【HBR】リンカーンに学ぶ

ハーバード・ビジネス・レビューを毎月読むことにしました。
今回は、次号発売を目前にして、3月号のメイントピックより、
リンカーンの組織づくりや人間的魅力についての寄稿を要約します。

元の論文は歴史学者であるドリス・カーンズ・グッドウィンへのインタビューを文章化したものです。

彼女は2005年、第16代アメリカ合衆国大統領アブラハム・リンカーンの南北戦争におけるリーダーシップを取り上げた、"Team of Rivals"を出版しました。この本は同年アメリカでベストセラーになったばかりでなく、次の点でも有名になりました。2008年、バラク・オバマは、CBSのアンカーであるケイティ・クーリックからインタビューを受けましたが、そのなかで、聖書以外でホワイトハウスに持っていく一冊は何かという質問の答えとして、この本を選んだのです。
著者のグッドウィンは、2時間にわたるインタビューのなかで、リンカーンの組織作りおよび彼の資質について語る一方、経済危機に直面している現大統領への提言も行いました。
今回は、そのうち前者、すなわちリンカーンの内閣づくりや彼の人間的魅力などを中心に要約を行うと同時に、私たちはこれを参考にしてどう行動すべきかを考えました。


●リンカーンに学ぶ

☆ライバルをもチームに入れる

リンカーンは組閣にあたり、有能なライバルたち、すなわち大統領に躊躇せず進言や論争でき、またリーダーシップに長けた人びとを集めた。

―リンカーンはサーモン・チェースを財務長官に起用し、3年間在任させた。彼が大統領の座を狙い、また他の閣僚、議会、国民を使って自分の足を引っ張っていることなどを、リンカーンは全て知っていたが、個人的な感情によって解任することはしなかった。

―オバマもこれと同じことに挑戦している。ヒラリー・クリントンを国務長官に、ジョセフ・バイデンを副大統領に抜擢し、ロバート・ゲイツやレイ・ラフッドなど有力な共和党員も入閣させた。(オバマは民主党である。)

これは、ライバルに権限を与えれば良いという単純な話ではない。アメリカのために、アメリカの中で最も適した有能な人物を選ぶということだ。

☆ライバルを入れたチームのマイナス面と課題

ライバルをチームに入れるような包容力のあるリーダーにとって危険なのは、意見の一致を見ないまま議論が続き、マヒ状態に陥る可能性があることだ。そこでリーダーには決断力が求められる。議論によって決着が着かなければ、みずから判断をくだし、「好むと好まざるとにかかわらず、我々がやることはこれである」とチームメンバーに伝える気構えが必要である。

―奴隷制廃止の是非について、リンカーンは、内閣に何ヶ月も議論させた。しかし最終的には、みずからの判断のもと、「奴隷解放宣言」を発布し、奴隷を解放した。

☆リーダーとしての資質

議論を挑んでで来る人、自分の仮説に疑問を呈する人で周囲を固めるべきである。特に、自分と気質の異なる人を起用できるのであれば、そうすべきである。

―リンカーンは1862年、エドウィン・スタントンを陸軍長官に任命した。部下に寛容すぎるリンカーンに対し、スタントンは厳格であった。二人の気質が対照的であったことが、バランスをもたらした。

国民と広くコミュニケーションをとる方法を知っておくことも不可欠である。

―リンカーンは、詩情にあふれる演説を行った。
―第32代大統領フランクリン・ルーズベルトはラジオを利用した。
―オバマはtwitterを積極的に利用している。

将来直面する問題に立ち向かう活力を蓄えるために、リラックスする方法を身につけておくことが必要である。

―リンカーンは、ワシントンにいる間、100回は映画館に出かけた。ユーモアのセンスにあふれ、その話で夜遅くまで人々を楽しませていた。
―ルーズベルトは、第二次世界大戦中、毎夕のカクテルアワーで、戦争を話題にするのを禁じた。また、趣味の切手集めに興じることもあった。

☆リンカーンの欠点

人好きで、他人を傷つけたくないという彼の長所は、短所にもなりうる。

―南北戦争当初、北軍の最高司令官を務めたのは、ジョージ・マクラーレン少将であった。彼は自己中心的で反抗的な態度を持ち、また軍事の面では決して適任とはいえなかった。しかしリンカーンは当時、軍事に関する自分の理解に自信がなく、また他人を傷つけられない性格だったため、マクラーレンを必要以上に留任させた。その結果、北軍は複数の戦いで敗れ、もっと早く彼を解任していれば失わずに済んだかもしれなかった、何千という兵士の命が失われた。


●リンカーンを参考に、私たちはどう行動すべきか

ここからは考察です。

リンカーンの話を読んで真っ先に頭に浮かんだのは、『7つの習慣』のなかにある、「相乗効果を発揮する」というものです。
リンカーンのように、リーダーの立場から、組織のメンバーを自分で選ぶことは、まだ私の人生で起こっていませんが、相乗効果を発揮するという面から考えれば、なすべきことがいくつか考えられます。

・問題解決のために、同僚や上司、友人と積極的にコミュニケーションをとる
・そのなかでも、異なる意見を尊重し、なぜそう思うのかを聴き出し、理解する。
・自分の意見と、異なる意見とのどちらかを選ぶ、またはその両方を掛け合わせることで、よりよい案を生みだす。
・最終的にはみずから決断し、決めたことは必ず実行する。

私自身の話で恐縮ですが、卒業論文の提出を来年度にしようかと思っていたとき、友人は私の当初の考えとは異なる意見を提示してくれました。その結果は以前日記にも書きましたが、そのとき複数の意見を客観的に議論することの重要性を学びました。


今回の論文は、私の今年のテーマ(2D)のうちの一つ、「決断力をつける」ことにもつながる内容でしたので、日常的に行われるdecision making のときにこれを思い出し、繰り返し使うことで習慣づけたいものです。


以上、今日はやたら学術的でしたが、最後までお読みくださりありがとうございました。
今後も月に1~2どのペースで要約を載せていきたいと思っていますが、さしあたって今回の構成や内容について感じたことがあれば、フィードバックをくださると嬉しいです。

では、雨が多く気温も不安定な時期ですが、体調など崩さずに、
新年度に向けて来週もがんばっていきましょうね!