早朝、私はA氏に見おくられ、A氏宅を後にした。
A氏宅から駅までは10分くらい歩く。
何でだろ…景色が違って見える。気持ちが高ぶっているせいか…本番のことを考えるとドクン、ドクンと徐々に心拍数が上がるのが身体中で感じた。
劇場に着くと、すでに代表をはじめ、半分の団員が来ていた。
「おはようございます!」
利用時間になるまでは、ホールや楽屋には入ることができない。
その間、私は何度もトイレに行った。
楽屋に入るとすぐに準備だ。
和装ブラで胸をつぶし、男役ならではの肉布団をつけ、メイク用の服に着替えた。
化粧前の準備をし、いざメイク!!
メイクの途中になか付きのK氏が到着。「トムちゃん、よろしくね。」
中途半端な白い顔のまま私も挨拶をした。
メイクが終わり、衣裳のチェック。
舞台裏のテーブルに香盤順に衣裳を並べた。
パンツがやけに綺麗だ…シワが全くない。
なんと私がメイクをしている間にK氏がアイロンをかけてくれていた。何てありがたいのだろう。
時間はあっという間に過ぎていった。
初舞台の時と同じく、昼食は緊張のせいでほとんど喉を通らなかった。
いよいよゲネの時間だ。
ゲネとは本番同様にやるリハーサルのことだ。
ゲネでは、少ない台詞をかんだり、ショーではミスをするなど、不安が残ったままゲネが終了。一時間もしないうちに開演だった。
楽屋に戻り、メイクと髪型を直した。
その時、楽屋では私一人だった。
舞台の方から開場を知らせる声がした。それと同時に楽屋内のモニターに客席の様子が映し出された。
とてつもない緊張感が私を襲った。
楽屋に一人でいるのが不安でたまらなかった。
私が人一倍余計に緊張していたのには、他にも理由があった。前の劇団の代表が1日目に観に来ると事前に聞いていた。
私がこの劇団に入ったことすら知らないのではないか、いや…この狭いもどき劇団の情報は出回るのが速い。すでに知ってて観に来たのであれば、尚更、格好悪い姿は絶対に見せたくない。まぁ、どちらにせよ失敗は許されない。
そして、いざ開演!!
ゲネで失敗したことを活かさなければという思いで、舞台に臨んだ。
お芝居では私は3つの場面に出演した。
自分の出番が終わると、先輩方の演技を袖から見て、出演者ながら、泣いてしまった。
15分の休憩後にショーが始まった。
ミスもなく、何とか最後までやりきった。
この日は、A氏とルナ、地元の友人も観に来てくれていた。ステージ上からA氏とルナが笑顔で手をふるのが見えた。
もどき劇団では、終演後はロビーでお客様をお見送りするのが主流である。通称、「客出し」。
そこで、劇団のホームページによく書き込みをしてくれた方(G氏)と初めてお会いした。小さくて、可愛らしい方だった。
まさか、このG氏が次の公演の共演者になるとは、この時、思ってもみなかった。
何とか無事に公演1日目を終えることができた。
その日の夜は、A氏とルナと3人でファミレスで食事をした。
2人はすでにお店で食事を済ませていた。
「お疲れ様~!!」
と笑顔で迎えてくれた。
2人から、観た感想とダメ出しをもらい、2日目に活かすことができた。舞台経験の豊富な2人からのアドバイスは的確で、本当にありがたかった。
そして、この日もA氏宅に泊まらせて頂いた。翌日に備え、早々と就寝した。
翌日、公演2日目(最終日)。泣いても笑ってもこれが最後の日だ。
私はこの日も、早朝にA氏宅を後にしたのだった。
この続きはまた後日…。
あ、1日目の失敗と言ったら、メイクを失敗してしまいました(笑)


それが、こちら…真ん中が私です。

綺麗にツケマツゲが上向きに咲いてしまいました
客席からはわからないだろうと思い、ゲネ後あまり時間もなかった為、直さなかったのが大失敗でした
