マッツ・ミケルセン主演のリベンジアクション『ライダーズ・オブ・ジャスティス』の独創性 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

最近の最大の収穫といえば、

マッツ・ミケルセン主演の北欧リベンジアクションスリラー

『ライダーズ・オブ・ジャスティス』です。

 

 

悲劇的な列車事故で妻を失い悲嘆に暮れる兵士、

マーカス(マッツ)がアフガンの戦地から

故国デンマークに帰国しますが、

仕事で家を空けてばかりだったので、ちゃんと

ティーンの娘と向き合えず、衝突してばかり。

そんなとき、目の前でマーカスの妻が亡くなるのを

目の当たりにした数学ギークの男が彼の前に突如姿を現し、

「あれは事故ではない。怪しい男が直前に降りるのを見た」

と告げるのであった。

 

坊主で髭をたくわえたマッチョなマッツが

なかなかの武闘派でこれまでにない無骨で男臭い

不器用なキャラクターを演じているのも新鮮ですが、

事件解明のために勝手に立ち上がる、

3人の天才=変人ギークたちの

キャラクターがそれぞれ大変個性的すぎて痺れます。

普通ではない彼らのトリッキーな発想や言動、行動、

衝突は時に滑稽で人間味もあり、とてもリアル。

もちろん天才的知能やスキルも持っているので

時に心強い。

 

北欧、東欧のマフィアの暗躍、

東欧の人身売買という深刻な社会的テーマも織り込みつつ、

ブラックコメディの要素がかなり強いのですが、

北欧的な独特のダークなそれで、鋭利で毒がありつつ

ウィットに富んでいて、クレバーで効果的。

話は予測不可能な展開に転がっていきます。

 

地元の悪名高い極悪ギャングとの重火器乱れる

ド派手な一大決戦も豪快かつスリリングで、

結構バイオレントで血みどろパワフル。

アクション映画としてもソリッドで重厚で、

そつがないのです。

 

あとぐっときたのが、伴侶というかけがいのないパートナーを

失って大きな喪失感を抱くマッツと、彼の元に集まってきた

孤独な中年ギークたちが、疑似家族を形成していく展開。

みんな不器用で不自然でなにかが欠けており不完全ですが、

それぞれが団結し協調することで、お互いを支え合い、

自分を見つめ直し、人生を取り戻していくのです。

心に沁みると同時に、ちょっと哲学的ですらあります。

 

日本では、2022年1月21日(金)から公開です!