今回の個人的アルバム・レビューは、1987年2月に発表された、1986オメガトライブのセカンド・アルバム「Crystal Night」を。



前作「Navigator」から、それほどインターバルを置かずに発表された、セカンド・アルバム。



前作は夏一色でしたが、今回は冬の夜も描いています。


あえて「Navigator」路線を続けなかった辺りに、アーティスティックな拘りが見られます。



僕の高校時代の夏の定番ミュージックといえば 「TUBE」・「サザン」・「オメガトライブ」・杏里さんや角松敏生さんと、挙げればキリがないのですが、その辺りの楽曲をよく聴いていました。 



杉山清貴さんの脱退後、カルロス・トシキさんを、フロント・マンに迎え結成された、「1986オメガトライブ」



「1986オメガトライブ」としてのファースト・アルバム「Navigator」を1986年にリリースし、1年を待たずして、1987年2月に待望のセカンド・アルバムを「Crystal Night」を発表。



1986年の真夏にリリースされた先行シングル「Super Chance」は、富士フィルムのCMタイアップ曲で、1986年の初夏に発表されたデビュー・シングル「君は1000%」を上回る大ヒットを記録しました。


人気歌番組 「 ザ・ベストテン 」 においても第1位を記録しました。 



勢いに乗った状況の中 リリースされたこのアルバムは、見事オリコン・チャートのトップを獲得しました。


夏だから、 と思い紹介したんですが、このアルバムのリリース時が、1987年の2月という事もあり、内容は思いっきり夏を意識した仕上がりでは ありません(笑)  


ヒットシングル「Super Chance」は夏の終わりを感じさせる曲です。



バンドのイメージだけで取り上げてますが、この作品は夏を通り過ぎています。 



サマー・アルバムとして捉えるなら、爽やかな雰囲気や、キラキラ感が少し足りないように感じるかも知れません。

 


しかし、季節感を求めずに受け止めれば、このアルバムは大変 優れたAOR 作品だと思います。 


サード・シングルの「Cosmic Love」は 未収録ですが、そのカップリングだった「I’ll Never Forget You」が、このアルバム収録されています。 



このバラードは 夏を感じさせる楽曲です。



このアルバムで 1番キャッチーなのは「Lady Free」でしょう。 


少しイントロが大袈裟ですが (笑) 


サビのメロディーは 絶品です。


曲全体の仕上がりは オメガ・サウンドです。 



個人的に好きなのは、アルバム・タイトル曲の「Crystal Night」です。 



前作のタイトル曲「Navigator」は、シングル「Super Chance」のカップリングに収録されました。 


その曲は、クールな名曲ですが、「Crystal Night」はオシャレでポップな楽曲です。



この曲の持つ雰囲気が良いです。 



この「Crystal Night」は「navigator 」の 対をなす楽曲です。



「Ipanema Rain」 は、ブラジルのイパネマを 舞台に歌われる異国ムード満点の楽曲です。

 


どこか、マドンナの「La Isla Bonita」を思い起こさせるサウンドです。 



オープニングを飾る「Counterlight」は、凝ったアレンジで聴かせる 翳りのあるビート・チューンです。



「Phoenix」は、センスの良いイントロに聴き入ってしまいます。


その後のサウンド展開も期待を裏切りません。 



「Indian Summer」は、スリリングなアップ・ナンバーです。


サビでは 爽やかさを 感じさせます。 


カッコよさを 狙った曲です。



アルバム・ラストを締め括る「For Each Other」

は穏やかなバラードです。



「Crystal Night」にも、コーラスで参加している EVE が、良い感じで楽曲を盛り上げてます。 



デビュー作でのカルロス・トシキのボーカルは まだどこか、ぎこちない所もありましたが、この曲で歌われる、彼が作詞したであろう後半の英詩部分を聴けば、彼が前作より確実に歌が上手くなっている事を 確認できると思います。 



夏をテーマにこのアルバムを紹介しようと思いましたが、結果 AOR作品としての評価に なってしまいました (笑) 



どっちにしても良質のアルバムである事に変わりはありません。 


捉え方によって 様々な方向で楽しめるアルバムだと思います。



https://youtu.be/xgkEgfGHQtc


https://youtu.be/TlSMFKtMB1k

 

https://youtu.be/e3ms1WL_euE






収録曲



  1. Counterlight
  2. Lady Free
  3. Phoenix
  4. Indian Summer
  5. I’ll Never Forget You
  6. Crystal Night
  7. Ipanema Rain
  8. Super Chance
  9. For Each Other





表題曲(6)「Crystal Night」などはカルロス・トシキも作詞に参加しており、前作にはなかった都会的なスタイリッシュな曲になってる。

ラストの(9)「For Each Other」はカルロス・オメガの最高のバラードと言っていい。詩と曲の一体感は必聴。

アルバム全体としては前作「Navigator」のデジタルサウンドを更に進化させたものになってる。ただ3rdシングル「Cosmic Love」が入っていたらもっとアルバムタイトル通りの色が出せたと思うが、そこは狙ってそうしなかったんだなと感じた。