ロスチャイルド商会の誕生 今回紹介するのがロスチャイルド家。ロスチャイルドの基礎を築いたのがマイアー・アムシェル・ロートシルト。ロートシルトがドイツ語読みで、英語で読むとロスチャイルド、ロスチャイルドはユダヤ系ドイツ人。マイヤーは1744年に神聖ローマ帝国のフランクフルトに商人の長男として誕生。

 

 ユダヤ人は世界中にいるが、当時のヨーロッパのユダヤ人は姓がなく、土地の所有が許されず、居住地域が制限されてゲットーと呼ばれるところに強制隔離された。マイヤーは少年時代に父を失い、兄に育てられて、ハノーバーの銀行に奉公に行っていた。マイヤーは20歳で地元に戻り新しく古銭商の商売を始めた。

 

 元々マイヤーは父親からユダヤ教導師、ラビになるように勉強をしてた。中東やヨーロッパの歴史や語学を勉強してたので知識は豊富、一般人には価値のなさそうな古銭でもマイヤーは価値を見抜ける。この知識を使って古銭の歴史を語り付加価値をつけてパンフレットを作った。

 

 このパンフレットを貴族などに送り通信販売をした。パンフレットに目をつけたのがヴィルヘルムという人物。この人物はドイツの貴族で、領内の若者を集めて兵隊にして訓練、そしてイギリスなどに傭兵として貸してお金を儲けた。その後、父親が亡くなり相続してその資産は欧州最大とも言われた。

 

 この人との取引を成功させて宮廷語用商人としてマイヤー・アムシェル・ロスチャイルド商会が誕生した。ここからマイヤーは入り込んで古銭の売買で財務担当官と仲良くなりロンドン振り出しの為替手形の割引の仕事をゲットした。しかし、ロスチャイルド商会は

 

「イギリスから傭兵代金を受け取って、それを割り引くだけだと物足りない」

「この小切手を使ってイギリスの綿製品を買って、支払いに使えばもっと利益を生む」

 

この構想でマイヤーは長男のアムシェル、次男のサロモンを宮殿に向かわせ、もっと割引業務の仕事をもらうように頼み込んだ。結果、ロスチャイルド商会の地位が向上し、外国の借金の業務を請け負うようになった。

 

 1798年、三男ネイサンがイギリスで繊維産業が盛んなマンチェスターに送り込まれた。ネイサンはこのヴィルヘルムの小切手を使用して手数料収入を手に入れマンチェスターの商品を買い付けた。ここで新しいデザインや柄物にして付加価値をつけてカタログを作り注文を受けた。さらに、販路をアムステルダムやジュネーブ、パリなどにも広げた。当時、パリでは革命が起きてて、各地で綿製品が高騰していた。さらに、株や債券に投資してさらに稼いでいた。この順風満帆だったロスチャイルド商会にピンチが訪れた。

 

ビジネスチャンス、ナポレオン登場 ここで登場するのがフランスの皇帝となったナポレオン・ボナパルト。彼がフランスの実権を握りプロイセンに攻め込んできた。それで、ロスチャイルド商会の後ろ盾だったヴィルヘルム9世の居城にフランス兵が迫ってきた。ここでヴィルヘルム9世は北方に逃げ、ヴィルヘルム9世は資産の管理を信頼できるマイヤーに頼んだ。

 

 フランス軍は必死で財産を接収しようとしたが、マイヤー達が二重帳簿などを使い回避した。一方、ナポレオンは敵対するイギリスを苦しめるため大陸封鎖令を出した。1806年にナポレオンが支配するヨーロッパの地域の港にイギリスとの貿易を禁止、今で言う経済制裁のこと。

 

 これはロスチャイルドが商売できなくなるが、むしろこれはチャンスだった。イギリスではコーヒーや砂糖、綿製品などが大陸に売れなくなり暴落した。ネイサンはマンチェスターからロンドンに移住して安く買いたたいた。そして、役人に袖の下を握らせて密輸した。それ儲けた後、封鎖が強化されたのを見て撤退した。さらにイギリス軍の軍資金をパリ経由でポルトガルに運び込んだ。その後、ナポレオンは敗北してエルバ島に追放された。

 

 ナポレオンはイギリス・プロイセン連合軍にワーテルローの戦いで敗北。ナポレオンの100日天下が終わるが、ここでもロスチャイルドは動いた。イギリスは戦費を調達するため国債を発行したが、イギリスが負ければ国債が暴落する。ワーテルローの戦いの前にカトルブラの戦いでイギリス連合国が敗北したという情報が出て、イギリス国債が下落したが、ワーテルローの戦いで連合軍が勝利したことでイギリス国債が高騰。ロスチャイルドはこの勝利を独自の情報網でいち早く取得、ロンドンのネイサンにを伝えていた。

 

 早く情報を手にしたネイサンはロンドン証券取引所に向かって逆にイギリス国債を売却した。それで周囲はこう思う。

 

「ロスチャイルドが売却した、もしかしてイギリスは負けたのか?前の戦いでも負けたし、そうに違いない。国債を売却だ」

 

これでみんな売りに走り国債はどんどん下がった。そして勝利のニュースが広まろうとしたところで、ロスチャイルドは下落した大量の国債を購入し、すぐに国債は暴騰した。この利益でロスチャイルド家の基盤が出来上がったと言われている。この莫大な利益を生んだ要因が情報、これがロスチャイルド最大の武器だった。

 

また明日も紹介しますので、良かったらチェックしてみて下さい。

 

 

 

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