彼女は、俺の答えを受けて「ふ〜ん! みんな、そんなんなんかなぁ〜?」と尋ねてきたので、俺は「多分、こんなやり方してるんは、俺だけやと思うけど、松本隆先生や、俺が尊敬してる売野雅勇先生は、最初にタイトルを考えて、それから詞が浮かぶって、前に読んだ本に書いてた。 

俺は、タイトルはいつも最後に考えるねん、なかなか良いタイトル浮かばんから」と言うと、彼女は「そっか〜! でも思いついて詞が書けるって、ある意味凄いよ! 天才ちゃう?」と言って、ケラケラ笑った。

俺は(何とも天然キャラやなぁ〜!)って彼女の事を微笑ましく思った。

そして俺は「まぁ、作詞家になれたらええけど、プロはそんな甘いもんやないやろうし、書きたくない歌詞も書かんとアカンやろうから、俺は永遠のアマチュアの精神で行くよ!」と、答えた。

すると彼女は「永遠のアマチュアか〜! 何か、かっこええ響きやね! プロになれたらいいね!」と、また笑いながら言った。

この時、俺が言った「永遠のアマチュア」という言葉は、この日以降、俺の指針のような言葉になった。

そしていよいよ、1学期も全て終わり、夏休みに突入し、俺達の部活も、岩下部長・寺本副部長の新体制がスタートし、日々、暑さと戦いながら練習に明け暮れ、いよいよ和歌山合宿の当日を迎えた。

合宿当日、俺達は学校に集合し、一路、電車にて、和歌山県田辺市へと向かった。

合宿先の民宿に着くと、とりあえず荷物を置き、俺達は辺りの散策へと出た。

周りは見渡す限りの海、景色は最高! 周りは何も無く、音楽に集中するにはピッタリの環境だった。

民宿に戻ると、合宿のスケジュールが発表されていて、この後が食事で、それから練習・入浴・自由時間・就寝と続いていた。

翌日は早朝に起床・ランニング・朝食・練習と、午前中は音楽漬けのスケジュールだった。

午後は昼食後、しばらく休憩時間の後、練習・夕食・入浴・自由時間・就寝となっていた。

入浴は当然、男女は別となっていて、俺達男子は人数が少ないので、充分な入浴時間が確保出来るのでラッキーだった。

俺達が入浴後、ロビーに集まりテレビを見ていると、丁度、TBS系の「ザ・ベストテン」が始まる所だった。

俺達が真剣に見たのは、9位の「さよならのオーシャン」の杉山清貴さん・7位の「Song for USA」のチェッカーズ・6位の「君は1000%」の1986オメガトライブ・3位の「プルシアンブルーの肖像」の安全地帯・2位の「SWET&TEARS」のTHE ALFEE・1位の「シーズン・イン・ザ・サン」のTUBEの6曲だった。

他には、西村知美さん・近藤真彦さん・高井麻巳子さん・中森明菜さんがランクインしていた。

近藤真彦さんの「青春」と明菜さんの「ジプシー・クイーン」の歌詞も、個人的に好きだった。









第69話 完