今回の個人的アルバム・レビューは、1989年9月に発表された、氷室京介さんのセカンド・アルバム「NEO FACIO」を。
ファーストアルバムの繊細で、内向的なアルバムとは違い、ベルリンの壁の崩壊や天安門事件などの大きな世の中の流れに触発されて製作されたコンセプトアルバムです。
ソロ第2作目の大ヒットアルバムです。
BOφWYサウンドの正統な相続人である事を思いっきり証明した前作に比べると、だいぶ肩の力が抜けた様に感じました。
演奏の煌びやかさは、やや控えめです。
その代わりに流行歌手らしい気軽さが、曲によって覗きます。
自分の考えを、歌に乗せて押し付けるのでは無く聴き手に考えさせる詞の置き方や、佐久間正英さんと2人で作り上げたBOΦWY時代には無い、重たく緊張感のあるサウンドは本当に素晴らしく、感動的ですらあります。
作曲においても、今までより、格段にレベルが上がってます。
「SUMMER GAME」や「CALLING」など、ファンに人気の曲をチョイスして聴くのもいいですが、オープニングからエンディングまでトータルで聞くと本当に絶品です。
心が揺さぶられ気がします。
個人的にはプロローグである「Overture」と、実質の1曲目で、タイトルチューンの「Neo Fascio」・「CALLING」そして最後を締めくくるバラード「Love Song」の4曲が特に好きなアルバムです。
いずれもベスト盤には、ほとんど収録されていない楽曲だと思いますので、ソロ初期はベスト盤しか聴いていないという人にはお薦めしたいアルバムです。
個人的に、ジョージ・オーウェルの「1984」の世界を連想しました。
ファシズム、プロパガンダ、近未来を感じる音作りは聴いていて考えさせられます。
変拍子、転調などの曲も氷室京介さんには合っていると思います。
特に「CALLING」は、どの時代に聴いても胸に響くと思います。
収録曲
- OVERTURE
- NEO FASCIO
- ESCAPE
- CHARISMA
- COOL
- SUMMER GAME
- RHAPSODY IN RED
- MISTY
- CAMOUFLAGE
- COLLING
- LOVE SONG