5年くらい前になるかな。
久しぶりに逢う友達の、ほとんどに……
「あれ、そんな声だったっけ?」
と、言われはじめた。
まあ、自分でもその変化には、気付いていましたけど。
カラオケ行っても、今まで歌えていた高音の曲が歌いづらい……
小さい声でセリフを喋ると、有声音になりづらい……
大きな声を出すと、すぐに声枯れを起こしてしまう……
などなど。
自覚できるくらいの変化があった。
30歳を過ぎて、まさかの声変り。笑
まあ、おそらく、この時期に出来たんでしょーね……
声帯にデキモノが。
そして、そのタイミングとほぼ同時に、今度は、新しく知り合った人達に、こんな事を言われはじめた……
「とてもセクシーで、いい声だね」
俗に言う、ハスキーボイスってヤツです。
これについては、あまり自覚がなかったが、けっこういろんな方々に言われた。
某ロックバンドの、無限大がつく人とかにも。笑
皮肉なもんで、声帯が不健康な状態の方が、いい声に聞こえてしまうみたい。
で、ここで悩みが生まれる訳です。
俳優としての「味」を大切にする意味で、今のままの声にするか……
俳優としての「幅」を大切にする意味で、声帯のデキモノを取るか……
声帯のデキモノを取れば、少なくとも5年前の若い声に戻ります。
音域の幅も広がり、声枯れも今よりグンと減ります。
ただし、ハスキーボイスはなくなります。
いろんな人にお褒め頂く、この個性的な声は失われます。
今のままの、個性的なハスキーボイスでいくか……
それとも、昔の若い声に戻すか……
ちなみに、歌を唄う歌手なんかは、楽譜を表現しなければならないので、この場合は絶対に、デキモノを切除しなければなりません。
しかし、我々俳優や、噺家さんなどは、個性としてこの声を活かすという考え方もあるそうです。
結構な、悩みどころではありましたが……
結果はご覧の通りで、手術して俳優としての「幅」を選びました。
声の個性は、確かに大きな魅力かもしれませんが、それはあくまで、たくさんある表現の一部。
我々、俳優は……
感情や表情、動きや癖、そして、声などなど。
様々な表現方法を駆使して、演技をしています。
つまり、声の表現は、演技全体のごく一部。
だったら、声帯が健康的で、幅広い音域を使い分けられ、尚且つ……
どんなにハードでも、長丁場な現場でも、しっかりと耐えられる元気な声帯であってほしいと思う訳です。
50ステージ以上なんていう舞台も、ある訳ですしね。笑
なので僕は、この判断をしました。
まあ、まだ術後間もないので、完全に復活した段階で、声がどの程度まで変化しているか、現段階ではわかりませんが……
もしかしたら、多少のハスキーさは残るかもしれないし。
はたまた、すごくクリアな美声になってるかもしれないし。
結果はどうあれ。
大事なことは……
健康が一番。
これが、この先もずっと、この仕事をしていこうと決めている……
僕の信念なんです。
よーし。
ここから、また心機一転。
がんばるでーい!!