危険運転致死傷罪の適用について法制審議会が試案を決議した。高速度類型の問題点については昨日のブログでアップした。今回は飲酒類型について問題点を指摘したい。
正常な運転ができないか否かに拘わらず、一発アウトになる危険運転致死傷罪の成立を認めるアルコール呼気濃度として、呼気1リットルあたり0.5㎎以上という数値が示された。 しかし、0.5㎎以上というのは、現実離れしており基準が甘すぎる。0.5㎎以上になったら通常はかなり泥酔状態になり、そもそも運転自体しないし、できるわけもないからだ。そのような浮世離れした数値を設けたところで、何の意味があると言うのであろうか。
危険運転致死傷罪は本来、『運転できる』ことを前提に、アルコールの影響により認知機能や身体的機能が正常に働かないにも拘わらず運転することは非常に危険であるから、そのような状態で運転し死傷事故を起こしたら、重く処罰しようという趣旨で作られた。 にも拘わらず、そもそも運転自体ができないような超高濃度の『0.5』という数値を持ち出して、どれだけの抑止効果があると言うのであろうか。
私自身は酒への抵抗は普通のレベル程度であるが、自分自身を被験者として実験をしたことがある。芋焼酎を水割りで5杯飲んだ段階で呼気アルコール濃度は0.22㎎、その後にグラスビール2杯飲んで0.38㎎であった。これらは全て短時間以内に飲んだものである。 このように0.5㎎以上という数値はかなりの量を飲酒しないと到達しえないほどの飲酒量なのである。
法制審では刑法学者3名の意見を尊重して0.5㎎という数値をはじき出したようであるが、その学者さんはご自身で実験してみたことがあるのであろうか。科学は何事も実験から始まる。確かに0.5㎎という数値はWHOの基準を参考にしたもので、その数値も実験に基づいて算出されたものであろうよ。しかし、欧米人と日本人では圧倒的な体格差があるだけでなく、アルコール分解酵素の体内保留量にも大きな差がある。それを無視して、世界基準を持ち出すところに非科学性が垣間見える。
日本人だけを対象にした実験に基づいた基準を作るべきである。また、アルコールに弱い人を対象にした基準にすべきである。なぜなら、アルコールに弱い人でも運転免許を取得できるからだ。