今回の個人的アルバム・レビューは、1990年に発表された、長渕剛さんの「JEEP」を。 


 長渕剛さんの通算12 枚目のアルバムで、ギタリストの矢島賢さんと長渕剛さんとの共同プロデュース作品で、47万枚を売り上げ、オリコン1位を記録しました。

 このアルバムからは、「しょっぱい三日月の夜」と「JEEP」の2曲がシングルになっており、「しょっぱい三日月の夜」は、34万枚を売り上げ、オリコン1位を獲得しました。


 1曲目「女よGOMEN」 

 シングル「JEEP」のカップリング曲に「女よ、ごめん」という曲がありますが、同じ曲であるにも関わらず、アレンジやメロディーが、かなり違います。カップリング曲のバージョンは、アコースティック・ギターでの弾き語り。 


2曲目「流れもの」 

 この曲も長渕剛さんならではの楽曲です。

 「飲んだくれた帰りにしこたま吐いた」 

「ボロボロになって胸引き裂かれた」 

「小汚ねえ暮らしに乾杯」等のフレーズも、長渕剛さんが歌うと、あまりにもサマになって、カッコ良く潔く聴こえます。

 こういう曲を、僕は他に知りません。   


 3曲目「友達がいなくなっちゃった」

長渕剛さんが得意とする、レゲエのリズムを取り入れた楽曲です。

16年ぶりに同級生と集まり、「お前も変わったな、少し丸くなったな」と言われ、別れる時「変わったのは俺じゃなくて、お前の方なんだと最後まで言えなかった」で終わります。


 4曲目「電信柱に引っかけた夢」

 歌手としては成功せず、出身地の福岡に戻ることになった長渕剛さんと親交のあったシンガーソングライター・西田恭平さんに捧げた曲。

5月に自主制作されたアルバム「百億年の愛」に収録された楽曲のセルフカバーです。 

 この曲は、個人的に長渕剛さんの最高傑作の一つに挙げたいと思います。 

 都会の孤独や挫折を綴った作品は「とんぼ」が代表作ですが、それ以上に生々しい寂寥感を窺い知ることができます。 

 また、浜田良美さんのコーラスが、いかに長渕剛さんの楽曲で重要なポジションを占めていたことを知る貴重な曲でもあります。 


 5曲目「海」

 長渕剛さんは、この曲を矢島賢さんの為に作った曲だと公言しています。間奏には、矢島賢さんのギターソロを、大々的にフューチャーしています。


6曲目「カラス」

「黒いカラスよお前は 寂しくはないか?(中略)だけど、なんだか 夕焼け見るとまた泣けてくる。」この歌詞が泣かせます。



 7曲目「お家へかえろう」 


 日本の現状への不快感を露にした曲。 


「夜のヒット・スタジオ」の初披露で視聴者の度肝を抜いた曲です。


 桜島オールナイトライブのように、時折歌詞の一部を変えて歌われることもあります。 


 長渕の楽曲の中では、歌詞の中にアーティスト名(この曲ではミック・ジャガー)が登場する、数少ない楽曲のうちのひとつです。 


 打ち込みのリズムが薄く入っている以外は、長渕剛さん、矢島賢さんの、変則チューニングによるアコースティックギターと、長渕剛さんのハーモニカだけで演奏されています。



 8曲目「しょっぱい三日月の夜」 


 22枚目のシングル曲。 


 映画「ウォータームーン」の主題歌として使用されました。この曲はアルバム『JEEP』の先行シングルとしてリリースされました。 


 歌詞の内容は、長渕剛さんの中で相反する心情の葛藤を描いたものとなっています。 



 9曲目「浦安の黒ちゃん」


 「黒ちゃん」は、脚本家の黒土三男氏のことを指す。ドラマや映画などで一緒に仕事をする機会の多かった2人が、新幹線に乗って、大阪まで観光に出掛けるストーリーが描かれています。 



9曲目「 西新宿の親父の唄」


「やるなら今しかねえ」のフレーズが有名な曲です。


倉本聰さん脚本のフジテレビ系ドラマ「北の国から'92 巣立ち」で使用されました、ら


なお、タイトルである「西新宿の親父」というのはモデルは存在するが、実在しない創作上の人物である事を、倉本聰さんのラジオ番組内で対談した際に語っています。


また、バラエティ番組「SMAPX SMAP」に長渕剛さんが出演した回で、木村拓哉さんのお気に入りの楽曲として紹介されました。



10曲目「JEEP」 


23枚目のシングル曲。 


サビ以外のフレーズが、ラップのような韻を踏んだ歌詞になっています。 



 11曲目「 Myself」 


 読売ジャイアンツの坂本勇人選手が登場曲として使用しています。


 (自身が初心という意味で決めた曲です) 


 「だから真っ直ぐ 真っ直ぐ もっと真っ直ぐ生きてえ」というフレーズが心に響きます。 



 このアルバムに関しては、好き嫌いが極端に別れるアルバムかも知れません。 


 全体的にヘビーな曲ばかりです。 


 全部通して聴けない人が居るのも、わかる様な気がします。


 綺麗事だけでは書けない歌詞ばかりです。


 空いも甘いも知っているからこそ、このようなアルバムを作れたのだと思います。 


自分を偽り、そして綺麗事で、他人と繋がるより自分を持って生きて行こうとする、その生き方は素敵だと思います。 


 カッコつけて生きている人には分からない世界を想像出来ます。 


 長渕剛さん初心者に勧めたい、オリジナルアルバムの1枚でもあります。



この最後の3曲を続けて聞くのが、個人的には好きです。


一つ一つの言葉に人生の重みを感じる。


まさに日本の音楽史上に残る名盤です。


世知辛い世の中だからこそ、このような本音で歌詞をかける方の歌は人生にも必要だと思います。


https://youtu.be/nA0eAva89CQ


https://youtu.be/4FSe0FVS-rY


https://youtu.be/jkXoqqnr1Qg


https://youtu.be/75u5o0wIzdM




収録曲


  1. 女よ、GOMEN
  2. 流れもの
  3. 友だちが いなくなっちゃった
  4. 電信柱にひっかけた夢
  5. カラス
  6. お家にかえろう
  7. しょっぱい三日月の夜
  8. 浦安の黒ちゃん
  9. 西新宿の親父の唄
  10. JEEP
  11. Myself