彼らの楽曲に出会ったのは、中学3年の頃、何気なくラジオから聴いた「Your Song」という楽曲でした。
当時流行っていた、ニューロマンティック系の日本バージョンという感じに聴こえ、興味を持ちました。
最初の2枚のアルバムは、まだ方向性を試行錯誤しているようで、纏まりも、今一つといった感じでした。
ところが、このアルバムから「 FANKS」という独自の路線を打ち出して、いよいよメインストリームに進出し始めた彼らの溌剌とした姿が収められています。
「 Give you a beat」から「Nervous」への繋ぎは何度聴いても鳥肌ものです。
曲の完成度という意味ではTMの中でも屈指の「Come on let's dance」もこのアルバムに収録。
全体を通してメリハリの効いた構成で、小室と木根の曲配分のバランスが良く、ブラスが効果的に取り込まれ、前作と比べても音楽に幅が出ているのがわかります。
本作より真骨頂であるダンスビートが炸裂。
有名な#7をはじめ、木根氏作曲の#4、#2、5、8、9と佳曲が揃います。
今と違ってJ-POPでは、R&Bなどが、一般的では無かった為、久保田利伸氏や、米米クラブなど、丁度、この時期に16ビートが出現し、ホーンセクションを多用したのはある種新鮮でした。
このアルバムから「FANKS」という言葉が使われるようになりましたが、アルバムタイトルの「GORILLA」は、唯一、小室哲哉さんがネーミングしなかったタイトルです。
内容も前作「CHILDHOOD'S END」とはかなり変化しており、まさに"幼年期を終えた"といえる作品です。
「Welcome to the FANKS!」から始まる「GIVE YOU A BEAT」、ライブの定番曲ともいえる「NERVOUS」、彼らの人気を決定付けたシングル「Come on Let's Dance」、本格的なラップを取り入れた「PASSENGER」など前作とはかなり違った作品となっています。
「Confession」、「SAD EMOTION」といった木根さん作曲のバラードもしっかりと収録されています。
全曲とも完成度が良くて初期の作品にしてはなかなかいいアルバムです。
特に「NERVOUS」・「PASSENGER」・「Confession」・「You Can Dance」・「Come on Let's Dance」・「雨に誓って~SAINT RAIN~」は高い完成度となっていて最高です。
これ以前のTM NETWORK作品はまだ完成度もいまいちで、好みも分かれるサウンドですが、このアルバム辺りから、全体通して楽しめる感じのサウンドになってきます。
ラップ始め、色々な事にチャレンジし、ヴァリエーション豊富な作品に仕上げています。
バラード曲を少し入れたりしている点も面白いです。
その後の大作と比べると若干見劣りしますが、そういうまだ未完成な部分も含めて、逆に面白く貴重に感じます。初期の隠れた名盤だと思います。
個人的には8曲目の「GIRL」がイチ押しです。
- GIVE YOU A BEAT
- NERVOUS
- PASSENGER~a train named Big City~
- Confession~告白
- You can Dance
- I WANT TV
- Come on Let’s Dance
- GIRL
- 雨に誓って~SAINT RAIN
- SAD EMOTION