異彩を放っています。



「さよならの足音」は、林紀勝さんがメインボーカルを担当した楽曲。


ここまでの流れを落ち着けるAORナンバー。


全体を通じて美しく叙情的なメロディーが展開されています。


ピアノと渋い音色で存在感を放つギターの絡みが主体となったサウンドはメロディーの美しさを引き立てます。


歌詞は女性目線で書かれていて、タイトルからも想像できるように、恋人との別れをテーマにしたものです。


女性目線の歌詞と林紀勝さんの美しいハイトーンボイスも相まって、本当に女性が歌っているのかと錯覚してしまうほどです。


メンバー全員の歌唱力が高く、コーラスワークがスタレビの楽曲の魅力というのはわかっていたのですが、林紀勝さんがここまでの美声の持ち主だったとは思わなかったという楽曲です。



「6月のジングル・ベル」は先行シングル曲。


弾むような曲調が心地良いポップナンバー。


3分15秒程度と短めな曲ですが、一度聴いただけで、しっかり耳に残るほどにキャッチーなメロディーは、まさにシングル曲ならではです。


シンセやキーボードが、かなり前面に出たサウンドが展開されており、バンドサウンドは若干後ろに隠れているようなイメージです。


また、この曲ではメンバーのコーラスワークが曲を効果的に盛り上げています。


この辺りは、ライブバンドとしての実力を覗かせます。



歌詞は、恋の始まりを描いたポジティブなもの。


全体を通して「浮かれている」というフレーズが似合うほどに楽しげな詞の世界感じとなっています。


それもまた曲調と合っており、この曲の聴き心地の良さに繋がっていると思います。



「You And I」は、三谷泰弘さんが、メインボーカルを担当した楽曲です。


前の曲からの流れを落ち着けるバラードナンバーで、どこか妖艶な雰囲気を感じさせる、美しいメロディーが展開されています。


洋楽のテイストを感じさせつつも、日本的な情緒に満ちたメロディーに安定感のあるバンドサウンドと、謎めいたイメージのシンセの音色の絡みが特徴です。


歌詞は許されない恋に落ちた二人を描いた楽曲です。


「愛してる 感じてる そんなささやきも ためいきに 変わってしまうだけ」と結末を予見しつつも、恋心を燃やし続ける。


この曲を聴けば、三谷泰弘は根本要さんに負けず劣らずの優れたボーカリストであることがよくわかると思います。


艶のある歌声がこの曲では特に映えます。



「1%の物語」は今作のラストを飾る楽曲です。


1990年に公開された、古尾谷雅人さん主演の映画「宇宙の法則」のエンディング・テーマに起用された、壮大なバラードナンバーです。


一度聴いただけで、心を掴まれてしまうほどに訴求力のあるメロディーには聴き惚れます。


音の数はそれほど多くはないのですが、全ての音が強い存在感を放って曲を形作っています。


アウトロでのコーラスも曲の美しさを引き立てます。


歌詞は女性目線で書かれていて、恋人との別れをテーマにしたもの。


喪失感や後悔が前面に押し出された詞の世界が何とも切ないです。


女性目線の歌詞を歌っていても、何ら違和感の無い根本要さんの歌唱力も素晴らしいです。


ファン人気が高いバラードで、一般的にはメジャーではないのですが隠れた名曲です。



スタレビのキャリアを通じて聴いていくと、今作か、前作の辺りから垢抜けて都会的な雰囲気になっていくのが分かります。


それは、やはり三谷泰弘さんの大きな功績だと思います。


「今夜だけきっと」が収録されている上に、スタレビの大きな魅力であるラブソングが主体の作品なので、ベスト盤の次に聴くオリジナルアルバムとしても良いと思います。


多くのアーティストの作品に使われる「初期の名盤」という言葉がありますが、スタレビのアルバムに、それを当て嵌めるとすると、個人的に、このアルバムだと思います。


「今夜だけきっと」スターダスト☆レビュー【LIVE】作詞:根本要/手島昭 作曲:根本要 2013.6.26 シングル再発売!EPCE-5970 2013年4月20日中野サンプラザ公演(LIVE TOUR"B.O.N.D.")未公開映像。「B.O.N.D.」ツアーライブDVD10月発売予定!江崎グリコ 濃厚おつまみスナック「Cheeza」CMソングhttp://w...リンクyoutu.be

スターダスト レビュー Baby It's You熊本復興支援チャリティーライブ 「No Ballads 120分」リンクyoutu.be

スターダストレビュー_6月のジングルベル1986年リンクyoutu.be


スターダスト☆レビュー 1%の物語STARDUST REVUE 35th Anniversary Tour「スタ☆レビ」リンクyoutu.be




収録曲


  1.街まで50マイル -My Old Friend-


  2.Baby,It's You

 

  3.Be-Bop Doo Wop


  4.After-Glow


  5.今夜だけきっと


  6.危険なJealous Night


  7.さよならの足音


  8.6月のジングル・ベル


  9.You And I


10.1%の物語