RUN ON(それでも僕らは走り続ける) | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

2021年に入ってから、

完成が間近に迫った

僕の新しいドキュメンタリー映画の

最後の編集作業を集中的にずっと行なっており、

同時に英語字幕の翻訳にも没頭していたのですが、

ようやく少し出口が見えてきました。

 

もちろん、仕事の合間に映画を観たり、

TVシリーズを観たり、

レコードを買ったり聴いたり愛でたりも。

 

アルバムですが、今年はいきなり、

Shame、Goat Girl、The Bensnard Lakes、

Black Country, New Road、と好盤が連発ですね。

来週はIndigo Sparkeのデビューアルバムが、

再来週はJulien Bakerのニューアルバムが

リリースになります!

 

TVシリーズは、今年に入ってから、

 

「青春の記録」

「Sweet Home -俺と世界の絶望-」

「それでも僕らは走り続ける」

「悪霊狩猟団:カウンターズ」

 

という、Netflixの四つの韓国の作品を

すべて観たわけですが、

特にシン・セギョン、イム・シワン主演

「それでも僕らは走り続ける」(Run On)

終了時の喪失感はあまりにも大きかったのでした。

 

 

大物政治家と有名人気女優を両親に持つ

ちょっとずれている韓国代表の短距離陸上選手と、

暗い過去を持つ映画マニアの映画字幕翻訳家の

爽やかでコミカルな恋愛を縦軸に、

もう一つ別の対照的な男女の複雑な恋愛を絡める。

 

ダイアローグもスマートで深淵で、

よく練られており、ハッとさせられることも

少なくなかったです。

 

個性的で魅力的なキャラクターたちが巧妙に交錯する、

ロマンスの王道『シンデレラ』と『塔の上のラプンツェル』に

『ニュー・シネマ・パラダイス』を融合したような、

多くの映画的キーワードも飛び交う、

映画愛に満ちた美しい作品です。

 

なんともユニークな設定のシリーズですが、

おや待てよ、デジャブが。

 

僕も中学高校時代は6年間陸上部で短距離を専門とし

(地区大会入賞程度ですが)、映画の字幕翻訳も

専業ではないですがやっているではないか。

自分の過去とキャリアを男女に分裂(split)

させた恋愛物語ですか、これは?

 

で、二枚組のサントラも購入しました(一曲、美しい旋律の

印象深いドリープポップが使用されていた)。

 

 

 

期待していた「悪霊狩猟団:カウンターズ」も、

ホラーファンタジーと人情味溢れるヒューマンドラマを

融合した、ドラマティックでたまにゴア描写も炸裂する

エンターテインメントな改作でしたが、

こちらは韓国で無事ヒットし、シーズン2が制作される模様。

 

 

能力者集団「カウンターズ」という

でこぼこの疑似家族が絆を強めていく様と、

それぞれの家族の物語を二重で描く構造もディープです。

悪役も光ってます。

 

ヒロイン役の元gugudan、I.O.Iの

キム・セジョンの熱演も光りますが、

キャストのアンサンブルは白眉で、韓国における

俳優層の厚さをまざまざと見せつけてくれます。

 

次は、韓国で先日放送が終了した

少女時代ユナ主演のドラマ「ハッシュ」が

早く日本上陸することを願うばかりです。

 

あと近況ですが、

 

映画評論家業としては、4月23日公開

ジョー・キーリー主演のL.A.を舞台にした過激な

ソーシャルメディア/ライドシェア・スリラー

『スプリー』の解説原稿を執筆していました

(プレスシートと劇場パンフに掲載されます)。