新国立劇場でシェイクスピアものをよく演出されるワグネルの先輩鵜山さんが、本拠地文学座で「オセロー」の演出。



主役オセローはこのところ病気で舞台降板などがあった横田栄司、相手のデズデモーナは文学座の中ではまだまだ若手だけど、外部で「ドリームガールズ」や「VIORET」などのミュージカルでは主要キャストを演じるような売れっ子。そうした経験で重鎮横田をひたすら愛する純真無垢な若妻を演じていました。

イアーゴの奸計に引っかかり勇猛果敢な将軍が不義を疑い妻を手にかけてしまい最後は自害するのだけど、イアーゴは今の時代どこにでもいそうな、右と左に言葉を使い分けて「あの人はこんなことを言ってた」「みんなそう言ってますよ」と周りを争わせる小悪党という感じで、結局これから裁かれるにしても周りがどんどん死んでいく中で彼が無傷で終幕を迎えるなんとも言い難いモヤモヤが残ります。


横田栄司は喜怒哀楽全開で、時には愚かしくも可愛かったりするのだけど、大声で喋るとライトの中で唾が飛びまくってて、あれじゃ相手役は顔中に浴びるなあと、コロナがほぼ収まった時代の演劇という感じでした。

イアーゴの妻のエミリアは、レミゼのテルナディエ夫妻のように夫婦して悪党かと思ったら善人でした。


客席通路や舞台サイド上部のバルコニーまで目一杯使った演出なので、全体を見回すには中央よりやや後ろくらいの席が見やすいのでしょうが、今回発売初日にアクセス集中でチケット販売サイトにつながらずやっと繋がった時にはあらかた売れてる状況だったのでまあ観られただけで良かったです。

それにしてもこのところやたらとハムレットやリア王も色々なヴァージョンで上演してるし、いつの時代もやっぱりシェークスピアなんですね。



ところで横田さんはどうしてもこのCMの印象が抜けません。