伊勢正三さん、イルカさんの、
もう、海には帰れない、だったかなあ。
タイトルを忘れるくらい、時が経ったのに、
あの、海に連れて来ないでね
彼女だけは、お願いよ
この、海を忘れられる程
愛した日は、遠くない
きらきら、波光煌く海が目に浮かぶ位、
この、フレーズがリフレインする。
ああ、そうだな、綺麗な海を見ないと。
もう、泳げなくてもね。
息が続かなくて、沈みそうになったら、
なんか、それもいいなあ、なんて、思いそうで
怖いからね。
理想でも、だめ、なんだよ。
ちゃんと、最期迄、生きた証明をしないとね。
何故？
遺されるひとを、傷つけたらいけないんだ。
大切な、ひとはね、最期迄、愛していたよ、って、全力で、証明しないとね。
なかなか、大変だけど。
義務であり、責任なんだ。
どうせ、早かれ遅かれ、逝かなくちゃならないけど、痛む姿さえ、見せるんだよ。
ちゃんと、最期まで、生きたよ、ってさ。
夏には早いけれど、ひとり海に来てみた。
地図にも載らない位小さな海岸。
防波堤のすぐとなりが、ふたりの指定席。
来年、見られたら、いいな。
海を、さ。
ことしは、見られなかったから。
