20230702  at  千葉成田・萩原家清水の畑
「  天神峰現地闘争 & 農楽まつり  」

前日までの今にも雨が降り出しそうな酷く蒸し暑い天気とは打って変わって、一般の人には比較的爽やかな穏やかな晴天、初夏の朝。
随分と湿気も少なくなり、日陰に吹く風はいくらか心地よい。んでもそれでも俺にはやっぱり暑過ぎる日には違いない……

ちょうど1年前、この日と同じ7月第1週目の日曜日、当時やたらと意気投合しまくってた京都のシンガーソングライター「川口真由美」と、彼女に対して入ったオファーを受けて、ここ千葉県成田三里塚に一緒にやって来た。元々は彼女のサポートとして演奏するつもりでいたけれど、当日前までに主催のお一人「萩原富夫=とみちゃん」とメールのやり取りをするうちに自分も数曲唄うことになった。

既にあちこちで話してきたり、書いてもきたりしちゃいるけれど、1970年代半ば当時、候補地にも上がっていなかった「千葉県成田」に閣議決定で国際空港が作られることとなり、敗戦後の食糧難を打破する国策として開拓された農地が取り上げられ、多くの犠牲の上に成田国際空港は開港された。
世間の物事に疎い自分は、開港してかれこれ50年、成田の問題は既に泣き寝入りさせられたものとして無理矢理に終わらせられたんだと思ってた…



ところが去年の夏、真由と一緒にやって来た成田ではまだ問題は終わっちゃいなかった…  今、成田は…その軍事利用をも視野に入れた新しい滑走路建設のために更に農地が取り上げられようとしているんだ。ただでさえ、その発着量の多さに1日のうち数時間しか大きな騒音が消えることはない状態なのに、しかも軍事利用のためだなんて……
一部の反対などものともせずに結局、土地が取り上げられてしまうのかもしれない、それでも反対の声は上げなければ、そして知らないといけないことだと思う…

真由と一緒に成田に行って以来、去年の12月、そして今年の1月と「いなのとひら・のとこば」でも訪ねて行った、成田の産直野菜を定期的に購入してる、それにとみちゃんは俺たちのライブに遠く成田から何度も駆けつけてくれてる………ここ成田は俺たちの大事な活動場所のひとつになった。

今年2月、去年の秋から噂されてた強制執行がなされた。それまで俺たちが唄ってきた市東さんの作業場も、矢倉も、畑も取り壊され、踏み躙られ、更地にされ。フェンスに囲まれてた…


だもんで、今回はとみちゃんの畑で農楽祭りは開催。全国から国の横暴を不満に思うたくさんの人たちが集まり、市東さんの住まいから、とみちゃんの畑まで声をあげてのデモ行進。デモの一行がとみちゃんの畑に到着し、祭=決起集会がはじまる。



とみちゃんがベースを片手に2曲唄った後、俺たち「いなのとひら・のとこば」がバック、コーラスを真由が務めて、とみちゃんのオリジナル、

農地は命
を熱唱。

「    農地は命    農地を守ろう … 

        天神峰に生まれて  
        親父の跡を継ぐ
        100年前から耕して 
        共に育った土地
       農地は命   命の農地   農地は命   俺の命

        空港のために明け渡せ   
        お金を積まれても
        戦争のための空港に  
        ふるさとは売れない        ………           」

とみちゃんは、ミュージシャンではない、音楽活動をしてるわけでもない、農業を営んでる、おいしい無農薬な野菜を作ってる、そんなとみちゃんの暮らしから生まれた唄だ。











とみちゃんの熱い唄が終わると、そのまま俺たちの演奏をスタート。

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成田に来るのは、この1年で4回目。顔見知りの方々も少しは出来た。農地のこと、直接的に唄ったのは「ほんとに大事なこと」の中のほんの一節に過ぎないけれど、いずれも権力者の横暴を非難した唄。最後の「みんなの唄」まで30分ほどの演奏は今回も暖かく受け入れてもらった。











 俺たちの演奏が終わると、真由がボーカルとして加わり、打ち合わせほとんどなしのセッション。去年は泪橋ホールや有明公園、川崎平和公園、横浜、京都、奈良……といろんなところで一緒にやったけれど、今年初めて、久しぶりな一緒の演奏。相変わらずパワフルで、華がある。プロだもんね、毎週のようにあちこちで唄ってるだけのことはある。
演奏を終えてひと休み、焼きとうもろこしやおにぎり、西瓜を頂いた後、俺たち3人は、この日夜の亀有のライブに向けて成田を後にした。

写真は、真由、とみちゃんをはじめ参加してくださった理絵ちゃん、酒田さん、広田さん他の皆様より頂きました。どうもありがとうございました。