皆さん、こんにちは。
いよいよ本日、舞台「光より前に〜夜明けの走者たち〜」が開幕。
昨日、プレビュー公演と題して、すでに幕開けはしましたが…
あくまでプレビュー。
マラソンで言うところの、試合前の調整レースみたいな位置付け。
自らの調子を確かめ、身体の出来具合を確認し、万全の状態でレースに挑むための、練習試合。
プレビュー公演という立ち位置を、私はそのように捉えておりました。
とは言え…
もちろん、お客様からお金を頂き、本番さながらに幕を開けたプレビュー公演ですので、やってることは本番と同じ。
練習試合だとは言え、やっぱり負けたくないと思うのが、競技者であり、役者の性。
スタッフもキャストも一丸となり、このプレビュー公演に挑みました。
ゲネプロという、本番前の最終通し稽古がなく、ぶっつけ本番で、お客様の前で作品をお観せするのは初めての経験でしたが…
皆、魂を宿したかのように、熱を帯びた演技を披露。
裏でひっきりなしに働くスタッフも同様。
死にもの狂いの練習試合。
それが、プレビュー公演。
恐るべしだ、プレビュー公演。
そんな、私たちにとって様々な意味を与えてくれたプレビュー公演でしたが…
観に来て下さったお客様の中に、円谷幸吉さんの同級生の皆さまがいらっしゃいました。
聞くと、関係者としてのご来場ではなく、わざわざチケットを購入して、皆さまで足をお運びになられたとのこと。
そして、劇場スタッフにお声をかけて、私たちに激励のお言葉までかけに、わざわざ劇場裏までいらして下さいました。
驚いたのは、皆さまの、その明るさというか、パワフルさというか。
円谷幸吉さんとは、このような愉快な仲間が、大勢いらっしゃる人間味をお持ちの方だったんだな、と。
きっと円谷幸吉さんがご存命でしたら、この明るくパワフルな老紳士たちと、なんら変わらぬ、屈託ない笑顔で、仲間たちと共に元気に過ごしていらっしゃったんだろうな、と。
私は、この老紳士の皆さまから、人生を謳歌するという、漲るほどの生命力を感じました。
それと同時に…
そんな皆さまと同じく、屈託ない笑顔で人生を全うしていた円谷幸吉さんが、どうして、自死の道を選んでしまったのだろうと。
円谷幸吉さんをそこまで追い詰めた、大きなものの正体は何だったのだろうと。
そんな事が再び、私の頭の中を駆け巡りました。
もちろん、当作品でも、その問いに向き合い、その何かに対する「答えのようなもの」は、描かれています。
ただ、それは憶測に過ぎず、その真意は、天国にいらっしゃる円谷幸吉さんにしか、わかり得ないことです。
ただ、この生前の円谷幸吉さんを知る、老紳士の皆さまの言葉には、きっと嘘も建前もなかったように思います。
「円谷幸吉だった」
「畠野さんがそこにいた」
「懐かしくて涙が出た」
笑顔と感動を、私たちに届けて下さった、円谷幸吉さんの同級生の皆さまに、心からの感謝を申し上げます。
さあ、初日だ。
スタートラインだ。
ここから始まる42.195km。
ゴールのその先にあるものに辿り着ければ…
円谷幸吉さんの見てきたこの世界を、少しだけ眺めることができるかもしれない。