中国不動産の歴史 今回紹介するのは中国不動産バブルについてです。まずは中国不動産の歴史についてですが、鄧小平の改革解放が行われ土地使用権が認められるようになります。91年に住宅の自由売買が認められ、98年に国有企業が管理していた住宅が私有化されました。これが大きな転換点となり不動産ブームが起きました。今まで貯まっていた住宅需要が一気に解放され、都下化が進んで住宅関連の需要も生まれ、この頃北京オリンピックも開催されました。インフラも一気に整えました。そして北京五輪が終了、この頃にやってきたのが世界金融危機。

 

 2008年に外需頼みだった経済を転換、内需重視に。景気刺激策で4兆元、約6兆円を打ち出し、これは日本の税収並です。振り分けたのは、住宅インフラ、交通インフラ、医療、文化、教育関連、施設、ハイテク、サービス産業、そして低所得者向けの公共住宅の建設、住宅を中心としたインフラが主。

 

 不動産需要を掘り起こすため金利を安くし、必要な頭金を下げました。さらに住宅購入者が無税で転売できるようになる最低所有期間も5年から2年に短縮。これらの景気刺激策はすぐに効果を表し、他国に比べて早い時期に金融危機を脱しました。家電なども売れるようになり、自動車にも大規模な減免措置を与えて販売台数が増えました。

 

 2012年に不動産投機などを叩くために金融引き締めをやりましたが、欧州債務危機の影響が出ました。重工業などで生産能力が過剰だったのでこれを整理、一方で財政拡大をしてインフラ支出と不動産の規制を緩和して需要を換気しました。あとはスラム街の老朽化した建物を壊して高層住宅を建設することもやったようです。スラム外の住民は政府の保証を受けて新築の高層住宅に引っ越したそうです。

 

 ここから急激に住宅の販売面積が増加、2020年になるとコロナ渦に突入。金融緩和で資産バブルになり、2000年代に起きたアメリカの住宅バブルを上回っていたと言われてます。さすがに中国もまずいと思い、三つのレッドラインという大手不動産に対して規制を設けました。それが不動産バブル崩壊を引き起こして混乱しました。

 

 

不動産開発が進んだ理由 まず2023年における中国の不動産販売面積はピーク時の2021年の6割に減り、世界金融危機の時より落ち込みました。あとは大手不動産会社も瀕死の重傷です。そもそもの原因は金融危機で4兆元の景気刺激策をやった2008年時、この時中央政府が出したのは1.2兆元だけでした。あの2.8兆限は地方政府が出しました。財源は借入れなどから、それで経済が回り始めれば税収が増えて返せるからいいが、地方によって様々だが効率的に内需拡大に結びつかなかったようです。

 

 地方政府は借金を増やしすぎたのがあるが問題が複雑で、中国は「中央政府」と「地方政府」があり、独裁政権だけど地方に裁量権があり、地方政府で競争して評価されないとキャリア終了。この評価基準に経済成長、GDPの伸びがあり開発競争が激化。

 

 そのGDPを伸ばすために積極的に行ったのが都市開発。しかし地方政府はお金がありませんでした。地方政府は公式では資金を借入れすることができませんでした。資金源としては主に2つ。

 

 1つが「土地の売却収入」土地は国のもので使用権を売却、仕入れがなくて全てが利益になり、その利益を生活インフラや交通インフラに回した。地方政府、特に主要都市が土地の収入が多く一般会計の予算収入を上回っているようです。2021年の土地販売額は174兆円にもなりました。

 

 もう1つの資金源が「融資平台」平台はプラットフォームを意味しますが、これは地方政府の傘下の企業。ここが資金調達や開発をしています。直接資金調達ができないため、融資平台が社債を発行したり、銀行から資金を調達して開発を行うという形です。この融資は地方政府が保証しており、比較的簡単に融資を受けられるが、公に保証をしているわけではなく暗黙の保証と言われています。

 

 地方政府が公式に発表している債務は35兆元、約700兆円になりますが、2023年11月の記事でIMFの資産では隠れ債務が56兆元、日本円で1100兆円と言われてます。まあGDPを考慮すると債務比率は日本より少ない感じですが、これは実質事業融資、売れて経済が活性化して税収で戻ってくれればいいが、売れずに在庫として溜まりました。

 

 

 天津市では5ヶ年のインフラ開発プロジェクトで予算1700元、210億ドルの案件がありました。国家開発銀行から資金を提供されましたが、天津市は土地の売却ですぐに返済できました。しかし、これは2003年のプロジェクトで土地価格が急騰したからできた話で、全国でやったら上手くいくはずない。経済成長が査定に入り、それぞれの地方政府が開発競争を始めます。やらなかったら取り残される、しかも財源となるのが土地の売却益のため自分の任期内にこの利益を使い切りたい。しかも上から経済成長させろというプレッシャーもある。

 

 もう1つ不動産開発を後押ししたのが理財商品。これは、簡単に言うと資産運用商品ですが、中国だとあまり金融商品がなく、預金の金利ぐらいしかなかった、金利よりインフレ率が高いので実質マイナス、なので理財商品への投資が流行りました。その資金が不動産開発に向かう。特に中国の場合は貯蓄率が高い、要因として一人っ子制作で消費が減りました。また、社保証が脆弱であり将来が不安なのもある。

 

 

 中国各地で2011年から5年間で年間1000万戸を超えるマンションが建設されましたが、実際の需要は800万人でした。本来であれば在庫が増えて住宅価格が下落、調整される市場のメカニズムが働きますが、中国の場合はプロジェクトありきで、場合によっては低所得とかにばらまいて無理やり需要を作ってる。

 

 政府は基本的に住宅価格を減収につながる為、下げたくなかった、当然、不動産会社も価格は下がって欲しくないし、不動産に投資している人たちも望んでいない。ブレーキ役が全くいなく、アクセルだけしかない状態、しかも法律の裏をつく改造車が当たり前。先ほどの中国の高貯蓄が不動産投機にも走らせる要因になりました。

 

 

 

 

 

 

 

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