今日は、松任谷由実さんのお誕生日なんです。
今回の個人的アルバム・レビューは、2001年に発表された、松任谷由実さんのバラードベスト「sweet, bitter sweet〜YUMING BALLAD BEST〜」を。
このアルバムの特徴として、荒井由実時代と、松任谷由実時代の楽曲が一緒に収録された点が挙げられます。
荒井由実時代の楽曲は、長い間、アルファレコードが管理して来ましたが、同社のレコード事業撤退後、2000年4月から東芝EMIで、発売できるようになり、その利点を生かしてのバラード・ベストアルバムです。
このアルバムの選曲の一部は、松任谷由実さん自身のリクエストですが、それ以外は、スタッフが選曲しています。
また、タイトルは元々「bitter sweet」でしたが、松任谷正隆さんの発案で最初にsweetが追加されました。
なお、松任谷正隆さんは、松任谷由実さんの全てのベストアルバムに反対してきており、本作への抵抗の意味も込め、プロデュースの欄に名前が載っていません。
アルバム未収録曲(実際は「ALBUM楽曲というLPのみで発売になった、アルバムに収録されているが「ナビゲーター」など、コアな曲も収録したベストアルバムです。
新曲'「ONE MORE KISS」は、シングルカットという感じではないものの、ユーミンらしい一曲だと思います。
ユーミン初心者から、ユーミンフリークまで、満足出来るバラードベストになっていると思います。
ユーミンを代表する曲は何か、という質問に対する答えは極めて難しいと思います。
素晴らしい曲が多すぎて、選びにくい、という、ファンにとっては、ファン選曲の「sweet,bitter sweet」というバラードベストアルバムだったら、選曲段階で悩んでしまったと思います。
松任谷正隆さんが、最初、この企画に反対だったというのも頷ける話ですが、ファンにとっては嬉しい企画です。
ユーミンは、シングル作品をプロモートするのではなく、あるコンセプトの元に造られた曲の集合体として、個性溢れるアルバムを制作してきたアーティストですから、「ベスト・アルバム」を企画することが難しくなるのは当然です。
何しろ名曲の中から、何を選ぶのかという命題そのものが難題です。
ただ、若い世代のファンにとって、このようなバラードを集めたベスト・アルバムを聴くことで、温故知新といいますか、ユーミンの素晴らしさを感じ取ってもらえるのは間違いないと思います。
このバラードベスト聴きながら感じた事は、素晴らしい楽曲を生むユーミンの才能の奥深さ、ということです。
能力あるシンガー・ソング・ライターでも、閃きの枯渇という壁にぶち当たるものですが、長い間ずっと日本の音楽シーンを牽引してきたJ-POPの女王ユーミンにとって、そのような杞憂とは無縁でした。
懐かしいバラードの数々を聴いていると、走馬灯のように思い出が目の前を通り過ぎて行きました。
収録曲
DISC-1
1.やさしさに包まれたなら(album version)
アルバム「MISSLIM」より。
2.瞳を閉じて
アルバム「MISSLIM」より。
3.雨のステイション
アルバム「COBALT HOUR」より。
4.グッド・ラック・アンド・グッドバイ
アルバム「14番目の月」より。
5.中央フリーウェイ
アルバム「14番目の月」より。
6.卒業写真
アルバム「COBALT HOUR」より。
7.Hello,my friend
アルバム「THE DANCING SUN」より。
8.守ってあげたい
アルバム「昨晩お会いしましょう」より。
9.潮風にちぎれて
アルバム初収録。
シングル「潮風にちぎれて」より。
10.夕涼み
アルバム「PEARL PIERCE」より。
11.acacia[アカシア]
アルバム「acacia」より。
12.よそゆき顔で
アルバム「時のないホテル」より。
13.翳りゆく部屋
アルバム「YUMING BRAND」より。
14.雨の街を
アルバム「ひこうき雲」より。
15.ナビゲイター
アルバム初収録。
シングル「遠い旅路」より。
16.海を見ていた午後
アルバム「MISSLIM」より。
1 - 6、13、14、16曲目は、荒井由実名義で作詞・作曲。
他は松任谷由実名義で作詞・作曲。