サム・バンクマン=フリード 今回紹介するのがFTX。FTXを創業したのはサム・バンクマン・フリード。バンクマンが生まれたのは92年、スタンフォード大学のキャンパス。両親がスタンフォードのロースクールの教授、両親とも超有名大学の教授、多くの親戚も優秀。その後、マサチューセッツ工科大学で物理学を専攻して卒業、卒業後は大手クオンツトレーディングに就職。クオンツとは高度な数学の知識を使って、デリバティブ商品を作ったり、リスク管理ツールを作ること。

 

 2017年9月にジェーンストリートを退職して短期間別のところで働いた後に共同で設立したのがアラメダ・リサーチ。クオンズトレードの会社だが、バンクマンが

 

「ビットコインってアメリカより韓国の方がめっちゃ値段が高い」

 

価格差が5割近くあったことに当時気づいた。ビットコインをアメリカで買って韓国で売ったら大儲け、しかしウォンは持ち出し制限があるため簡単にはいかなかった。それでバンクマンは、

 

「日本でも儲かりそうだし、円は制限がないから行ける」

 

日本とアメリカでのアービトラージ(裁定取引)を始めた、これで相当稼いだ。この中でバンクマンは暗号資産業界について感じたことが、

 

「この業界、技術水準が低い。自分たちがやればもっといいものにできそうだ」

 

2018年末から仮想通貨取引所の開発に着手、翌年5月にアンティグア・バーブーダで設立。ここはカリブ海の小さな国で人口10万人ぐらい。アメリカでは仮想通貨の規制が厳しく行き着いた先がアンティグアだった。ここからあっという間に仮想通貨業界を席巻する。

 

 

FTXの躍進 立ち上げ前に遡るが、2019年1月にアラメダが主催するシンガポールのパーティに、とある中国系カナダ人、チャンポン・ジャオが立ち寄った。彼は現在世界最大の仮想通貨取引所バイナンスの創業者兼CEO。そして彼がFTXに出資した最初の投資家の一人になった。

 

 サービス開始後FTXは急激な成長を遂げた。次々とライバルを蹴散らし、わずか3年で仮想通貨取引量世界3位に躍り出た。2022年1月の資金調達時のFTXの評価額は320億ドル、約3.6兆円。FTXが強い理由は、一言で言うとFTXが優秀だったこと、非常に使いやすかった。さらに、様々な魅力的な商品を開発、レバレッジ取引も最大約100倍まで可能だった。他にもデリバティブもやっており、先物取引やMOVEコントラクト、レバレッジトークン、インデックストークンなどがある。

 

 他にはFTXが発行しているオリジナルトークンであるFTTも特徴的。トークンとは仮想通貨みたいなもので、既存の仮想通貨のシステムを間借りして独自のブロックチェーンを持たないもの。それらのトークンを持つことで発行者から様々なサービスを受けることがある。保有量に応じてFTXでの売買手数料の割引を受けられて、さらにセラムという仮想通貨が配られる。

 

 ステーキングという対象の仮想通貨を持ってブロックチェーンに参加して報酬を得られるのもある。さらに、このFTTは売買できる。あとFTTは定期的にバーン、焼却を行い、供給量を減らして価値を保っている。FTXの利用者が増えれば増えるほど、仮想通貨の価値が上がれば上がるほどFTTの価値も上がるということ。

 

 これらによりFTXは急成長、評価を高めて投資資金を得ることができた。バンクマンの評価も急上昇、Tシャツとダボダボなショートパンツで会議に出席してロックスターのように扱われた。バンクマンはその年のフォーブスの長者番付で資産を240億ドルと算定されて60位になった。

 

 さらにFTXの認知度を上げるためスポーツ界にも資金を出した。アメリカ最大のスポーツイベントであるスーパーボウルにコマーシャルを出したり、2021年3月にNBAのマイアミ・ヒートのアリーナの命名権に1.3億ドルを投じた。さらにアンバサダーにプロテニス選手の大阪なおみ、NFLのトム・ブレイディ、NBAのステファン・カリーと契約を結んだ。

 

 この勢いでFTXは日本やアメリカでも現地法人でサービスを開始、大谷翔平がアンバサダーにもなっている。FTXは2021年に本社を香港からカリブ海のバハマに移転。バハマの方が規制が緩く、アメリカも目と鼻の先だった。豊富な資金力を背景にM&AでFTXを拡大。2022年前半では仮想通貨市場が混乱して多くの企業が苦境に立たされたが、バンクマンは

 

「他の人が人員を削減しても成長し続ける」

 

いくつかの仮想通貨企業が清算の発表をするが、すぐにFTXが支援に動いた。バンクマンは仮想通貨業界の救世主となったが、その後、FTXは破綻した。

 

 

また明日も紹介しますので、良かったらチェックしてみて下さい。

 

 

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