今回紹介する映画は『アントマン』1作目、マーベルコミックのスーパーヒーロー「アントマン」を主人公としたマーベル・シネマティック・ユニバースの第12弾で、窃盗の前科を持ち仕事も娘も失った男、スコット・ラングが体の大きさを変えられるスーツを使って「アントマン」となり、悪に立ち向かう話。監督は『イエスマン”YES”は人生のパスワード』などのペイトン・リード、出演はポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、マイケル・ダグラス、マイケル・ペーニャ、コリー・ストールなど。

 

 みんな大好きアントマンの1作目、かなりギャグみたいなヒーローですが結構好きなキャラで、今じゃアベンジャーズの中でも結構重要ポジションだったりするのも良いです。『エンドゲーム』での逆襲のきっかけを作ったキャラですし、アントマンの量子テクノロジーが現在のマルチバース・サーガがでかなり重要そうですし、今後も特に注目のヒーローだと思います。そんなアントマンのデビュー作、個人的にはMCUの一作目だと『アイアンマン』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が頭一つ抜けてると思ってますが、その次ぐらいによくできた1作目だと思います。

 

 シリーズの中でもコメディ要素が強い作品で、同じコメディ要素強めの『ガーディアンズ』や『ラグナロク』以降のソーみたいに、ウェットな要素もほとんどないという、MCUで最も明るく楽しい作風となってます。主演のポール・ラットや監督のペイトン・リードもコメディ映画の経験が豊富な人たちだし、完全に意図した人選でしょう。

 

 ポール・ラッドがまたピッタリはまってて、程よいダメっぷりがまた可愛くてたまらない。MCUの特に男性ヒーローに見られる傾向で、ダメ人間が自分のダメさを認めながらもヒーローとして立ち上がる姿に感動する、というのがあります。スコットも追い詰められると盗みをしてしまうダメ人間だけど、人を傷つけることは好まない優しさもあるし、何より愛する娘のためなら頑張れる良いパパでもある。スコットと娘のキャシーの関係は見ててほっこりする。親子関係がギスギスしてることが多かったり、父親が全ての元凶だったりすることが多いMCUの中で、この親子関係は見てて気持ちいい。

 

 本作で一番面白いのはマイケル・ペーニャの演じるルイスで、存在そのものが面白くて、彼を見てるだけで楽しいキャラだが、やはり一番の見所は脱線しまくりの無駄に長い説明シーン、テンポよく場面が切り替わる編集の上手さもあって、このシリーズでも特に好きなシーンです。そんなバカで可愛いスコットたちと、頭の硬そうなマイケル・ダグラス演じるハンク・ピムやエヴァンジェリー・リリーとかが良い感じに化学反応を起こしてて楽しいところです。

 

 次に、本作の大きな特徴がコメディ要素であること、代表的なところで言えば『オーシャンズ11』とか。アントマンもオーシャンズ11のように、様々な特技を持つキャラクターがチームとなって、ある物を盗み出すミッションに挑むという話になってます。小さくなってどこにでも侵入できるアントマンにぴったりなジャンルですが、アントマンになるまでもない序盤にある金庫破りのシーンも面白い、その場にあったものを使って見事にセキュリティを突破したり、金庫を破ったり、スコットの泥棒テクニックは見てて楽しいところです。後半からはルイスたちも加えてのチームでのミッション。ケイパー映画としての面白さがしっかり詰まってました。

 

 それらに加えて師弟ものでもあり、初代アントマンであるハンク・ピムからスコットにアントマンを継承する話でもある。コミックだとアントマンといえばハンク・ピムだけど、あえてマイナーだったスコットを主役にして、師弟要素を入れてきたのは面白い。結果的にスコットもハンクも魅力的なキャラになって良かったと思います。

 

 アントマンを受け継ぐための訓練シーンとかもテンポよく楽しく進んでましたし、ホープとハンクの親子のわだかまりとかも、変に引っ張らずに中盤でさらっと解決させてたのも良かったです。映像面でも小さくなったアントマンから見た世界が面白くて、終盤のイエロージャケットとの戦いで、機関車トーマスが迫ってくるところとか笑えるし、微妙にホラーで面白かったです。これをまた普通のサイズの視点で見るとしょぼく見えるのも笑えるところ。

 

 でも、技術に関しては多少ツッコミを入れたくはなります。劇中の話だと原子の距離を操ることで大きさを変えられるらしいですが、それだと質量は変わらないと思うけど、劇中の描写だとどう考えても重さも変わってる。MCUもこの辺の設定を無視して作ってる感ありますし、コミックが原作なんで気にしたら負けだとは思います。次回作も、もっとめちゃくちゃやるようになるので深く考えない方がいいところだとは思いますが。

 

 あとシリーズ1作目としては比較的他のMCU作品とのつながりが多くて、MCU始めてもある程度は大丈夫な作りではありますが「だれこの人たち」となるところはあり、冒頭のシーンで誰一人分からず困惑するかもしれません。しかし、そんな細かいことはどうでもいいぐらい良く出来た一作目だと思います。良かったら、観てみては如何でしょうか。

 

 

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