今日は、キャロル・キングのお誕生日なんです。
今回の個人的アルバム・レビューは、1971年に発表された、キャロル・キングのセカンドアルバム「Tapestry(邦題 つづれおり)」を。
「Tapestry」という題名の通り、人間の心模様を丹念に綴った名作アルバムです。
もはや語りつくされていますが、ポピュラー音楽史を綴る金字塔アルバムです。
15週間ビルボードチャートで1位の座を守り、その後、306週間チャートインし続け、現在までに、2500万枚以上を売り上げたモンスターアルバムです。
グラミー賞の主要4部門(最優秀アルバム賞・最優秀女性ポップ・ボーカル賞・最優秀レコード賞「イッツ・トゥー・レイト」・最優秀楽曲賞「君の友だち」)を受賞しています。
1971年の作品なので、僕は当時、まだ1歳。
もちろん後追いで、このアルバムを知りました。
リリースされてから、今年で半世紀が経つのに、その音は、全く古くなっておらず、何度聴いても飽きません。
一般的に売れる事と、アルバムの完成度は比例する訳ではないのですが、最高の内容を持ったアルバムが、ビッグセールスを記録するという、そういう意味でも「Tapestry(邦題 つづれおり)」は稀有の作品だと思います。
キャロル・キングは、1970年代、女性シンガー・ソングライターの先駆者であり、後に日本のニュー・ミュージック系のアーティストに与えた影響は計り知れません。
ジェームス・テイラーのカバー「You've Got A Friend」は、アメリカ国民の愛唱歌としても知られています。
いつ聴いても、いろんな意味で、魅力の尽きない名盤中の名盤にして、ポップス史上に燦然と輝く原典の如き一枚。
各曲の出来(歌詞・楽曲・アレンジ・歌唱に至る総て)は、もとより、曲順やジャケットなどのアートワークまで申し分ないです。
ポップスの歴史における重要さや、発表時の時代的背景との絡みなども、さる事ながら、最も素晴らしいと思うのは、そういうエポックメイキングな部分を全く知らないで聴いたとしても、きっとこの作品は、その人の心を震わせるだろうと思える事です。
フォークでも、ロックでも、ジャズでも、ブルースでもない、ポップスの傑作であり、数多のカバーを生んだ名曲群に、ただ、ただ聴き入ってしまうと思います。
「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」・「You've got a friend」などは、もはや古典の趣すら感じます。
この頃のシンガーとしてのキャロルは、まだ自信なさげで、初々しさを感じますが、それが本作の情感をより醸し出しています。
普段聴いても良いアルバムですが、人と別れた時など、余計心に訴える所が大きいアルバムだと思います。
「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」は、アレサ・フランクリンの歌唱で知られますが、キャロルの控えめなボーカルも捨て難いです。
シレルズのカバー「Will You Love Me Tomorrow」も、多くのアーティストに取り上げられた曲で、恋する者の喜びと不安を表現して切ない楽曲。
アルバムのバックを務めるのは、ザ・シティや、ジョー・ママのメンバーの他、ジェームス・テイラー、ジャズのサックス奏者、カーティス・エイミー、バックボーカルには、メリー・クレイトンや、ジョニー・ミッチェルなど、錚々たるミュージシャン達で、同時期のジェームス・テイラーのアルバムのバックミュージシャンとは、ほとんど同じ。
違うのは、テイラー作品では、ベースがリー・スクラーって事ぐらいでしょうか?
1曲、1曲が、丹精込めて作られた、聴く者の胸に染み渡る佳曲で、それが題名の通り緻密に構成された傑作アルバムです。
収録曲
1.I Feel the Earth Move
空が落ちてくる
2.So Far Away
去りゆく恋人
3.It's Too Late"
4.Home Again
5.Beautiful
6. Way Over Yonder
幸福な人生
7.You've Got a Friend
君の友だち
8.Where You Lead
地の果てまでも
9.Will You Love Me Tomorrow?
10.Smackwater Jack
11.Tapestry
つづれおり
12.(You Make Me Feel Like) A Natural Woman"
ナチュラル・ウーマン