東池袋暴走事故の民事判決が本日言い渡されました。

飯塚被告は、元々、パーキンソン症候群(以下、「パ症候群 」と言います)に罹患していたので、パ症候群と事故との因果関係が、この裁判では大きな争点となっていました。パ症候群による運動機能の低下が、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違えに影響を与えたかどうかということです。
 
判決では、パ症候群がペダルの踏み間違えに影響を与えたことを認めました。
 
ただ、判決は、パ症候群による運転の危険性ついて、飯塚被告が主治医から事前に充分な説明を受けていたとは限らないとして、本人の運転の悪質性を否定しました。
 
この判決には、二つの意義があります。
 
一つは、パ症候群による運転の危険性について、主治医の患者に対する説明義務が充分に尽くされていたかどうかが 問題とされたことです。
  
医師は患者のプライバシーに関する情報について、厳しい守秘義務を負っています。
しかし、 この裁判では、飯塚被告が事前に主治医に対し、自分の医療情報が公開法廷で明らかにされることについて書面で承諾し、医師の守秘義務を明確に免除していました。
 
それにも関わらず、主治医は、裁判所からの証人尋問の呼び出しにすら応じず、尋問当日に突如として出廷を拒否しました。

運転の危険性について、飯塚被告に、どのような説明を具体的にしたのか、主治医は法廷の場で説明責任を果たすべきでした。本人から書面で守秘義務を免除されていたにも関わらず、裁判所からの呼び出しにすら応じなかった主治医の態度は批判されるべきです
 
判決の二つ目の意義は、今後、パ症候群の患者は、運転をしてはならない可能性が示唆されたことです。事故の直前まで二本の杖がなければ、まともに歩けなかったような飯塚被告は、パ症候群による運転の危険性について、もっと自覚すべきでした。飯塚被告はパ症候群により、右足が固縮していたのですから、右足しか使わないオートマ車での運転は、差し控えるべきでした。
 
この判決では、飯塚被告は、レストランに行くために、わざわざ運転する必要などなかったと断罪しています。
 
今回の判決は、今後、パ症候群の患者の運転の可否について、大きな議論を呼ぶことになると思います。