君は行く先を知らない | マサkのブログ

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●君は行く先を知らない。

 イランの荒野をひたすら走る車、そこには、両親と二人の息子。イラン発ロードムービー。

 運転するのは成人になりたての長男、横にはしっかりものの母親。後ろに乗る父は、長期にわたって足を負傷しギプス状態、そして屈託なく明るい八歳ぐらいの次男と拾ってきた犬。どこに行くのか、何をしにいくのか、全く説明のないまま家族の会話を中心に話が進みます。そして突然訪れる長男との別れ、ロングショットが随所にみられます。この映画の面白みは、家族の会話です。イランでは、車の中では自由なようで、お母さんが歌を歌ったり、ぼやいたり、怒ったり、説教したりと主になって振舞います。ここでの家族の会話は、ユーモアもありますが、やはり何か運命が待っていて、それを受けなければならない事情など察することができます。印象的なのは久しぶりに話す、父と子の会話のシーン。このシーンも長回しです。「友達ならば一つのリンゴを二つに割って半分友達にあげる、友達は、与えられたリンゴの小さい方を選ぶ」。イラン的な考えなのでしょう、でもすごく親しみがもてる会話でした。イランの実情をもっと知っていれば、胸にもっと迫っていったかもしれません。

世界を知ること、まだまだ紛争や、その傷跡が残る国が多いことを、私達は知らなければなりませんね。そんな思いにさせてくれる映画です。

「リトル・ミス・サンシャイン」のような雰囲気もありますが、もっと切羽詰まったものを感じます。でも最後のシーンは、希望が持てる終わり方だったので良かったです。

2023年8月26日 なんばパークス

 

監督 パナー・パナヒ

出演 モハマド・ハッサン・マージュニ  パンティア・パナヒハ