「ジークフリート」公演のマエストロ、三澤洋史先生のブログです。私は公演が終了した後、腑抜け状態になっておりましたが、三澤先生は次の日からお忙しくされていたようです。凄いです!!


先生も書いていらっしゃいますが、タイトルロールの片寄さんが喉の状態を悪くされていました。しかし私は当日の2幕前にアナウンスが入るまで知りませんでした。共演者に心配させないようにという片寄さんのお気遣いからだと思います。実は公演1週間前には疲労で声帯の片方の筋肉の動きが鈍いと診断されていたそうです。片寄さんの歌のテクニックは素晴らしいので、相当のことをしない限り大丈夫だと思うのですが、沢山の公演が入っていらっしゃったので、流石の片寄さんもキャパを超えてしまったのかなと思います。そして私が書きたいことは、本番の彼は素晴らしかったということ。楽屋で「高音は1オクターブ下げているみたい」と聞いていたのですが、私が舞台に立った時、ブリュンヒルデに対しての気持ちを声のことを考えながらしっかり表現されていました。そしてビックリしたのは、音を1オクターブ下げるのではなく、和音に合わせたなるべく高めの音に即席で下げていたこと。本当に素晴らしかった。ジークフリートを全曲歌える歌手は今の日本には彼しかいないのではないかと言われています。終演後、メイクさんの部屋に寄ったところ、その部屋の隣に3畳ほどの和室があり、そこが片寄部屋(相撲部屋みたい)になっていたことを知り、ちょっと笑っちゃいましたが、そこで、来年は成功させようと誓いました。来年の「神々の黄昏」はブリュンヒルデの歌唱箇所が多いです。私も若くないので(笑)、来年は公演を減らし、ブリュンヒルデに専念しようと思います。人生、色々ある!!