そこは自分の田舎を思わせる風景だった。

きらびやかな照明を纏ったパチンコ店やレストランが大通りに面して、そこを数多の自動車が行き交い、裏を縫えば建設中に放り出された工事現場、誰も入らなくなった空き店舗が目立った。

そこはこの世の表と裏との差が見事に表現された場のように思えた。

その日は少し雨が降っていて、辺りは暗くそのきらびやかな照明はさらに目立って見えた。



裏道を数人の少年、少女を乗せた一台のバスが走っていた。
このバスが何の目的でこの人達を乗せて、どこに向かっているのか全く分からないが
私はそのバスの乗客席の一番後ろで外の雨を見ていた。
私は記憶に残っていないが罪を犯して乗せられているのではないかと直感的にそう思った。


ふと見知らぬ他の乗客に目を向けた。外見からガラが悪く私の人生には関わりのないと思っていた人達ばかりであった。


とその時ふたつ前の座席から声をかけられた。その間には誰も座っていなかったのですぐにその少女と目が合った。

その少女は黒髪でニット帽を被り目は緑がかった灰色をしていた。


「ねぇタバコ持ってない?」

生涯タバコを吸わないと誓った私はいいえと答えた。

「あらそうなの?ま、いいか」

と言い、どこからかタバコを出して火を着けはじめた。そしてまたこう言い出した。

「あなたは何をしたの?」


いつの間にか私の隣に移動し頭を私に委ねようとしていたのでさりげなく制止した。
そして私の直感が答えをかすめていたが無視した。そして、何が、と返答した。そして自分はどうなのかと質問した。
するとその少女はこう言った。

「ねぇ、あなたの腕噛んでいい?」

そして私の腕を持ち上げて噛もうとするその少女を止めようと頭を掴んだ。そしてダメだと言った。

そんなやりとりを数回繰り返したとき少女はこういった。
外の風景は一変してどこかトンネルに入っていた。

「どうしてあなたも拒否するの?あの子もそうだった。でも、今あの子は幸せ者よ。」

私は何を話しているのか分からなかったが少女はこう続けた。

「だってあの子、今、何も感じない。何も吸収できない。痛みもない。お人形さんだもの!幸せに決まってる。」

自分の気持ちを
目の前にぶつけていきたいんだよ

そのために必要なもの