今回の個人的アルバム・レビューは、1996年11月発表の、浜田省吾さん通算15枚のアルバム「青空の扉〜THE DOOR FOR THE BLUE SKY〜」を。
前作「その永遠の一秒に」から、3年振りのリリースで、オリコン初登場1位を獲得したアルバムです。
1995年以降、オウムによる地下鉄サリン事件・阪神淡路大震災・山一證券の破綻など、非常に暗いニュースで、日本人は、未来に希望を失いかけていました。
そんな時代の数少ない日本人に嬉しいニュースの「希望」という存在は、ドジャースの野茂英雄投手の活躍でした。
その野茂投手ほど、国民全体に対してインパクトを与えたわけではありませんが、音楽で、その暗さに一矢報いた名盤が、このアルバムです。
「暗い時代に風穴を開けたかった、これが最後でも構わない、これ以上の作品はつくれない」と、浜田省吾さん本人が語ったほどの自信作です。
確かに何度も聴く度に、良さが、じわりじわりと実感してくるアルバムです。
「Because I Love You」など、メローさと、ロックの浜田省吾さんの持つ良い面が、上手く混ざり合って名曲が生まれています。
アルバム全体が、ラブソング・ナンバーのアルバムです。
「このアルバム以上のアルバムは作れない」と浜田省吾さん自身が、それから数年は語っていました。
浜田省吾さんの新規のファンの方でも、比較的、聴きやすいポップ調な楽曲群です。
浜田省吾さんの新規のファンの方でも、比較的、聴きやすいポップ調な楽曲群です。
「J・BOY」も「愛の世代の前に」も、「バラードコレクションシリーズ」も、もちろん素晴らしいアルバムです。
社会派の歌を紡ぐ浜田省吾さんは、文句なく素晴らしいです。
しかし、このアルバムは、数ある作品群の中でも、ひときわ輝いていると思います。
このアルバムでは徹頭徹尾、POPなラブソングというテーマが貫かれています。
「社会派」というイメージから感じられる、が取っつきにくさ」は微塵もなく、自分が伝えたいことを歌いつつ、それでいて聴き手に優しい曲ばかり。
それは聴き手に媚びているという意味では、決してありません。
流行に迎合することなく、持ち味である、いい意味での泥臭さは健在です。
浜田省吾さんならではの、痛快なR&Rナンバーの「さよならゲーム」
ファンへのメッセージソングでもある「君のいるところがMy sweet home」
胸をかきむしるような切ないバラード「ビコーズ・アイ・ラブ・ユー」など
蓄積してきたサウンドの引き出しを惜しげもなく開いて、聴き手を楽しませることに徹しています。
浜田省吾さんフリークから、ビギナーまで、自信を持ってオススメできる1枚です。
「恋は魔法さ」の浜田省吾さんバージョンが入っているのも嬉しいです。
巷には、どうでもいいアイドルが歌いそうな、ラブソングが溢れていますが、浜田省吾さんのラブソングはそれとは全く違います。
深い意味を持った歌詞と、そのメロディーラインには、シンガー・ソングライター・浜田省吾さんにしか作れない世界観を持った、数々のラブソング・ナンバーがある事は言うまでもありません。
特に、個人的には「あれから二人」は、浜田省吾さんにしか作りえない名バラードであり、心を鷲掴みにされる程の切なさや、大人にしか分からないインパクトのリリックとメロディーラインの世界観があり、一言でいうと、まさに「大人のバラード」です。
「二人の絆」・「紫陽花のうた」・「君がいるところがMy sweet home」等も優れた佳曲であり、「青空のゆくえ」・「彼女はブルー」・「あれから二人」等は名曲です。
「二人の絆」・「紫陽花のうた」・「君がいるところがMy sweet home」等も優れた佳曲であり、「青空のゆくえ」・「彼女はブルー」・「あれから二人」等は名曲です。
「浜田省吾ここにあり」を、ファンだけでなく、世間に知らしめ、浜田省吾さんの音楽テイストを満載したファン垂涎の名盤です。
収録曲
- BE MY BABY
- さよならゲーム
- 二人の絆
- 彼女はブルー
- 紫陽花のうた
- 君去りし夏
- 恋は魔法さ
- 君がいるところがMy sweet home
- あれから二人
- Because I love you
- 青空のゆくえ