おはようございます。
まさとです。
気圧のせいか足が神経痛
これから台風がどんどん来るけど、みんなが不安を煽るから、余計に不安になってるところがあるような気がするんだけど。
私だけ
この間観てきた映画の感想書きます。
映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』
ネタバレ注意
監督が蜷川実花ということで、とにかく色彩が美しかった。
どのカットも美し過ぎる。
多分他の監督がこの太宰治の物語を撮ったらそんなにきれいにならないと思うの。
そんな要素が全くないから。
でも、蜷川実花は独自の感性で全シーンを美しくしてしまった。
照明や背景を少し非現実的なものにすることによって、美しさを出してるんだよね。
それと、やっぱりこの人は花が好きなんだなと。
ほぼどのシーンにも花が使われていたと思う。
一面梅の花、とか一体どこで撮ったんだっていう(笑)
ある程度CGとかも使ってるんだろうけど、非現実的な美しさだった。
あれが現実にあるならどこか教えて欲しい(笑)
その花や照明、そして衣装の色彩を使って、登場人物の感情を表しているシーンもあって、本当に見事。
この人は被写体をどうフレームに収めれば美しくなるか、判断する能力に長けているんだと思う。
私はもうそういうのは全然センスないんで、ただただ感嘆するばかりでした。
主演、太宰治役は小栗旬。
銀魂実写で2年連続おぐしゅん(笑)の主演映画を観た訳だけど、ちゃんとじっくりお芝居を観るのは初めて(銀魂も芝居ですけどね、真面目なお芝居という意味かな)。
太宰治のダメ男感(笑)が、端々まで滲み出ているお芝居で、とても良かったです。
台詞の言い方、所作に、太宰のキャラがちゃんと出てた。
隙のないお芝居で、ドアップで写されている時の表情も、太宰の感情が手に取るように分かって、思わず「すげぇ」って呟いてたと思う。
太宰は一言で言うととにかく狂ってるから、感情移入しにくいキャラかもしれないけど、どうして常に死に向かって歩いていこうとするのか、どうして何もかも壊していかなくちゃならないのか、共感は出来なくとも理解は出来るお芝居だった。
そして後半の結核で苦しむ場面は、本気で小栗旬が死んでしまうのではないかというような熱演だった。
前髪がかかって片目が隠れ、吐血して唇が真っ赤に染まった姿は、ここも色彩が良かったんだけど、演技も猟奇的でまるでジョーカー(バットマンに出てくる悪役)のような顔だった。
素晴らしい太宰治でした。
個人的に1番良かったのは、最後に自殺する前に「やっぱやめよ」って言ったところかな(笑)
太宰だなーって(笑)
他の方の演技の話もしたいところだけど、長くなるので割愛しますが。
今回の映画を観て、あくまでこの映画で描かれたものということだけど、太宰治という作家について改めて考えてみた。
私はちょっと前まで好きな作家を太宰治と言っていて、今も好きだけど、好きと公言出来る程太宰治の全てが好きかと言われたら違うし、何より最近全然読んでないから、以前読んだものの内容をほぼ覚えていない(笑)
今も新刊が出る作家さんなら、定期的に読む機会があるんだろうけども、それはないしね。
映画を観て、太宰ってのは天才的な作家ではなかったんだと思った。
それを太宰自身も分かっている。
劇中で、何かを壊して書く、つまり、自分自身の何かをえぐり出して書く、というような会話をしている場面があって。
確かに芸術というのは、自分の中の何かを切り取ってそれを表現するという面はあるけれども、この人は本当に実生活を壊さないと書けなかったんだと。
周りの人はそういう太宰の書き方を嫌悪したり、はたまたその脆さに母性をくすぐられるのか作品を通り越して太宰に好意を抱いたり。
だけど、太宰の奥さんだけは全部分かってたんだと思う。
妻として夫を愛してもいるけれども、作家である太宰を尊敬もしていて。
だけど、太宰は家庭を壊し、身体を壊し、何もかも壊さないといいものは書けない。
だから、奥さんは妻としての気持ちを封印して、作家としての太宰を支え続けた。
それが結果的に自分と夫とその子供達という家族をばらばらにしてしまうことだとしても。
太宰治の人生を見ていると、何でそんなに自分を自分で壊していくんだよ、自分を大事にしろよって思わなくもないんだけど。
その太宰のダメな部分が、太宰作品の良さでもある。
究極のマイナス思考、ダメ男の思考回路(笑)
その偏った視点で書かれた、1ミリも男らしくないうだうだした文章が、私的には面白くて爆笑してしまうのだが(笑)
振り回された人達のこと考えると笑っていいものか心苦しくもなるけど。
でもやっぱり、ダメ男な太宰の思考回路を傍目で見て爆笑するのが私は好きなので(笑)、これからもそうやって太宰作品を愛していこうと思います。
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