手術の前日に主治医から提案していただいた方法、すなわち、切除後に食道と胃をつなぐ方法で行われた。

全身麻酔なので、その前後のことしか覚えていない。硬膜外麻酔をするために、台の上で海老のように背中を丸めて、麻酔科の先生に処置をしていただいた。その時に、何故か、次々と頭の中にいろいろな方々の顔が浮かんでくる。知らぬ間に涙が止まらない人になっていたということだけは覚えている。


9:00前にスタートした手術は7時間ほどかかったようで、16:00くらいに「〇〇さん」と私のことを呼ぶ声で麻酔から覚めた。一月の手術の時は、そのあとに「うまくいきましたよ」と主治医の声が聞こえてきたが、今回は違った。麻酔から覚めたばかりでも、そうではないという雰囲気を感じとることができた。どうやら、肺の状態が良くないらしい。酸素濃度やらSpO2やら、肺の呼吸機能に関する言葉が、周りから聞こえてくる。ICUでは、鼻からチューブを入れられて、チューブからは勢いよく酸素が出ていた。レントゲンで肺は黒く映らず、白く映る部位があったらしい。


翌朝、鼻チューブのおかげで、酸素濃度は改善傾向にあることを知る。鼻から入れる酸素の量は前日より少なくなったようだが、念のため、ICU 2泊目に入る。一般病棟に戻っても鼻チューブは抜けず、術後5日目に外れた。(抜くとSpO2は80台後半まで下がってしまうから、それがなくなるまで鼻チューブを入れていた。)


術前は、食道と胃の切除によって癌がなくなり、その後、飲んだり食べたりしたものが漏れずに腸へと流れていってくれさえすればよい、と思っていたが、甘かった。

肺の機能、炎症反応の数値(CRP)、ドレーンを入れることによる細菌の感染など、クリアしなければならないことだらけなのだ。38℃以上の高熱が出たこともあった。一方、からだは元気、でもお腹の中には膿の塊(膿瘍腔)といったこともあった。


私は、未だ入院中。

本日で、入院13日目。


その②では、痛みの軽減や退院までの道のりについて書きたい。