ギリシャの歴史と経済の概要 今回紹介するのは「ギリシャ危機」についてです。ギリシャについてですが、正式名称は「ギリシャ共和国」場所は南ヨーロッパに位置し、ヨーロッパの端に位置します。これらもあって移民問題に悩んでいます。人口は2022年時点で約1040万人、日本の人口の1割以下、面積は日本の三分の一、首都はアテネ。

 

 アテネの歴史は3400年で、世界最古の都市の1つです。ギリシャの歴史ざっくり言うと、オスマン帝国から独立するが、第2次世界対戦でドイツなどに占領されました。大戦後はイギリスなどが介入した内戦になりますが、イギリスが離脱。アメリカが介入して内戦は終了、冷戦構造下で西側に属することになります。

 

 1967年から7年ぐらい軍事政権が続き、その後ギリシャ共和国になります。主な産業は製造業ですが、軽工業で他には観光業や海運業があります。このギリシですが、軍事政権終了後の81年に欧州共同体、EC(今のEU)に加盟しました。この頃から90年代半ばまでのギリシャ経済の特徴はまず産業が弱かったです。観光業は裾野が広いが、そこまで稼げるものでもなかったようです。

 

 経済対策として公共投資・公務員雇用などで財政支出をして、消費で経済成長率が上がります。そのお金は赤字国際を発行して、中央銀行が引き受けました。しかし、この方法だとインフレが起きやすく、当時20%ぐらいのインフレが何年も続いてようです。インフレになると国際競争力が弱くなります。当時、固定相場性だったので、通貨のドラクマを大きく切り下げて、競争力をつつけるというやり方をしました。

 

 

 

EUとユーロとギリシャ 80年代後半はECが単一市場統合を目指して、大企業が積極的にEC圏内に進出していきます。スペイン・ポルトガルなどは低賃金なので工場が立ち上がります。しかしギリシャは、ドイツやフランスなどの大国から遠く、あまり関係ありませんでした。

 

 そんなギリシャにとても魅力的なプロジェクトが出てきました。それが欧州の通過統合、ユーロです。ユーロを導入すると今までは輸出してドルやドイツのマルクなどを稼ぐ必要がありましたが、それがなくなります。ギリシャは輸出が少なく、外貨を稼ぎにくく、信用力もなく、金利が高い状態でしたが、ユーロならそれが全て解決できます。

 

 96年の新政権からギリシャはユーロ加盟に向けて動き始めます。でも道のりは困難、インフレ率を抑えるなどの様々な条件がありました。なので様々な改革を実行、ユーロの加盟を予感させているので投資が加速しました。そして99年にユーロがスタート、ギリシャは条件を満たせませんでした。

 

 しかし、2001年に加盟を果たし、アテネ市民は国会議事堂の広場に集まって祝いました。ユーロ導入後、ギリシャは絶好調、低金利になって住宅設備消費が刺激され、成長率が上昇。特に、賃金・社会保障手当てなどが伸び、2000年から2008年まで55%上昇。実質賃金も大幅に伸び、特に公共部門の賃金は倍になました。ユーロ導入後、GDPは大幅に伸び7年で倍以上に伸びてます。これがギリシャ経済です。

 

 ユーロを導入して外資もどんどん入ってきて、個人所得が増えてる、経済は加速するだろうという矢先に、ギリシャは破綻し掛けました。

 

ギリシャの財政赤字の理由 ギリシャが破綻しかけたというのは、簡単に言うと借金が返せなかったことです。要因の1つが2004年のアテネ五輪、オリンピックの会場を建設したり、町の高速道の整備、環境整備で大規模な工事を実施。100億ユーロ、約1.1兆円と言われています。100億ユーロ費やして建設した施設の半分以上が使われてなく、多くの維持費が発生しています。

 

 しかし、アテネ五輪は大きな要因ではなく、ギリシャは2009年10月に政権交代が起き、中道左派の全ギリシャ社会主義運動、通称PASOKのゲオルギアス・パパンドレウ政権が誕生。それでパパンドレウ首相は、

 

「うちの国の国家統計はおかしい気がする、調べてみて」

 

以前からギリシャでは政権交代が近づくと国庫をほぼ空にして、立ち去るのが習わしだったみたいなんですが、それで国庫がほぼ無くなってただけでなく、財政赤字が元々3%程度という報告だったのが、実は約13%、最終的に15%以上になりました。あと公的債務残高、要は借金の累計はGDP比で115%になりました。

 

 国営業に対する債務保証や民間企業への未払い分、銀行などへのスワップ支払いなどをごまかして過小報告してました。これはゴールドマン・サックスに巨額の手数料を払って指南してもらった操作なので、簡単に見つからないと思います。当然、完全に黒字にして無借金経営しなければならないか、というとそうでもないのですが、明らかに赤字が多すぎですした。

 

 この赤字の原因は、簡単に言うと公務員が急激に増えました。選挙をやる度に公務員の雇用や公共投資を謳って景気活性化で人気を得ようとし、どんどんと増えました。前政権は選挙の功労者など約10万人を公務員として採用し、歳出を200億ユーロ拡大。公務員は労働人口の21%、雇用者の1/3になるみたいです。

 

 数字ありきで雇用したので、無理やり作ったんじゃないのか?と疑うような公社とか立ち上げてました。ペットボトル管理機関というペットボトルの規格などを決めるところがあるみたいです。他には、アテネ市内の交通機関は巨額の赤字で、アテネをまるっと横切っても切符は1ユーロでした。

 

 あとは年金、退職までの最終5年間の賃金に対する年金の割合で70%支給されます。55歳前後で年金が受給でき、公務員であれば53歳から、給与の90%が支給されるというものでした。一方で年金の供与額に対して払い込み額は29%。しかも、税収も上手く徴収できてないっぽく、ギリシャでは弁護士や医者、小売店などの自衛業者が3割を含みますが、一定水準以下は無税となる制度なので、過小申告が横行、領収書を発行しない店が多いようです。

 

 税務申告をする個人の9割以上が収入を3万ーユ以下と申告してます。税務所員も賄賂をもらい、脱税に加担してた人が多かったようです。2010年5月に税務所幹部を20名交代させます。それで税務所職員200人の資産状況をチェック、とりあえず50人調査したら、年収5万ユーロの職員が保有している不動産価格が、平均で122万ユーロでした。

 

 付加価値税、日本でいう消費税の税率は19%でしたが、実行税率は10%ほど。これらがギリシャの財政赤字が拡大した理由です。国債を引き受けは、フランスやドイツなど欧州の大手銀行が引き受けます。それで、これらが状況を複雑にしていきました。

 

また明日も紹介しますので、良かったらチェックしてみて下さい。

 

 

 

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