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中世写本書体特集
本日最終日
書体解説 その3
いってみましょう
今や本といえば
電子書籍で1部数百円
個人のポケットの中のモバイルに
何百冊も簡単に所有できるし
0円のものもかなりある
紙の書籍でも
ほとんどのものが
図書館で無料で読めるけど
つい100年くらい前(近代)でも
ブルジョア階級の
相当なお金持ちでない限り
本なんて買えなかったし
500年前(中世後期)では
城内に図書室を設けれる
王様や有力貴族くらい
1000年前(中世前期)ともなると
図書室を作れるほどお金持っているのは
教会や修道院くらいで
その所有の仕方ときたら
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・
図書室の鉄格子の扉に
ごっつい錠前がかかっているだけでなく
一冊ずつ本棚に鎖で繋がれて
表紙にも鍵がかかっている有様
どれだけ貴重で高価なモンかって
そりゃあ全ページ本革仕様で
表紙は金属加工
しかも宝石が埋め込まれているという
よくわからないけど
1冊100万円でもそんな端金と言われて
絶対に譲ってもらえそうにないわよ
そんな超高級貴重本で
しかも中はすべて
一流技を持った高僧による
手書き文字
そんな
恐れ多いもんが
すごくないワケがない!
9月
Varsals
ヴァーサル
8世紀イタリア写本より
コレまたなかなか
ユニークなアレンジの
ヴァーサルですわ
10月
Rotunda
ルタンダ
16世紀イタリア写本より
この書体は
7月の書体と一緒で
ゴシック体
でも比べて見たらよくわかるけど
横幅が結構あって
見た目丸っこいので
通称:ラウンドゴシック
(曲線的ゴート風文字)
と呼ばれています
ゴシック書体の特徴は
角ばっていること
Oですら四角で書くのが
お決まりなんだけど
この書体は
ちょっと角が
丸くなっているのですわ
こんなかんじ
上から
ゴシック体のOとC
ラウンドゴシック体のOとC
参考までに
ゴシック体ではない書体
アンシャル体のOとC
たいていの書体のOとCは
こんな風に
完全に丸いモン
11月
Insular Semi-Uncial
インシュラー・セミアンシャル
9世紀イギリス写本より
名前からもわかるように
コレは8月のアンシャルと同じ仲間
パッと見た目
かなり違っているようで
コレがどうアンシャルと同じなのか
筆順を見たら
納得できると思いますわ
12月
Lombardic
ロンバルディック
11世紀イギリス写本より
ロンバルディックとは
ロンゴバルド風文字という意味
中世初期に
ロンゴバルド王国という国があって
現在はイタリアの一部なんですけど
この書体は超人気で
中世の間長期にわたって
ヨーロッパ全土で大流行したため
イギリスでもモテモテ
まあ
かわいいですわよ
今回は
コレしか選ばなかったけど
装飾のしがいのある
たっぷりした
コンパウンド系
(構築文字)
コレも
筆順と画数を見てもらえば
ご納得いただけるはず
ヴァーサルと同じように
なんども筆を入れていますわ
今回はどれも
ざっくりしたところの説明で
細かいところの
関係性がわかりにくい点も
多かったと思いますけど
一見まわりの装飾で
イメージが違って見える書体も
ベースになっている部分の
筆順と画数で
書体の系統や仲間が分かれていて
それを見ると
その文字が使われた
時代と場所が判明するという話
ご紹介した書体
おおざっぱだけど
わかりやすいところで
古い順に並べてみました
時代が下るにつれて
どんどん簡略化されて
画数が減っているのが
一目瞭然!
*
現代のデザイナー仕事は
昔の高僧や職人とは違って
何の技術も持たない
一般庶民の誰もができる
超簡単作業なんだけど
見た目の色や形のイメージの他に
こういった歴史背景から漂う
イメージも盛り込んで
パソコン文字を選んでいる
ということなのですわよ
何でも奥深いものよね
最後に
すべてのイラストの
背景というか枠に
共通して使った装飾は
中世写本の装飾の定番
アイビー(蔦模様)
写本装飾には
幾何学模様
動物模様など
色々な模様がある中で
植物模様が多くて
その中でもこの蔦模様が
ダントツ多いと思うのは
わたくしの単なる好みで
コレばかりが
目についているだけなのかも
しれないけれど
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ランブール兄弟作
ベリー公の美しき時祷書より
わたくしが
一生かけて好きなもの