以前私がお手伝いをしていたある会社の営業現場で、はじめてのオフサイトミーティングを開いたときのことです。営業支援を担当している女性社員がこんな話をしていました。
「私は、かごの中で足踏み車の上を走るハムスターのようなものです。一体自分は何のために走っているのか、どこへ向かって走っているのかということについて立ち止まって考えることもなく、ただ毎日全力疾走しています。本当にこれでいいのだろうかと思うこともありましたが、下手に考えると余計に気が滅入ってくるので、あまり考えないようにしています。きっと私はこんな風にして仕事人生を終えていくのでしょうね。でも、仕事というのはそういうものなのかもしれません。」私はこの話をしてくれた彼女の冷めた表情が今でも忘れられません。
今多くの企業の営業現場で社員は疲れきっています。思うように業績が上がらない中で、日々くり返している仕事の意味や目的を問い直す暇もなく、毎日ただ全力疾走している。というより、むしろ仕事の意味や目的を問い直すという自然な感性に蓋をすることで、その全力疾走が可能になっているのかもしれません。でも、それは決して長くは続かないでしょう。
以前のように、顧客の顕在化したニーズに対して業界内でシェア争いをしていた時代には、営業は与えられた数値を達成するという明確な目標に向かって迷わず全力疾走すれば、たとえそれが義務感からの行動であってもそれなりに結果が出て達成感を味わうこともできたのですが、今は決してそうはいきません。この事実は、営業の仕事に携わっている方ならば痛いほど感じていることでしょう。
「このままでは会社も個人もダメになってしまう。なんとかしなければ」と誰もが考えているはずです。しかし、現実にはノルマ達成型の従来の営業モデルに代わるものが見いだせなければ、とりあえず従来のモデルをより強化徹底するしかありません。しかし、これではますます営業現場は疲弊していくに違いありません。
次回に続く