今日は、宇多田ヒカルさんのお誕生日なんです。
今回の個人的アルバム・レビューは、1999年に発表された宇多田ヒカルさんのデビュー・アルバム「First Love」を。
全曲の作詞・作曲を、宇多田ヒカルさん自身が行い、アレンジャーには、西平彰さんや、村山晋一郎さん、河野圭さんらが起用されました。
このアルバムには、宇多田ヒカルさんのデビューシングル「Automatic/time will tell」や「Movin' on without you」、後にシングルカットされる表題曲「First Love」、「Automatic」のリミックス曲などを含む全12曲が収録されました。
収録曲は、宇多田ヒカルさんが、14歳の終わりから、15歳の終わりまでの約1年間で制作・録音されました。
このアルバムは、宇多田ヒカルさんのデビュー後の社会現象の中で発売され、初動売上で、当時歴代3位となる、202.7万枚を記録。
発売から1か月後には、累計500万枚を超え、日本国内のアルバムセールス歴代1位を記録しました。
国内での累積売上は、765万枚に達しており、全世界では1000万枚に迫る出荷数を誇っています。
このアルバムは、そのセールスの巨大さや、革命性から、現在も日本のポップ・ミュージック史の金字塔作品として紹介されています。
洋楽と演歌の絶妙な融合、これが歌手・宇多田ヒカルさんの魅力ではないでしょうか?
宇多田ヒカルさんがデビューした当時は「R&B」が大流行しており、Misiaを筆頭に多くのシンガーたちが登場して来ました。
しかし、そのうちの何組が、現在も第一線で活躍しているでしょうか?
僕自身、R&Bというジャンル(正確に言うとヒップホップソウル以降)は、あまり聴きません。
そんな僕が思うのは、宇多田ヒカルさんは、R&Bシンガーでもなければ、ポップス・シンガーでもなく、彼女は、日本が誇るブルース・シンガーだと思っています。
彼女の潤を帯びた歌声。
彼女が作り出すメロディーや歌詞。
それらは、アメリカのブルースに通ずるものがあるのではないかと思うのです。
このアルバムは、キャッチーでありながらも、自分の内側に語りかけるような、パーソナルな面も持っていて、これだけメジャーな作品であるにも関わらず、個人的感情移入が出来るアルバムのような気がします。
その理由の一つとして、シンプルでタイトなサウンドに仕上がっている事が言えるのだと思います。
そのシンプルさは、アーティストの最大の特長である、コンセプチュアルな詞の世界と、グルーヴのある楽曲が、彼女のエモーショナルなボーカルを最大限に生かす演出として機能している事だと思います。
シングル曲以外の「In my room 」や「Time will tell 」などの静かな内省性を持った佳作も光っています。
個人的な感想ですが、いわゆる最近のヒット曲は「売れなくては」という"プレッシャー"からか、アーティストが、変に力が入りすぎてしまい、過剰なアレンジや、分かりやすさに走りすぎていて、ほとんど心に響きません。
これも時代の流れなのかもしれませんが、非常に残念です。
レコード会社自体も、商業主義だけではなく、アーティストの持ち味を大事にして、それを育てる事に、もっと力を入れて欲しいと、個人的には思います。
それが最終的には、アーティストのセールスにも結びつく事にもなるのではないかとも思います。
なぜなら、このアルバムを発表した時の彼女は、殆ど無名の新人だったからです。
このアルバムは、まさに宇多田ヒカルさんの代名詞とも言えるアルバムだと思います。
いつか、また、彼女に、このアルバムを越えるアルバムを作って欲しいと切に願っています。
ただ、あまりに流行り過ぎた「Automatic」と「First Love」が、今では、少し古く感じてしまうのが残念かな?
収録曲
1.Automatic -Album Edit-
デビューシングルのアルバムバージョン。
フジテレビ系「笑う犬の生活-YARANEVA!!-」
エンディングテーマ。
2.Movin' on without you
2ndシングル。
日産.テラノCMソング。
3.In My Room
4.First Love
後に、3rdシングルとしてシングルカット。
TBSドラマ「魔女の条件」主題歌。
5.甘いワナ 〜Paint It, Black〜
ローリング・ストーンズの「黒くぬれ!(原題:Pai nt It, Black)」の詞の一節を引用しています。
6.time will tell (5:27)
これもデビューシングルなんです(両A面)
フジテレビ系「ごきげんよう」エンディング テーマ。
7.Never Let Go
スティングの「Shape of My Heart」 のガット・ギターのフレーズを引用しています。
TBS 系ドラマ「魔女の条件」挿入歌。
8.B&C -Album Version-
2ndシングルのカップリングのアルバム・バージョン。
仮タイトルは「何があっても」でした。
9.Another Chance
10.Interlude
一部が、次作アルバム「Distance」収録の「言葉 にならない気持ち」でも使用されています。
11.Give Me A Reason
12.Automatic -Johnny Vicious Remix-
(Bonus Track)
「Automatic」のジャニー・ヴィシャスによる、リミックス・バージョン。
「15th Anniversary Edition」には、本編には収録されずにボーナスディスクに収録されました。