
先日の決定的な騒ぎから数日、我々パート組の不満は限界に達していた。
モンスター親子にはそもそも(過去を鑑みれば当然だが)地雷が多く、そんなバカ息子に限って皆と休憩を一緒にとりたがるので我々はヒジョーに気を遣っていたのだ。
見ているだけでも不快極まりないし、こちらに悪気がない何気ない発言(しかも息子に向けられたものではない言葉にも過剰に反応する)でもこの前みたいに泣き喚かれたらたまったもんじゃない。
母の方からも逆恨みされる可能性があるし。
正直、社長は信用ならないしコトを悪化させているのもこの人物なので気乗りしなかったが、連中をどうこうできるのも社長だけなので苦言を呈することにした。
社長も連中の扱いには手を焼いていたのでコレ幸いとばかりに、まず息子を来させないようにした。
が、やり方が問題だった。
『皆が彼が来ると困ると言っているから、もう遠慮してくれ』
とモン母に伝えたのだ。
私はこれを聴いて耳を疑った。会社の代表なら自分が矢面に立って従業員を守るべきなのに(そもそもバカ息子が来るキッカケを作ったのもこの男)
従業員同士の不和をあおるようなマネをするなんて。
モン母の方は我々に反感を持っている様子はなく、あんなコトがあったし皆に煙たがられても仕方ないと理解し、なんとか息子をなだめて自分だけ勤務する、という生活に戻っていた。
息子には真実を伝えず『できる作業がないんだって』とごまかしていたらしい。
そんなことを続けて現実から目を背けているからあんな人間になってしまったのだ。
年老いた親を守るどころかいつまでも庇護され寄生しているくせに、思い通りにならないと癇癪をおこし暴れ、口だけは一丁前の絵に描いたようなモンスター。
でもそれを長年良しとしてしまった親の責任であるのは言うまでもないので、被害者でもある。
反面教師とするべき親子だった。
他のパートと顔を合わせると、この期におよんで『息子をココに戻らせてやってほしい』と頼んでまわっていて、懲りないな〜とあきれた。
一番古株の先輩も
「悪いけど私は容認できない。私達の何が彼の琴線に触れるかわからないし、あんな状態になるならお互いのためによくない。社長の態度からもわかると思うけど、ガマンしてココで続けるべきじゃないよ」
とモン母に直接伝えてくれた(ちなみに先輩はプライベートでもモン母のグチ聴きをさせられたことがあるらしい)
さすがのモン母も息子の件は諦めて、少しはおとなしくなるかなといった頃に、また社長の暴走が始まった。
中編の通り、私はモン母と一緒に作業することが多く(そもそも人数が少ない)社長に対する恨み言や、息子のしょーもない話をいつも聞かされていたのだが、それを知る社長が私の退勤時に
「今日はあの人(自分のこと)なんて言ってた?」
「それで君はなんて答えたの?」
と毎回たずねてくるようになったのだ。
正確に内容を伝えたところでキレられるし、社長に忖度したことしか言えず、なぜか私が糾弾されるような構図に。
少し前に私が前回記した通りの息子と我が家のイザコザを社長含め皆(といっても他2人)に打ち明けた時は
「皆を味方につけて、徒党を組んで一人をイジメるようなマネはするな」
と全く的外れな叱責を受けたのだ。
仕方ないことだが皆が集まると自然に『あの親子をどうするか』の話になるので「実は過去にもこういうことがあって…」とハブろうとか、他意はなく話したら
他でもなく一番モラハラパワハラ大きなお世話発言で親子をイジめていたテメーになんでそんなこと言われなきゃならない?
とその時点で社長に対する信用と呼べるようなものは地に墜ちたどころかマイナスになった。
社長とモン母の板挟みになり、トンチンカンな揚げ足取りやスパイ扱いの日々についに私はブチ切れた。
社長は話が通じず“反抗されたり言いくるめられるのが大嫌い”なので(だから勤め人が向かず起業したらしい)
ここまで登場しなかった社長の奥さんに洗いざらい話すことにした。
前編で記した通り夫妻は結婚歴が浅かったし、奥さんも良い気はしないだろうし、離婚することにでもなったら社長に恨まれるよな、とか色々考えたけどガマンならなかったので『もう来なくていい』と言われる覚悟で打ち明けた。
あの親子に端を発して社長に言われたことされたこと、正直上司として以前に人としてありえないなど、けっこう過激に書き連ねてしまったと思う。
特に、結局仕事から干されることになったモン母が社長夫妻を訪ね、同情をひこうとしたのか
「実は自分は離婚歴があって、その時の子供(現30代)を置いてきてしまったことをすごく後悔していて、再婚後の現息子に過保護になりすぎてしまった」
というエピソードを打ち明けたらしいのだが、それを社長が喜々として皆に話したのだ。
“この人にプライベートなことを話してしまうと、いつの間にか皆に知られることになるな”と
守秘義務もあったもんじゃないところが、一番許せなかった。
いくら周りに迷惑をかけまくった奴だからといって、内密にしなければならないことはある。
モン母もなぜ敵である社長にそんな爆弾を渡してしまったのか。
ただでさえ、どうしようもない息子に社長が面白半分でそれを伝えてしまったら、自分だけのママだと思っていたのに事あるごとに『あの人が俺の兄弟⁉それともあの人!?』と疑心暗鬼になりパニックになることが予想できなかったのか…
奥さんの反応は、意外と冷静だった。
私と個別に話す機会を作ってくれ、自分があまり顔を出せない間に起こっていたことを正直に伝えてくれたと感謝し、ねぎらってくれた(大事にならずにほっとした)
私の予想に反し意外と社長に入れ込んでいるようで、事の責任はモンスター親子にあるとしながらも
「社長はやり方を間違えたけど、根は悪い人間じゃないから許してやってほしい」となだめられた。
私の働きは買ってくれていたようで、できれば今後も勤めてほしいと言ってもらえたが、丁重にお断りした。
その後の社長は、奥さんからクギを刺してもらったおかげで私にも「不快な思いをさせて申し訳なかった」と謝罪し、しおらしくなったので
こちらも当然、顔を合わせづらかったがなんとか、最終日まで勤務を続けられた。
社長が未だに独身だったら、何も耳を貸さずケンカ別れになっていたと思う。
最後の給料までほぼ毎回、金額が間違っていたのも今となっては(良くない)思い出。