今回紹介する映画は『マダム・ウェブ』マーベル映画の最新作、マーベルコミックのスーパーヒーロー”マダム・ウェブ”を主人公としたソニーズ・スパイダーマン・ユニバースの第4弾で、未来を見る能力に目覚めた救命士のキャシー・ウェブが、謎の男に3人の少女が殺される未来を見て、少女たちを守るために奔走する話。監督は『ジェシカ・ジョーンズ』などのSJ・クラークソン、出演はダコタ・ジョンソン、シドニー・スウィーニー、セレステ・オコナー、イザベラ・メルセード、タハール・ラヒムなど。

 

 SSU最新作『マダム・ウェブ』SSUの新作は久しぶりで、前作の『モービウス』は2年ぐらい前で、今年はMCUもDCもあまり作品がなく、MCUはデップー、DCはジョーカーぐらいしかないですが、SSUは本作以外にも2本公開予定と攻めてきてる感じです。SSUはどの作品も評価されておらず、評論家からの評価は特に悪い『ベェノム』はそれなりに人気のあるシリーズですが『モービウス』はひどすぎてミーム化してるぐらいでしたし、未だに高評価の作品が出てこないのは厳しいところだと思います。

 

 しかも今回の『マダム・ウェブ』も評判悪いようで、個人的には今までのSSUとは違った映画になるかと期待してましたが、まさか『モービウス』以上に荒れることになるとは。興行的にも去年爆死と話題になった『マーベルズ』以上にこけてますので『モービウス』に続いてこの調子はマジでやばいと思います。

 

 実際、決して嫌いな作品ではなく、アイデア自体は悪くないと思いますし、本作で登場したキャラたちの今後の活躍はちょっと楽しみではあります。素材自体は良いので、うまくやってれば十分面白くなった気がしますが、これだけ酷評されるのも無理はないです。単純に映画としてあまりにもクオリティが低いといわざるを得ない出来でした。今までのSSUは本来、スパイダーマンのヴィランとなるキャラクターたちをダークヒーロー的に描いてきてたわけですが、今回はようやくヒーロー側のキャラであるマダム・ウェブが主役となってます。

 

 でも、マダム・ウェブっは全然知らないキャラで、映画化の話を聞くまでは全然知らなかったです。日本だとほとんど知名度はないキャラだと思いますが、このキャラを主役に映画を作るというのは結構ぶっ飛んでるアイデアだと思います。そもそもコミックのマダム・ウェブは、基本スパイダーマンに助言をするサポートキャラで、いろんなパワーはあるけど直接戦うようなタイプのキャラではないんです。そんな彼女を主役に、どんな活躍をさせるのかも気になるところでしたし、悪役がもろにスパイダーマン的な存在であるところも気になってたところです。

 

 今回は超人的な力を持つヴィランから、まだ一般人であるマダム・ウェブことキャシーや3人の少女たちが、どうやって逃れて反撃するかという、常人vs超人という構図も面白くなりそうだったポイントです。やってることは『ターミネーター』と感じですが、スーパーパワーで殺しに来るヴェランから予知能力と頭脳で立ち向かうというのは、上手くいけば面白くなったと思ったんですが、実際は面白くならなかった。

 

 まず、宣伝の時点からやらかしてしまてます。本作は「マーベル初の本格ミステリーサスペンス」とキャッチコピーがついてますが、全然本格的でもなければミステリーともサスペンスとも言い難い。ほとんど広告詐欺と言ってもいいレベルです。まず、ミステリーとしてみると、そもそも解き明かす謎というのがほぼない、序盤の段階からヴィランであるエゼキエルの正体や目的が明かされてて「こいつは何者なのか?なぜ少女たちを狙うのか?」といった謎が全くないんです。なのでミステリーとして成り立ってないんです。これをやるんだったらせめて中盤あたりまではエゼキエルの正体や目的は伏せておくべきなのに、序盤で明かされた上にそれ以上の掘り下げはないので、完全にミステリーとして破綻してます。

 

 また「3人の少女たちがなぜパワーを得ることになるのか?」「かなぜ未来でエゼキエルを殺すことになるのか?」その辺の謎は全部ぶん投げて謎のままにしてたり、意味不明なところも多いんです。こんな感じでどの辺がミステリーと思うしかない内容になってます。

 

 サスペンスとしてどうかというと、一応サスペンスと言えなくはないが、あまりにも突っ込みどころが多すぎる。登場人物たちの行動が終始滅茶苦茶、まず3人の少女たちは命を狙われてる状態なのに、自分たちから目立つようなことをするぐらい馬鹿ですし、案の定居場所がバレてピンチになってるのでアホとしか言いようがない。

 

 終盤も一緒にいたキャシーの友人が子供が生まれそうになった時に、家に隠れてればいいのに、なぜか一緒に出かけて、やはり見つかってピンチになるという意味不明な行動を取ってます。別にキャシーの友人たちは何も関係ないから、狙われてる3人が一緒の方が危険なのに、脚本の都合でピンチの状況を作らないといけないから適当に動かされてるようにしか見えない。

 

 キャシーはキャシーで行動がぶっ飛んでて、いくら命を狙われてる極限状態とはいえ、平然と犯罪行為を繰り返しまくってて、車を盗む、車でダイナーにダイナミック入店する、倉庫の火薬を爆破させまくる、やりたい放題すぎる。いくらなんでも遠慮がなさすぎで、他のヒーローは最低限巻き込まれた人たちを守ったり、バランスを取ってたりしますが、キャシーにはそういうの全然感じない。今までのSSUの主役たちは元々ヴィランのキャラだったから周りとか一切気にせず戦ってても違和感はないけど、マダムウェブはヒーローサイドのキャラだから、同じノりでやっちゃダメ。

 

 こんな感じで主人公サイドがだいぶやばいんですが、それ以上にポンコツなのがヴィランのエゼキエル。少女たちを必要に追いかけてくるシュワちゃん的なヴィランですが、スーパーパワーを持ってる割に、劇中でボコボコにされすぎてて、強そうに見えない。車に跳ねられたり、飛んできたものにぶっ飛ばされたり、スパイダーセンスとかないの?と思うぐらい攻撃くらいまくってるし、今までのスパイディたちの超劣化版にしか見えない。

 

 そもそもヴィランとして掘り下げられてるところがあまりにもなくて、さっきも言ったようにスパイダーウーマンズに殺される理由も謎のまま終わってますが、例えばエゼキエルが何かしらの危険な計画を立てて、それを知った彼女たちに襲われたみたいな理由1個あるだけで全然違ったと思います。そもそも手に入れた能力で何をしたのかもほとんど描かれてないから、本当にスカカスカのヴィランになっている。こんな感じで、サスペンスとして見てもガバガバすぎて厳しい。

 

 一応、このマーベル初本格ミステリーサスペンスは、日本で勝手につけられたキャッチコピーみたいなので日本の宣伝の問題だと思いますが、ミステリー、サスペンスかどうかは別にしても突っ込みどころが多すぎる作品だと思います。

 

 本作はまだ序章とう感じの一本で、マダム・ウェブのオリジンとしてはある程度丁寧にやってますが、3人の少女たちに関しては能力を得ることすらなく終わってるので、中途半端なところで終わってる感じです。今後、SSUがどういう展開を予定してるのか分からないので、今後次第ではありますが、本作で3人を覚醒させておくべきだったんじゃないかと思います。

 

 気になったのが、最初3人が出会う地下鉄のシーンで「面識のない3人が偶然同じ場所に揃ったのは運命かも」みたいなセリフをエゼキエルが言ってて、もしかしたらこの日が3人にとって能力を得るきっかけになる運命の日だったのかと思ってみてましたが、実際は3人が揃っただけでそれ以上のものはなく、そのまま能力を得ることもなく終わったので、あれは何だったの?となりました。

 

 例えば、キャシーの能力で本来たどり着くはずだった未来を知って、その未来に彼女たち自身が自力でたどり着いて能力を手に入れ、キャシーの助けを得て3人がエゼキエルを倒すとか、そっちの方が面白くなると思うんですが、キャシーの覚醒だけで終わってるのでもったいない感じです。

 

 他にもドラマパートやアクション、ダメなところをあげ出すと切りがないので、これだけ酷評されるのも仕方ないと思います。個人的に、やろうとしてたことは自体は悪くないと思いますが、とにかく1つ1つのクオリティが低すぎたのが1番の問題だと思います。ただ、本作で登場したキャラクターたちの今後の活躍は見てみたいと思う程度には好きですし、次回作で化ける可能性はあると思います。

 

 かなり荒が目立って批判ばかりになりましたが、個人的にはそこまで嫌いではないですし、ある程度のポテンシャルは感じる作品でした。次回作以降で活躍してくれることに期待したいところです。興味のある方は是非劇場でご覧なっては如何でしょうか。

 

 

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