銀河鉄道999 | しろグ

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今まで観た宇宙ものSFで最も斬新でスケールが大きい作品。

最終目的地がアンドロメダ星雲の中にある星だから、最低でも225万光年は舞台空間ということである。私を魅了してやまない『銀河英雄伝説』が約10,000光年、藤子不二雄氏の珠玉の名品『21エモン』の最後のエピソードは銀河系の端の星での遭難だったのでおおむね15,000光年くらいだろう。戦艦1隻で大艦隊や移動する彗星とやり合う宇宙戦艦ヤマトでも、イスカンダルはマゼラン星雲の中だから、だいたい16万光年くらいが活動範囲である。となると、お隣の銀河であるアンドロメダ星雲まで出掛けて行く銀河鉄道999は桁が違う、ということになる。

Landscape and portrait ver. 2

そんな装置設定の中で最も斬新なのが、言うまでもないことだが、列車で旅をする、というものである。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモデルにしたらしいが、いろいろなデザインの列車が出てきて、地球を始め、聞いたこともないような星を行き交う様は子供心に衝撃を与え、そして今でも感動的である。

それにしても、999など宇宙の鉄道を統括している銀河鉄道株式会社(地球には銀河鉄道管理局本部。アンドロメダにはアンドロメダ管理局がある)は、超国家的な民間企業で、その殿様商売ぶりは旧国鉄などはだしで逃げ出す権勢ぶりである。何しろ、進路上に障害物があれば、それが何であれ破壊してしまう。生命を持った天体でさえ、有無を言わさず排除した。

無賃乗車は死刑。JRでは確か当該乗車区間の3倍だったか5倍程度の料金を払うことで済んだはずである。入場券での乗車もばれれば死刑。車内か降りた駅で精算すれば済むJRとは大変な違いだ。車内でもめ事を起こし手に負えない場合は車掌の判断で宇宙空間に放り出されてしまうし、偽造パスの使用、列車妨害も死刑。ところが、定期券、切符は、それがどのような手段で手に入れたものであろうと正規のものならば、券面に表示してある名前を名乗れば乗車出来るが、他人の名前のある定期券を使用したのが発覚した場合は死刑となる。。。う~ん、これって矛盾しているような気が……

民間企業……つまり私鉄なのに、この規約はすごい。無法の宇宙を縦横に駆け巡る交通網をきちッと管理運行するにはこれくらい強大な権限が必要ということだろう。惑星間、恒星間航行の手段はほとんど唯一この銀河鉄道株式会社が運営する鉄道のみらしいので、完全な独占状態。それぞれの国(星)の主権を越えて生活や旅の足の確保に万全を期している。銀河鉄道の車両内は宇宙法で治外法権とされているらしいが、その宇宙法を策定して厳格に遵守させているのも銀河鉄道株式会社だとしたら、これはもう今まで存在したフィクション、ノンフィクションの物語の中に存在した最も強力な民間企業……いや、権力集団ということになる。。。国連などママゴトのようなものだ。

というわけで、久しぶりに『銀河鉄道999』のアニメ版を一から見直している。この物語の騒動の8割は、鉄郎が自重すれば起こらなかったと思う……