POOR THINGS | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

今、最も信用できる映像作家の一人、

ヨルゴス・ランティモス監督の最新作で

フランケンシュタイン・セックスコメディ

『哀れなるものたち』(POOR THINGS)を鑑賞。

 

ダークで時にカラフルな色彩のリッチで

ゴージャスな映像美が圧倒的で終始眩しく、

カラーと白黒を交互に使い分けたり、

撮影技法もさらに磨きがかかり、

カメラレンズのこだわりもより加速し

(DP=撮影監督は、前作に引き続きロビー・ライアン)

圧巻のバロックの世界を見事に構築していたのでした。

 

19世紀ヨーロッパの絵画的でマジカル・ファンタジーな

ビジュアルはしかし、ティム・バートン作品や

テリー・ギリアム作品を彷彿とさせられました。

あとスチームパンク。

 

大胆で示唆に富んだ「アイキャンディ(eye candy)」

なアート映画だが、

ウェス・アンダーソンのそれとは異なる。

 

大変クレイジーなストーリーの

不条理ブラックコメディでありフェアリーテイルですが、

絢爛豪華な映像も相当狂ってます。

前衛的なミュージックもスリリング。

 

2023年を代表する映画の一本と言って間違いないでしょう。

 

そしてヨルゴスの次回作『And』すでに昨年撮影が完了しており、

早ければ来年に公開されるかもしれません。

エマ・ストーン、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリー、

ジェシー・プレモンスらが出演するアンソロジー映画とのことです。